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育成品種 作物16
稲 「なつきらり」
「なつきらり」 「コシヒカリ」
玄米の外観品質の比較
(白未熟粒の発生程度の違い)
近年、水稲栽培では、夏の暑さで、米粒が白く濁り、品質の低下が大きな問題となっています。そこで、愛知県農業総合試験場は、猛暑の年でも品質の良い米ができる新品種「なつきらり」を開発しました。本品種の導入により、8月に収穫する平坦地域の早期栽培において1等米※1の安定生産が可能となります。
※1 1等米は、農産物検査法に基づく米穀検査において、最上級に格付けされる米です。
「なつきらり」の特徴
- 従来の品種は、穂が出てから実るまでの平均気温が27℃以上の高温条件になると、外観が白く濁る白未熟粒(しろみじゅくりゅう)※2と呼ばれる品質の悪い米粒が増加します。本品種は、同時期に実る「コシヒカリ」と比べて白未熟粒の発生が少なく、特に、猛暑の年の品質は、明らかに良くなります。
- 食味は、「コシヒカリ」と同等に良好です。
- 収量は、「コシヒカリ」同等以上です。
- 出穂期は、「コシヒカリ」と同じであり、愛知県の熟期区分では極早生種(ごくわせしゅ)です。
※2 白未熟粒とは、外観が白く濁った米粒の総称で、デンプンの充実不足が原因で起こります。白濁の部位により、背白粒(せじろりゅう)、基白粒(もとじろりゅう)、乳白粒(にゅうはくりゅう)などに分けられます。
背白粒 基白粒 乳白粒
白未熟粒の例
「なつきらり」の開発の経緯
本県の「コシヒカリ」栽培は、穂が出てから実るまでの時期が、特に高温となることが多いため、白未熟粒の発生割合が高く、1等米比率は低くなる傾向にあります。そこで、農業総合試験場では、平成16年から、高温条件下でも白未熟粒の発生が少なく、品質の良い米が生産できる高温耐性品種の開発に取り組み、「なつきらり」を新たに開発しました。
「なつきらり」の成熟期の姿
問合せ先
愛知県農業総合試験場
作物研究部作物研究室
電話: 0561-41-9517
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp