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研究報告第43号-抄録008
畜産業を伴う赤黄色土野菜畑地帯の河川における窒素、リンの流出
日本土壌肥料学雑誌81(5):481-488
キーワード
摘要
畜産業を伴い露地野菜畑が流域面積の54%を占める赤黄色土地帯の三河湾流入河川の一つを対象に、窒素、リンの流出特性、流出負荷量を評価した。
降雨出水時には、河川流量の増大に伴い、SiO2や肥料成分由来のイオン類とともにNO3--N濃度の低下が認められた。逆にSSとPP濃度は河川流量に伴って上昇し、SSとPPには強い正の相関が認められた。基底流出の窒素、リン濃度には、夏季に豊川用水のかんがいによる希釈効果によって低くなる季節変動が認められた。
窒素が常時流出しているのと対照的にリンの大きな流出負荷はSSと同様に、ほぼ50mm d-1以上のまとまった降雨があった場合に限られた。年間流出負荷量は、窒素では19.2Mg km-2 y-1で、TNの89%、NO3--NとNH4+-Nの94%が基底流出によるものであった。リンの年間流出負荷量は2.0Mg km-2 y-1で、TPの53%、PPの84%が出水時の直接流出によった。
以上の結果、本河川の窒素の由来は野菜畑を地下浸透したNO3--Nの地下水流出および畜産浄化槽排水が、リンについては畜産浄化槽排水に加えて土壌侵食を伴う表面流出が主であると考えられた。
著者
糟谷真宏:東三河農業研究所
坂西研二:農業環境技術研究所
板橋直:農業環境技術研究所
荻野和明:東三河農業研究所(現園芸農産課)
廣戸誠一郎:東三河農業研究所(退職)
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