記事を掲載させていただきました「三河猪家(みかわししや)」は、原田民夫様がご逝去されたことにともない閉店となりました。
原田様の長年にわたる地域振興へのご尽力に深く感謝申し上げますとともにご冥福をお祈りいたします。
水源林と獣害被害のお話し(「三河猪家(みかわししや)」原田民夫さん)
新城市にある「三河猪家」の食事処「和食ししや」を経営する原田さんは、もともと全く別のお仕事をされていたとのこと。奥三河では農作物や樹木などの獣害被害が年々広がっていくなかで、鉄砲やわなで捕らえたイノシシを衛生的に解体処理して食肉にする施設がないことを知った原田さんは、自ら施設を整備するとともに、食肉加工の技術のある方とそれを美味しく調理できる板前さんを雇って、オールシーズンで猪肉を楽しめる食事処「和食ししや」をオープンさせました。
私たちがおじゃました日も、団体のお客さんの予約が入っていたりと、大人気のお店ですが、食事処の他に猪肉の直売もあり、名古屋でジビエを提供するフレンチレストランなどにも猪肉を提供しているとのことです。
写真はイノシシの焼肉定食。今日はしっかり肉を食べたい!という方にぴったりです。
ワイルドな気分になって元気が湧いてきます。
こちらはイノシシのコロッケ定食。猪肉ビギナーの方にオススメです。
原田さんは、「獣肉料理は西洋だけのものではなく、猪肉の牡丹鍋など日本にも昔から獣肉を食べる庶民の文化があった。そうした昔ながらの味わいを知ってもらいたい。」と思いを話してくださいました。
ここ数年、設楽町や豊田市などで新たな取り組みが生まれ、獣肉による地域振興の動きが進んできていますが、原田さんからは、こうした取り組みをしっかり定着させていくためにも、行政側のバックアップが重要とのご意見をいただきました。
本日のこぼれ話し
「ぼたん」に「さくら」、「もみじ」といえば、それぞれ猪肉、馬肉、鹿肉の隠語。
四つ足の動物を食べることが禁忌されていた時代にも、獣肉は、食料が乏しいなかでの貴重なたんぱく源として、人々の間で密かに食べられてきました。
そうしたなか、全国諏訪神社の総本山である諏訪大社では、人々が長く厳しい冬を乗り越えることができるよう、生きるために殺生を行って鹿肉を食べることを許す「鹿食免(かじきめん)」という免罪符を発行してきたとのことです。今も長野県が国内におけるジビエの先進地なのは、そうした背景があるからでしょうか。