本文
学名 Spodoptera exigua Hübner
1 形態
成虫は体長約12mm、開張約28mmの暗灰褐色の小型の蛾である。卵は黄褐色で約0.5mmのまんじゅう型をしており、表面は灰褐色の鱗毛で覆われる。幼虫の体色は多様で、緑色から黒紺色まで個体差が大きい。老熟すると体長約30mmとなる。ハスモンヨトウと同属で食害状況も類似しているが、ハスモンヨトウよりひとまわり小さい。蛹は赤褐色で体長約15mmである。
2 被害の様子
野菜、花き類の葉、果皮、花蕾、花弁を食害する。一般的に狭い隙間に潜り込んだり、狭い場所がない場合は自ら葉をつづり合わせてその内部から食害する。ネギでは孵化直後の幼虫が葉身内に食入し、中から表皮を残して葉肉を加害するため、被害はかすり状となる。カーネーションでは心葉や生長点部分を内部から食害し、蕾の中にも食入する。他の作物でも若齢幼虫は群生して食害するため、卵塊のあった葉を中心に白化葉が目立つ。その後は分散し、葉の表裏を問わず食害する。また、春先に収穫終了のシュッコンカスミソウなどでも多発し、発生源となることがある。
3 生態
雌成虫は植物の葉裏などに卵を卵塊で産みつける。地上10cm以下の低部位や若い生育ステージの作物に好んで産卵する習性がある。成虫は孵化後しばらくは集団で生息するが、齢が進むにつれて次第に分散する。発生初期は局部的に被害がでる。施設栽培では周年発生するが、特に夏期高温時に多発する。一般的に、施設栽培地帯では5~10月に、露地栽培地帯では8~9月に発生が多い。成虫は、昼間は作物の葉裏や雑草に潜んでおり、夜間に活動する。暖地では厳寒期に老齢幼虫のみが発見され、さらに降雪時にもネギの加害が観察されていることから、露地での越冬形態は老齢幼虫ないし蛹と考えられている。また、本種は非休眠性であるため、施設内で温度条件がよい場合は、冬でも増殖する。
4 発生しやすい条件
・寡雨
5 防除対策
・卵塊や、卵から孵化したばかりで集団になっている幼虫を見つけたら取り除く。
・老齢になるに従って薬剤の効果が悪くなるので、若齢幼虫のうちに防除する。
・施設栽培では施設開口部に防虫ネットを設置して、侵入を防ぐ。
・定植前後から交信攪乱用の性フェロモン剤を設置する。
シロイチモジヨトウ幼虫
シロイチモジヨトウ成虫