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第46回教育研究論文最優秀賞及び優秀賞受賞者について
論文については、平成25年2月発行予定の「<教育愛知>愛知県教育研究論文集」に掲載します。
最優秀賞
個人研究の部
● 文字を整えて書く力を主体的に身につけ、楽しく生活に生かしていく子の育成
-5年国語科書写「書写室の合い言葉をみんなで書こう」の実践を通して-
西尾市立津平小学校 宮川 麻美
【短評】
子どもたちがもつ書写の力を伸ばすために、今次学習指導要領に沿って「実際の日常生活や学習活動に役立つよう、内容や指導の在り方の改善を図る」ことを考えた、小学校5年生国語(書写)の実践である。子どもたちが互いに学び合うことにより、文字を正しく整えて書く力を身に付け、習得した書写の基礎基本を積極的に生活の中で生かすことをねらいとしている。自作における「ためし書き」と「まとめ書き」の比較、相互評価、個人目標と学級共通目標の設定、練習シートなど、さまざまな手だて・活動が段階的に積み上げられており、導入時に高まった子どもの意欲が最後まで持続するよう工夫されている。実物投影機を活用するなど独自性があり、かつ汎用性の高い研究である。
共同研究の部
該当論文なし
優秀賞
個人研究の部
● いきいき参加の算数授業
-意欲的に話し合い活動に参加できる取り組みを通して-
春日井市立出川小学校 望月 覚子
【短評】
算数が得意な子どもだけでなく、苦手な子どもたちもいきいきと話し合い活動に参加し、授業に意欲的になることを目指した小学校3年生の算数科の実践である。国語科の学習で身に付けた話し合いの技能を活用することで、算数に対する関心・意欲や技能を高めるというねらいに沿いつつ、話し合い活動の前段階の「個人思考の時間」を重視し、「操作活動」「思考過程の記述(ノート)」「つなぎ言葉カード」などの手だてを用意している。算数を苦手とする抽出児童が、「個人思考の時間」の教師支援により思考過程を記述したり口頭で説明したりできるようになり、話し合い活動にいきいきと取り組むようになっていく様子が、1年間を通じた長い実践の中で検証されている。
● 仲間と協力しながら主体的に体験し、話し合いを通して考えを深める子どもの育成
-6年「縄文・弥生時代のくらしを体験しよう!!」の実践を通して-
豊田市立萩野小学校 駒野 雅彦
【短評】
子どもたちが仲間と共に体験活動に取り組み、全身を使った活動を通じて学びを深めることを目指した、小学校6年生の「総合的な学習の時間」の実践である。8人の少人数学級という特性や、地域教材(校区内にある縄文・弥生時代の遺跡)を有効利用して実践研究を行っている。教室での社会科(歴史)の授業を下敷きに、遺跡の見学・郷土資料館の出前授業(石包丁体験)・縄文土器づくり・竪穴住居づくり(地域の方々の協力)・火起こしと縄文土器による炊飯(家庭の協力)というように地域や家庭も巻き込んだ体験活動を積み上げ、仲間同士の話し合いや振り返りの活動を充実させている。少人数ゆえの行き届いた指導により、子どもたちが自ら学び、考え、主体的に判断する資質や能力を高めていく様子が見える研究である。
● 「人・もの・こと」とかかわりながら追究し、防災意識を高め、主体的に動き出す子の育成
-6年・総合的な学習の時間「地震・津波、そのときどう動く~自分やみんなの命を守りたい!~」の実践を通して-
西尾市立白浜小学校 伴 理香
【短評】
東日本大震災を受け、東海地震で津波被害に遭うおそれの高い地域の子どもたちに、防災意識を高めさせることを目的とする研究である。命を守る活動へ主体的に動き出せるようにというねらいの下に、小学校6年生の「総合的な学習の時間」において実践された。地域的にも必要性が高く、時宜を得た研究と言える。実践の過程で子どもたちが防災だけでなく、命の大切さや自分の生き方・在り方についても考えるようになっている。また地域社会の一員として役立つべく、研究成果を学芸会や地域の防災大会で発表しており、成長していく子どもたちの姿が見える。避難訓練・調べ学習・地域の方々との交流や専門家からの学び・家族との意見交換など、子どもたちの能動性を引き出す手だてがよく考えられた研究である。
● 地形図に歴史を感じ、木曽三川の成り立ちに迫る地理学習をめざして
-中学1年「小パナマ運河、船頭平閘門」での野外観察活動を生かした授業展開の工夫について-
大治町立大治西小学校 横井 正敏
【短評】
生徒たちの住む尾張地方西部を流れる木曽三川を素材に、地図の読み取りと作成を学び、地形の成り立ち及び地域の歴史について理解を深める、中学校1年生の社会科の実践である。船頭平閘門・木曽三川公園への野外観察活動を、地形と歴史及びその中に息付いてきた人間の営みへの興味・関心につなげる、中学校社会科の導入期にふさわしい単元構想である。実際に出かけて観察するだけでなく、資料を読み取ったり、DVDを視聴したり、自ら河川の改修計画を立てたり、旧地形を推測したりと、生徒の好奇心をかき立てる手だてが豊富かつ段階的に用意されており、観念的になりやすい地図学習が、生徒の実感を伴ったものになるよう工夫されている。覚える社会科から考え表現する社会科への転換を図った、今次学習指導要領の趣旨に叶った実践である。
● 仲間と共に技能を高めたり、本気になって作戦を追究したりする生徒の育成をめざして
-高め合おう 我らの3S!ハンドボール(中学2年)の実践を通して-
西尾市立西尾中学校 市石 和将
【短評】
「技能を高めてチームに貢献する喜び」「課題をつかんで作戦を考える楽しさ」を生徒たちに実感させ、本気になって授業に取り組む生徒を育てることをねらいとした、中学校2年生の保健体育科(ハンドボール)の実践である。昨年度実践の反省を踏まえ、課題を明らかにして新たに主題を設定し、生徒の実態に関する事前アンケートから基本学習過程を計画して実践へとつないでおり、研究の動機や目的が明瞭である。実践では、ドリルゲーム・タスクゲーム・作戦タイム・専門家の指導・スペース作り・ペネトレイトと、学習段階に応じてさまざまな練習方法を取り入れ積み重ねており、生徒が主体的・意欲的に活動し、個人やチームの技能を高めていく様子が、本文の記述からも、抽出生徒に関する資料からも分かる。
共同研究の部
該当論文なし
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総務・広報グループ
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