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2018年度公共用水域及び地下水の水質調査結果、大気汚染調査結果について
2019年6月13日(木曜日)発表
2018年度公共用水域及び地下水の水質調査結果、大気汚染調査結果について
2018年度の公共用水域及び地下水の水質調査結果、大気汚染調査結果をとりまとめました。調査結果の概要は次のとおりです。
1 公共用水域及び地下水の水質調査結果
(1) 公共用水域の水質調査結果
○健康項目(人の健康の保護に関する環境基準項目)
- 河川、湖沼、海域の139地点で調査をした結果、138地点は、全ての項目で環境基準を達成しましたが、名古屋市内の河川1地点(荒子川ポンプ所)で1,2-ジクロロエタンが環境基準を達成しませんでした(2017年度と同様)。
○生活環境項目(生活環境の保全に関する環境基準項目)
<河川>
- BODは49水域中48水域で環境基準を達成しました(長期的な推移をみると改善傾向)。
- 水生生物の保全に係る環境基準項目の全亜鉛、ノニルフェノール、LASは42水域中、それぞれ37水域、42水域、41水域で環境基準を達成しました。
<湖沼>
- 油ヶ淵(あぶらがふち)におけるCODの環境基準は達成しませんでした(水質は長期的な推移をみると改善傾向)。
- 全亜鉛、ノニルフェノール及びLASは、全て環境基準を達成しました。
<海域>
- CODは11水域中6水域で、全窒素は6水域中5水域で、全燐は6水域中6水域全てで環境基準を達成しました(長期的な推移をみるとCODは概ね横ばい、全窒素及び全燐は改善傾向)。
- 全亜鉛、ノニルフェノール及びLASは4水域中4水域全てで環境基準を達成しました。
(2) 地下水の水質調査結果
県内の全体的な地下水質の概況を把握するため112地点で調査をした結果、105地点では全ての項目で環境基準を達成しましたが、7地点で砒(ひ)素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素等、環境基準を超過した項目がありました。
新たに超過が判明した地点については、汚染井戸周辺地区調査を行うとともに井戸所有者への飲用指導を実施しました。これらの地点については、今後も調査を継続してまいります。
2 大気汚染調査結果
(1) 大気汚染常時監視結果
- 二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素及び浮遊粒子状物質は、全ての測定局で環境基準を達成しました。
- 微小粒子状物質(PM2.5)は、55局中54局で環境基準を達成しました。
- 光化学オキシダントは、2017年度と同様に全ての測定局で環境基準を達成しませんでした。
- 大気汚染物質の年平均値の経年変化をみると、二酸化硫黄、一酸化炭素及び光化学オキシダントはほぼ横ばい、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び微小粒子状物質(PM2.5)は緩やかな減少傾向にあります。
(2) 有害大気汚染物質等モニタリング調査結果
3 参考
(1) 公共用水域の環境基準達成状況及び経年変化
調査項目 |
類型指定水域数 |
||||
---|---|---|---|---|---|
環境基準達成水域数 |
環境基準達成率 |
||||
河川 |
BOD |
49(注1) |
48 |
98% |
|
水生生物保全環境基準 |
全亜鉛 |
42(注1) |
37 |
88% |
|
ノニルフェノール |
42 |
100% |
|||
LAS |
41 |
98% |
|||
湖沼 |
COD |
1 |
0 |
0% |
|
水生生物保全環境基準 |
全亜鉛 |
1 |
1 |
100% |
|
ノニルフェノール |
1 |
100% |
|||
LAS |
1 |
100% |
|||
海域 |
COD |
11(注2) |
6 |
55% |
|
全窒素 |
6(注2) |
5 |
83% |
||
全燐 |
6 |
100% |
|||
水生生物保全環境基準 |
全亜鉛 |
4(注2) |
4 |
100% |
|
ノニルフェノール |
4 |
100% |
|||
LAS |
4 |
100% |
(注1) 河川の類型指定水域数について、調査項目により数は異なるが、対象河川は同一である。
(注2) 海域の類型指定水域数について、COD、全窒素及び全燐については、「伊勢湾(三河湾を含む。)」であり、水生生物保全基準については、「伊勢湾(三河湾を除く。)」である。
(2) 大気汚染常時監視物質の環境基準達成率及び全県年平均値の経年変化
(注)1973年度の環境基準達成率は、一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局の合算。
(3) 用語解説
- 環境基準
環境基本法第16条に「政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定める。」と規定されており、この基準を環境基準といいます。
- 健康項目
水質汚濁に係る環境基準において、人の健康を保護するために基準の定められているカドミウム始め27項目のことをいいます。
- 生活環境項目
水質汚濁に係る環境基準において、生活環境を保全するために基準が定められている、BOD始め9項目及び水生生物の保全に係る環境基準項目である全亜鉛始め3項目のことをいいます。
- 1,2-ジクロロエタン
塩化ビニル等の合成原料、フィルム洗浄剤、有機溶剤、殺虫剤、ビタミン抽出剤、燻蒸剤などに用いられます。臭気がある無色油状の液体で、揮発性が高く、引火性があります。発がん性が指摘されています。
- BOD(生物化学的酸素要求量)
水中の汚濁物質(主として有機物)が微生物によって酸化分解されるときに必要とされる酸素量で、河川の汚濁を表す代表的指標です。値が大きいほど汚濁の度合いが著しいことを表します。
- COD(化学的酸素要求量)
水中の汚濁物質(主として有機物)を酸化剤で化学的に酸化するときに消費される酸素量で、海域や湖沼の汚濁を表す代表的指標です。値が大きいほど汚濁の度合いが著しいことを表します。
- 全亜鉛
非鉄金属の中では銅、アルミニウムに次いで多く産出されている物質で、主な用途である亜鉛メッキが消費全体の6割程度を占めています。人にとっては必須元素で、欠乏すると様々な障害が起こりますが、一方で過剰な摂取は同じく必須元素である銅の吸収を妨げるおそれがあります。
- ノニルフェノール
難分解性の化学物質で工業用の界面活性剤として用いられるノニルフェノールエトキシレートの原料、印刷インキ材料、酸化防止剤の原料などに使われています。環境中では、ノニルフェノールエトキシレートが分解されることによっても生成されます。
- LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩)
合成洗剤の主成分などとして使われている界面活性剤の一種です。環境中への主な排出源は家庭で、ほとんどが河川や海などへ排出されています。
- 全窒素
水中の栄養塩類として閉鎖性水域の富栄養化の原因となる物質の一つです。生活排水、工場排水などにより供給され、過剰な栄養塩類は、藻類などの植物プランクトンの著しい増殖による赤潮やアオコ、苦潮(青潮)の発生の原因となります。
- 全燐
窒素とともに、水中の栄養塩類として閉鎖性水域の富栄養化の原因となる物質の一つです。生活排水、工場排水などにより供給され、過剰な栄養塩類は、藻類などの植物プランクトンの著しい増殖による赤潮やアオコ、苦潮(青潮)の発生の原因となります。
- 砒(ひ)素
砒素及びその化合物(砒酸、亜砒酸、砒化水素等)は、皮膚、消化器、呼吸器から吸収されると、体内に沈積して排出されにくく、慢性中毒を起こし、嘔吐、発しん等の症状を示すといわれています。生物に対する毒性が強いことを利用して、農薬、木材防腐などに用いられます。発ガン性が指摘されています。
- 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
窒素化合物のうち、硝酸塩及び亜硝酸塩のことをいい、水中の窒素化合物の一部が微生物により分解され、硝酸塩や亜硝酸塩を生成します。硝酸塩及び亜硝酸塩は、肥料、火薬製造、ガラス製造の原材料などに使用されています。健康影響として、乳幼児に対するメトヘモグロビン血症(チアノーゼや窒息を起こす。)を起こします。硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素などの窒素も、富栄養化の要因物質になります。
- 大気汚染に係る常時監視項目
大気汚染防止法第22条第1項の規定により知事が行う大気汚染の状況を常時監視する項目として、二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、光化学オキシダント、微小粒子状物質の6項目があり、環境基準が定められています。
- 有害大気汚染物質
大気汚染防止法第2条第15項に規定されており、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質で大気の汚染の原因となるもののうち、ばい煙、特定粉じん及び水銀及びその化合物を除いたものを指します。このうち、物質の有害性や大気環境濃度からみて健康リスクが高いと考えられる優先取組物質20項目について、大気汚染の状況を把握するためモニタリングを実施することが有害大気汚染物質モニタリング指針(平成9年2月12日公布)に示されています。この中でベンゼン等4物質に環境基準が、アクリロニトリル等8物質に「環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値」(指針値)が設定されています。なお、水銀及びその化合物は優先取組物質と同等に指針値が定められています。
- 二酸化硫黄(SO2)
重油など硫黄分を含む燃料が燃焼するときに発生する硫黄酸化物の主成分です。高濃度のときは目の粘膜に刺激を与えるとともに呼吸機能に影響を及ぼすといわれています。また、金属を腐食させたり植物を枯らしたりするといわれています。
- 二酸化窒素(NO2)
燃焼時の高温下で空気中の窒素と酸素が化合することによるほか、窒素分を含む有機物が燃焼するときにも発生します。発生源は、工場、自動車、家庭等多岐にわたります。高濃度のときは、目、鼻等を刺激するとともに、健康に影響を及ぼすといわれています。
- 一酸化炭素(CO)
有機物が不完全燃焼したときに発生するものです。発生源は、自動車によるものが多く、その他石油ストーブ、ガスコンロ、タバコ等からも発生します。人体への影響は、呼吸器から体内に入り、血液中のヘモグロビンの酸素運搬機能を阻害するといわれています。
- 浮遊粒子状物質(SPM)
SPMは、Suspended Particulate Matterの略。大気中に浮遊する粒子状物質であってその直径が10μm(1μm=1/1,000mm)以下のものをいいます。発生源は、工場、自動車、家庭等人為由来のもののほか、土壌の舞い上がりや海水の飛沫が乾燥してできた海塩粒子等自然由来のもの、燃焼等に伴い排出されたSOxやNOx、炭化水素などから大気中で生成する二次粒子や煙突から排出されたガスが大気中で冷やされてできる凝縮性ダストなどがあります。この粒子は、沈降速度が小さいため、大気中に比較的長時間滞留し、高濃度のときは呼吸器等に影響を与えるといわれています。
- 光化学オキシダント(Ox)
大気中のオゾン、パーオキシアセチルナイトレート(PAN)等の酸化力の強い物質の総称です。大気中の窒素酸化物、炭化水素等が強い日射を受け、光化学反応を起こして生じるものですが、その生成は、反応物質の濃度レベルのみならず、気象条件に大きく依存しています。高濃度のときは眼を刺激し、呼吸器、その他の臓器に影響を及ぼす一方、不快、臭気、視覚障害などの生活環境や植物にも影響を及ぼすといわれています。
- 微小粒子状物質(PM2.5)
PM2.5は、粒径が2.5μm(1μm=1/1,000mm)以下の大気中に浮遊する粒子状物質をいいます。粒径が非常に小さいため、肺の奥まで入りやすく、肺がん、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響が懸念されるといわれています。
4 調査結果の詳細
(1) 2018年度公共用水域及び地下水の水質調査結果
(2) 2018年度大気汚染調査結果
国土交通省中部地方整備局が測定した結果はこちらです。
国土交通省中部地方整備局名古屋国道事務所ウェブサイト(外部リンク)
平成30年度愛知県内国土交通省管理の常時監視局における大気の測定結果
問合せ
愛知県 環境局 環境政策部 水大気環境課
調整・計画グループ 宮本、松下
電話 052-954-6221(ダイヤルイン)
水・土壌規制グループ 宮本、木村
電話 052-954-6225(ダイヤルイン)
大気調査グループ 大谷、原野
電話 052-954-6216(ダイヤルイン)
E-mail: mizutaiki@pref.aichi.lg.jp