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「知の拠点あいち」重点研究プロジェクトにおいて液状食品中の極めて小さな金属異物を検出する検査装置を開発しました

ページID:0062987 掲載日:2013年7月18日更新 印刷ページ表示

平成25年7月18日(木曜日)発表

 愛知県は、公益財団法人科学技術交流財団に委託して大学等の研究シーズを企業の実用化・製品化につなげる産学行政連携の共同研究開発プロジェクト『「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト』(※1)を実施しています。

 このたび、「食の安心・安全技術開発プロジェクト」(※2)において、豊橋技術科学大学田中三郎教授とアドバンスフードテック株式会社(豊橋市)(※3)の研究グループが液状食品中の金属異物を簡単に検査する新たな装置を開発しました。

 これまで食品中の金属異物検査には、金属探知機の原理を用いており、その仕組みは、金属を検知するセンサ部に一定の交流磁界(※4)を発生させ、金属がセンサ部に入って起こる磁界の乱れを検出することにより、金属異物の有無を判定しています。しかしながら、食品が液状であると、液中の気泡や水分、塩分等の影響により磁界の乱れが発生し、誤検知が生じやすく、液状食品への金属探知機の適用は困難でした。

 今回開発した装置は、検出するセンサ部を工夫することで、液中の気泡や水分、塩分などの影響による誤検知を防ぎ、液状食品中でも、金属異物の検出が簡単にできるようになりました。本装置はジュースやドレッシング、離乳食などへの適用が考えられています。

 今後、本装置によるフィールドテストを行い、さらなる改良を経て、今年度中の販売を目指します。

1 開発の背景

 食品の検査には金属探知機が一般的に用いられています。しかしながら、液状食品の場合には、気泡・水分・塩分などが存在し、これらが磁場を乱す原因となるため、金属探知機が使用できない食品や、使用する場合でも感度を下げた状態で使用する必要がありました。

 本装置は、気泡、水分、塩分などがあっても金属異物を検出する画期的な装置であり、使いやすく、信頼性の高い液状食品用の金属検査装置となっています。

2 装置の概要

(1)装置構成と金属検出の仕組み

 

   本装置は、図1に示すように液状食品配管が通る検出部と磁気シールド(※5)された増幅部と呼ばれる部分で構成されています。

   金属が検出される仕組みは次の通りです。まず、磁石による一定磁界が加えられている検出部を金属異物が通ることで、磁界に変化が生じます。その磁界の変化は、コイル(※6)で電気信号に変換されて増幅部に送られます。次にフラックスゲートセンサ(※7)とよばれる磁気センサにより信号が増幅され、モニタ画面上に波形として表示されます。

図1 装置の概要

図1 装置の概要

(2)装置の特徴

 本装置は、金属異物の検知信号を取得する手段を工夫することにより、金属と水分や塩分などを区別することができるため、誤検知が少なくなっています。また、従来装置の適用が困難であったジュースやドレッシングなどの固形物を含む流動性食品や粘性の高い食品に対しても、本装置は適用可能となっています。検出可能な金属異物は鉄、ステンレスなど磁性を帯びる金属全般であり、検出感度は、装置の使用条件にもよりますが鉄球の場合、径0.3mm以上から検出可能です。 

3 今後の展開

 今後、ジュースを始め乳飲料・乳製品や各種調味料など、様々な液状食品分野で本装置によるフィールドテストを行い、装置改良や対象食品の選定、価格の決定を行い、今年度中の販売を目指します。

4 問合せ先

・プロジェクト全体に関すること

あいち産業科学技術総合センター 企画連携部
(1)担  当:青井、鹿野
(2)所 在 地:豊田市八草町秋合1267番1
(3)電話:0561-76-8306
(4)F A X:0561-76-8309

公益財団法人科学技術交流財団 知の拠点重点研究プロジェクト統括部
(1)担  当:青木、松村、中山
(2)所 在 地:豊田市八草町秋合1267番1
(3)電話:0561-76-8370
(4)F A X:0561-21-1653

・本開発の技術内容に関すること

豊橋技術科学大学大学院工学研究科
(1)担  当:教授 田中 三郎
(2)所 在 地:豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1
(3)電話:0532-44-6916
(4)F A X:0532-44-6929

・本開発の装置に関すること

アドバンスフードテック(株)
(1)担  当:代表取締役社長 鈴木 周一
(2)所 在 地:豊橋市西幸町字浜池333-9 豊橋サイエンスコア1F 101
(3)電話:0532-29-9033
(4)F A X:0532-29-9035

用語説明

※1 「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト

愛・地球博跡地に整備された付加価値の高いモノづくり技術の研究開発拠点である「知の拠点あいち」で行われている産学行政の共同研究プロジェクト。大学などの研究シーズを企業の製品化・事業化へつなげる橋渡しの役割を担う。

※2 食の安心・安全技術開発プロジェクト

 <プロジェクトリーダー>
豊橋技術科学大学大学院工学研究科 教授 田中三郎 氏

 <内容>
全国有数の食品工業の集積地であり、多様な農産物を産出する本県において、食品や農産物に含まれる有害化学物質、固形異物、微生物を高精度、迅速、安価に検査する技術を確立する

 <参加機関>
10大学6公的研究機関23企業(うち中小企業7社)(平成25年7月1日現在)

 ・うち大学
豊橋技術科学大学、名古屋大学、名古屋工業大学、名城大学、中部大学、名古屋市立大学、青山学院大学、富山大学、金沢工業大学、香川大学

 ・うち公的研究機関
愛知県衛生研究所、愛知県がんセンター、愛知県農業総合試験場、あいち産業科学技術総合センター、(公財)科学技術交流財団、(公財)京都高度技術研究所   

※3 アドバンスフードテック株式会社

超伝導などの磁気センサを利用した金属異物検査装置を設計・製造する会社。

※4 交流磁界

磁力が働いている空間を磁界と呼び、磁力の向きや大きさが時間と共に変化する磁界を交流磁界と言う。

※5 磁気シールド

外部から内部へ、または内部から外部への磁界による影響を防ぐ遮蔽材。

※6 コイル

細い金属線を、渦状または螺旋状に巻いたもの。

※7 フラックスゲートセンサ

磁界の変化を感知できるセンサ。

問合せ

あいち産業科学技術総合センター
企画連携部企画室
担当 青井、鹿野
ダイヤルイン 0561-76-8306

愛知県産業労働部産業科学技術課
科学技術グループ
担当 吉富、中川
内線 3383 3382
ダイヤルイン 052-954-6351