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令和3年度第2回愛知県幼児教育研究協議会の概要
令和3年度第2回愛知県幼児教育研究協議会を開催しました。
本会は、本県の幼児教育に関する諸問題についての研究協議を行う協議会です。第2回の会議では、「幼児期の教育における一体的に育まれる資質・能力とは-子供の具体的な遊びや生活の姿から考える-」の事例集(案)についての御意見と御助言を頂きました。その内容を報告します。
研究協議の概要
日時: 令和4年1月14日(金曜日)午後2時から午後4時
会場: 愛知県三の丸庁舎 B104会議室
1 開 会
2 愛知県教育委員会挨拶
3 会長・副会長挨拶
4 議 事
○令和3年度専門部会経過報告
○令和3年度作成事例集(案)について
<構成について>
・「一体的に育まれる」ことが具体的に示され、年長になるまでに積み重ねてきた経験の大切さも分かるので、保育者が「自分のクラスにも似た姿がある」とか「こういう捉え方ができる」と、参考にできる。
・事例が統一的に示されているので見やすい。子供たちに成功体験をさせていくことが保育者の仕事であることを再確認した。
・図やイラスト等を取り入れたまとめ方は、園だより等でも参考となる。事例は5歳児の姿が示されているが、ここに至るまでの積み重ねが記載してあり、その先にある小学校段階の記述は保育者側からは見えてこない内容なのでありがたい。年長で積み重ねたことが先々につながっていることがよく分かる。
・「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は到達目標ではない。各項目の語尾の「ようになる」という部分は、強調して表記したい。「夢中になって遊ぶ」ことで子供は育つ。保育は計画通りに実施すればよいのではない。子供が「心から遊んでいる」ということを表現したい。
<事例の内容について>
・各事例は「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の項目を念頭に置いて、事例を取り上げたわけではなく、事例の中から主な「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の項目を読み取った。事例1の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の読み取りでは、「自立心」に関する内容が多くあるが、総合的、一体的な捉えの中で体を動かすことは楽しくて、様々なことが育つことに視点をあてているので、主な項目は「健康な心と体」となる。
・障害がある子供は健康でないかというと、そうではない。自立心があれば何でもやっていけると思うので、子供の遊びに「動きたくなる遊び」をどんどん計画してほしい。
・事例4に保育者が「どうしてそう言ったの?」と尋ねる場面がある。保育者が中立な立場で見ていることが分かる。この対応でB児は意地悪ではなく、思いを伝えていることが分かった。子供のうちにこうした「友達なのに否定される経験」、「葛藤する経験」も大切だと思う。事例集の「おわりに」で事例は「園の日常の中で、具体的に一体的に展開された活動や遊び」と書かれている。これが、勉強とは違う部分だと思う。
・保育は、子供の声を聞き、姿を捉え、計画を修正していく。子供の言葉、姿を通して組み立て直していくことが重要で、教科書のない教育の難しさである。
・事例4の「マジックじゃないじゃん」の言葉に対して、保育者は別の言葉掛けをすることもできたかもしれないが、対象が5歳児なので、この経験を困難を乗り越える一つのきっかけと捉えたのではないかと思う。
・事例4は道徳性という視点からではなく、保育者と子供の信頼関係の中で生まれてきたやりとりが結果的に「道徳性の芽生え」につながっていた、という事例だと思う。5歳児1月の事例なので、子供と保育者が積み重ねてきた生活があってこそだと思う。
・幼児期は、道徳性の芽生えを培っていく時期である。道徳性は教え込むものではないので、子供たちから出てくるものを捉えて、チャンスを逃さずに次につなげるという意識が大切である。
・多様な考え方ができる子供に育てるには、絵に描いたような道徳を教え込むことはしてはいけない。「約束事」として大人の側から全部伝えてしまい、それを守らなければいけないということでは、子供の考える世界が狭まる。だからといって、自由にさせていたら道徳性が育たない。
・幼児期は、幼児が自分の生活経験によって親しんだ具体的なものを手掛かりにして、自分自身のイメージを形成し、それに基づいて物事を受け止めている時期である。事例5のアクリル板や間隔を空けて並ぶ位置を示す等の遊びの様子は、コロナ禍の生活で自然な姿だと伺える。
<幼児教育について>
・保育者が深く考えて保育していることを、保護者や社会へ発信すべきである。
・幼児教育の側から理念を発信してきたが、社会的に共有されていないとの意見もあるので、十分に発信しているとは言えない。理念が伝わる発信の仕方をこれからの課題にしていく必要がある。
○その他(幼児教育についての課題等)
・振り返りによる評価、それを踏まえた保育の計画が大切である。幼児教育の評価は、通知表とは違う。その子の良さや可能性をどのように捉えるとよいかということを考えることが大切であると思う。
・園の方針、子供の姿を理解してもらえる発信の仕方が課題であると思う。
・子供が夢中になれる遊びの研究、遊びの「理解」が大切であると思う。
・幼保小のつながり、相互理解を深めることが重要であると思う。
・子供が小学校へ入学することの不安を取り除けるよう、園と小学校の連携・接続を子供の立場で考えてほしい。
・園で行うことの意味を保護者にも社会にも発信する一つの方法が評価であると思う。
5 閉会挨拶
6 閉 会
配付資料
令和3年度第2回幼児教育研究協議会で配付した資料です。
問合せ
愛知県 教育委員会事務局 義務教育課
E-mail: gimukyoiku@pref.aichi.lg.jp