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令和7年度外部評価結果
令和7年度愛知県農業総合試験場外部評価会議の開催状況
1 日時
令和7年10月14日(火曜日)午後2時から午後5時まで
2 場所
愛知県農業総合試験場 中央研究棟 第1会議室・研修ホール
3 評価委員(敬称略)
| 所属・職名 | 氏名 |
|---|---|
| 名古屋大学大学院 生命農学研究科 教授 | 浅川 晋(座長) |
| ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 研究開発本部 基盤研究所 主席研究員 | 井上 孝司 |
| 中日新聞社 編集局生活部 部長 | 坂口 千夏 |
| 愛知消費者協会 会長 | 吉田 典子 |
4 評価方法
「愛知県農林水産業の試験研究基本計画2025」に基づき実施した試験研究(研究課題)に関して、評価委員の合議により、研究テーマの設定、研究の取組状況、今後の計画の観点から、A(優れている)、B(やや優れている)、C(やや劣る)、D(劣る)の4段階で評価した。
5 報告
会議座長の浅川 晋氏から次のとおり評価結果票が提出されました。
令和7年度農業総合試験場外部評価結果票
評価結果の総括
担い手の減少と高齢化、人手不足が進む中、農業経営の革新と産地強化、環境保全を図りつつ、安全・安心・良質な農畜産物を安定供給するという使命に応えるため、日々地道な努力と工夫を重ね試験研究・技術開発に取り組まれていることに深い敬意を表します。以前から取り組まれている多収・高品質化、高収益・省力化に加え、スマート化、気候変動への適応策、持続的農業の推進、ブランド力の強化、「みどりの食料システム戦略」への対応と、試験研究には多種多様な課題へ対処することが求められています。また、人件費の上昇とともに、肥料・飼料・燃料など生産資材費の高騰により、それらの多くを輸入に依存する国内農業はより難しい対応を迫られています。さらに、不安定な国際情勢が継続している上、昨年のいわゆる「令和の米騒動」もあり、食料安全保障の観点から国内生産による食料の安定供給の必要性は一層高まっています。これらの複雑かつ困難な状況下、今回の評価対象課題は、それぞれのニーズと背景に対し適切な目標と計画を策定して試験研究に取り組み、着実に成果を得ていると評価します。
新技術の実装化・普及には生産者・消費者等のニーズとのマッチング、効果的な普及方法や広報・啓発活動の検討も重要であり、以前にも増して高度化・複雑化した問題に対応すべき試験研究課題が多くなっています。農業技術開発は長期にわたる地道な試験研究活動が土台となっており、それらを支える経常的な試験研究予算の措置による財政面の支援と、専門性に配慮した研究者の養成・配置による人的基盤の構築が極めて重要と考えます。
(研究テーマ) トマト高収益生産システムの実用化 -トマトの茎を潰して収量向上-
研究テーマの設定について
トマトの高収益が見込める高温期に発生する裂果を防ぐ技術を開発する課題であり、目的は明確で生産者のニーズに対応した良いテーマ設定と評価します。今後想定される温暖化にも資する取り組みである点も評価できます。
研究の取り組み状況について
簡便で実装容易な果梗捻枝が効果の高いことを見出し、さらに効果を高める方法を案出して裂果の発生率が着実に低下することを実証しており、順調に研究を進めていると評価します。
今後の計画について
普及に向け、生産者との連携、処理方法の動画での発信、作業を容易化する器具の検討・開発を進める計画は妥当と思います。作業者負担の一層の低減、省力化、低コスト化を目指して、さらに技術が改良されることを期待しています。
評価:A(A~Dの4段階評価)
(研究テーマ) 有機質肥料の肥効予測ツールの開発
研究テーマの設定について
みどりの食料システム戦略への対応として、水稲作での有機質肥料の窒素肥効が簡単にわかるツールを開発する課題であり、目的は明確で化学肥料削減・有機質肥料活用促進に繋がる、生産者に有用なテーマ設定と評価します。
研究の取り組み状況について
作成した窒素無機化量の推定式を基に地域別の有機質肥料の施用量・時期を判定するツールを開発し、栽培試験での検証とツールのWebアプリ化まで行っており、極めて順調に研究を進めていると評価します。
今後の計画について
生産者による試用、直播、特別栽培米、高温対策など様々な条件へのアプリの適用拡大や改良を行う計画であり、妥当と評価します。今後、リンやカリウムへの対応、適用可能な有機質肥料の拡大によりアプリの有用性がさらに高まると期待します。また、アプリの普及促進や持続的運用に向けた検討や、県内水田用にカスタマイズされた独自アプリであることのアピールも重要と考えます。
評価:B(A~Dの4段階評価)
(研究テーマ) 新たな被覆方法による碾茶の品質向上技術の確立
研究テーマの設定について
アミノ酸含有量の向上によりさらなる高品質化を目指す課題であり、ブランド力向上と碾茶の単価上昇につながる有用なテーマ設定と評価します。
研究の取り組み状況について
棚3重被覆によりアミノ酸含有量が0.5%向上することを明らかにして、収量性も含め最良の技術であることを示し、目的に対し順調に研究を進めていると評価します。
今後の計画について
現場普及性、遮光率、被覆時期の検討によりさらなる含有量の向上を目指す計画は妥当と考えます。環境保全面の配慮は必須ですが施肥の改良や、新たな被覆資材を今後検討しても良いのかと思いました。また、県内消費を増やす試みや、生産者と協同して品質を含めた総合的なブランド力の向上を図ることも必要かと感じました。
評価:B(A~Dの4段階評価)
(研究テーマ) カメムシ抵抗性をもつ複合抵抗性系統の開発
研究テーマの設定について
カメムシ害の低減を目指し、すでに開発済みの病害虫抵抗性・高温耐性イネ品種へカメムシ抵抗性を導入し、複合抵抗性・高温耐性イネ系統を育成する課題であり、ニーズに対応した重要かつ適切なテーマ設定と評価します。
研究の取り組み状況について
抵抗性遺伝領域の特定とDNAマーカーを開発し、「あいちのこころ」に抵抗性領域を導入した系統で斑点米比率が低下することを確認しており、極めて順調に研究を進めていると評価します。
今後の計画について
カメムシ抵抗性に加え、いもち病・ウンカ抵抗性と高温耐性の強化遺伝子を導入した系統の特性調査、圃場抵抗性の検定を進める計画は妥当と考えます。世界初のカメムシ抵抗性実用イネ品種の完成と生産者にメリットをもたらす防除体系の確立を期待しております。
評価:A(A~Dの4段階評価)
問合せ先
愛知県農業総合試験場
研究戦略部 企画調整室
電話: 0561-41-8963(ダイアルイン)
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp

