「道の駅したら」がオープン。田口線木製車両が再びにぎわいを運ぶお話し(その4)
田口線は三河大草駅を出ると、木々の間を縫うように勾配を上りながら、鳳来寺駅へと向かいます。
鳳来寺山表参道入口(田口線鳳来寺駅付近)
鳳来寺駅は、鳳来寺山表参道の入り口に位置し、参拝客はもちろんのこと鳳来寺高校へ通学する学生さんたちにも利用されていました。鳳来寺高校は2011年3月に閉校となり、表参道で学生さんの姿を目にすることはなくなりましたが、毎年11月中下旬の紅葉が深まる頃には、「鳳来寺山もみじまつり※」が開催されて、様々な催事が行われたり、屋台が軒を連ねたりなどして多くの人でにぎわいます。
この他にも、風情の残る鳳来寺山表参道を歩くと、今も地域で愛され、NHKの朝ドラ「エール」のロケ地にもなった木造校舎の旧門谷小学校や国指定名勝天然記念物である鳳来寺山を中心に当地域の大地の成り立ちや動植物を紹介する鳳来寺山自然科学博物館などいろいろな見どころがあります。
なお、旧鳳来寺高校も園子温監督のコメディー漫画を原作にしたテレビドラマ「みんな!エスパーだよ!」のロケ地になっていたそうです。個人的に非常に興味を惹かれる作品ですが、残念ながらまだ見られていません。
それにしても東三河地域はフィルムコミッション活動が盛んですね!
※ 昨年度はコロナ禍により中止となりました。本年の開催については、新城市観光協会のサイトをご確認ください。
鳳来寺駅を出発すると田口線は一路、山を下り、今度は豊川支流の海老川(えびがわ)沿いを北上します。
途中、三河大石駅付近には、その駅名の由来となった大きな松脂岩※(しょうしがん)があり、今でも県道32号を走れば、その威容を目にすることができます。
※ 松脂(まつやに)のような光沢のあるガラス質火山岩
松脂岩の大石(田口線三河大石駅付近)
続いて、田口線は、海老(えび)の集落へと向かいます。撮影したのは6月末ですが、集落に入る手前にある須山川橋梁脇には、地元の方がお世話をしているのでしょうか、アジサイの花がきれいに咲いていました。
須山川橋梁脇に咲くアジサイ
山中の集落にも関わらず「海老」という地名になった由来は複数の説があるようですが、海老川の清流をみると「川エビ」が沢山捕れたからという説を推したくなります。
海老の集落を抜け、右手に四谷千枚田を望みながら進むと、今度は、路線で最長のトンネル、稲目トンネルが現れます。
稲目トンネル田峯側
稲目トンネルを抜けた先は、設楽町の田峯(だみね)地区です。
戦国の時代に翻弄された山城「田峯城」、田峯田楽(国指定無形民俗文化財)や奉納歌舞伎など神事芸能を受け継ぐ「田峰観音」、冬季には400羽を超えるオシドリが集まる「おしどりの里」など、田峯には見どころが沢山あります。
ここで田口線は豊川本流と合流して川沿いを走り、「道の駅したら」のある清崎へと向かいます。そして、清嶺(せいれい)小学校横に今も残る第三寒狭川橋梁を渡れば、終点の三河田口駅はもうすぐです。
清嶺小学校横の第三寒狭川橋梁
この先は現在、設楽ダム建設工事に伴い通行止めとなっていますが、田口線は、幾つもトンネルや橋梁を越え、終点へ向けて段戸の山懐へ分け入って行きます。
第四寒狭川橋梁
田口線の旅はいかがでしたか。
この先の三河田口駅のあった場所は、設楽ダムの湖底に沈みますが、これまでご紹介したように、沿線各所で今も田口線の面影を見ることができます。
こうした地域資源とともに、終の終着駅「道の駅したら」を拠点として、田口線木製車両が再びこの地域にぎわいを運んでくれることを期待しています。
三河田口駅付近の清流
本日のガチャ結果(不定期企画)
本日のガチャの結果は、「寺脇城(てらわきじょう)」でした。
「道の駅したら」テナントエリア2階に事務所を構える設楽町観光協会では、設楽の山城をPRする取り組みを行っているとのことで、事務所前の休憩スペースには、「御城印ガチャ」が設置されていました。
リアルガチャに課金するのは、ラーメンマンがほしくて回した「キン肉マン消しゴム(キン消し)」ガチャ以来、30数年ぶりです。