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カーボンリサイクルプロジェクト~カーボンリサイクルコンクリートの地産地消に向けて~
カーボンリサイクルプロジェクトとは
1 経緯(プロジェクトの選定)
愛知県は、2050 年カーボンニュートラルを実現するため、2021 年から全国の民間企業等を対象に、革新的・独創的な脱炭素プロジェクトのアイデアを募集するとともに、提案されたアイデアの中から、事業化すべきプロジェクトを学識者からなる「あいちカーボンニュートラル戦略会議」で選定し、事業化の支援を行っています。
2023 年12 月に開催した同会議において、事業化を支援すべき脱炭素プロジェクトとして、大成建設株式会社、株式会社アイシン及び東邦ガス株式会社から提案のあった「CO2コンクリート固定化技術を用いた域内カーボンリサイクルプロジェクト」が、選定されました。
県は、学識経験者や関係企業等が参画する推進協議会の設置や、地域内での廃棄物・副生物やCO2回収等に係る効率的なスキームの構築、採算性の評価・法規制等に係る実現可能性調査を実施することで、産業部門から排出されるCO2 削減に資する本プロジェクトの事業化を支援します。
2 プロジェクトの概要
<プロジェクトのイメージ>
(1)背景
愛知県の温室効果ガス総排出量は約7,000 万t/年であり、産業集積地であるという地域特性から、産業部門がこのうち約50%を占めているため、その削減が課題である。
CO2 をコンクリート原料として利用することで長期間固定できるとともに、コンクリート原料のセメントは製造工程において大量のCO2 を排出することから、セメントを使用しないコンクリートの社会実装がCO2の削減に有効である。
(2)内容
東邦ガス株式会社の都市ガスを利用している工場等から排出されるCO2を回収し、株式会社アイシンの技術であるアミノ酸水溶液を用いて、廃棄物・副産物中から抽出されるカルシウム成分(CaO)とCO2 を効率的に反応させ、炭酸カルシウム(CaCO3)を製造する。大成建設株式会社のセメントを使用しないコンクリートの製造技術により、CO2を炭酸カルシウムとしてコンクリートに利用し、固定化することで、地域内におけるカーボンリサイクルサプライチェーンを構築する。
(3)提案企業の主な役割
役割 | 会社名 |
---|---|
全体アレンジ、顧客接点を活用したCO2及び廃棄物・副産物の回収・配送 | 東邦ガス株式会社 |
CO2とCaOを反応させて、CaCO3の製造・出荷 | 株式会社アイシン |
CaCO3を原料に利用し、CO2をコンクリートに固定化 | 大成建設株式会社 |
3 支援の概要(2024年度)
(1)「あいちカーボンリサイクル推進協議会」の設置
産業部門のCO2削減に資するカーボンリサイクルサプライチェーンを地域に実装するため、市町村、関係企業等に幅広く参画を呼び掛け、推進協議会を設置する。また、地域におけるカーボンリサイクルビジョンの策定や協力企業等の仲間づくりを実施する。
(2)Ca含有廃棄物/副産物収集・CO2回収スキームの構築支援
廃棄物・副産物中のカルシウム成分の分析等に係る調査、具体的な協力企業等の探索を実施するなど、効率的・効果的にカルシウム成分を含む廃棄物・副産物やCO2を、この地域で収集・回収ができるスキーム構築を支援する。
(3)カーボンリサイクルサプライチェーン実現可能性調査
構築したスキームに基づき、カーボンリサイクルサプライチェーンを社会実装するため、法規制等に係る課題等を整理し検討するとともに、採算性の評価等を実施する。
4 支援の概要(2025年度)
(1)「あいちカーボンリサイクル推進協議会」の運営支援等
推進協議会を年2回程度開催するとともに、カーボンリサイクルコンクリートの実証導入や公共工事の標準仕様書への反映等について検討するため、有識者や自治体等からなるワーキンググループを推進協議会の下に設置する。
(2)Ca含有廃棄物/副産物・CO2排出企業等の募集、新規開拓
今年度調査・検討した、Ca含有廃棄物/副産物収集・CO2回収に係るリサイクルスキームや排出条件(性状・量など)等を踏まえ、本プロジェクトに資するCa含有廃棄物/副産物・CO2排出企業、コンクリート製造・利用企業等の募集・マッチングを行う。
また、Ca源の確保に向けたポテンシャル調査の実施等により、Ca含有廃棄物/副産物排出企業の新規開拓を行うとともに、個別具体の事例に応じたCO2分離・回収設備を提示できるように詳細に調査し、CO2排出企業の新規開拓を行う。
(3)具体的なCa含有廃棄物/副産物・CO2排出企業やコンクリート製造企業に基づくFS調査
推進協議会の構成員や(2)で新たに参画した企業等により、具体的なCa含有廃棄物/副産物・CO2排出企業、コンクリート製造企業等をモデルとした、回収・製造・流通に係るリサイクルスキームを構築し、コスト・CO2削減量の算出、関係法令対応等に係るFS調査を実施する。
(4)コンクリート等製造プラントに係る事業化検討調査
コンクリート製造プラント及び炭酸カルシウム製造プラントを新設、大規模に実証していく場合等を想定し、プラントの適地選定やコスト試算を実施する。
(5)カーボンリサイクルコンクリートの採用に向けた基準化検討、試験製造
カーボンリサイクルコンクリートが各種工事等で採用されるようにするため、国や海外事例、業界団体の状況等を調査するとともに、強度・耐久性・使用ルール等の基準化に係る検討等を行う。また、推進協議会の構成員の協力等を得て、カーボンリサイクルコンクリートを試験的に製造し、その性能等の試験を実施する。
(6)CO2削減効果の帰属に関する検討調査
カーボンリサイクルコンクリートによるCO2削減効果を、各ステークホルダー(CO2排出企業、コンクリート製造者、コンクリート利用者等)にどのように帰属させるのが妥当か、国や海外事例、基準化機関などの状況を調査し、ルール化に向けた検討を行う。
あいちカーボンリサイクル推進協議会
カーボンリサイクルサプライチェーンを地域に実装するため、学識経験者や関係企業等からなる「あいちカーボンリサイクル推進協議会」を設置しています。当協議会では、カーボンリサイクルサプライチェーンの構築に関するスキーム検討、実現可能性調査、ビジョン策定、関連制度への対応、その他協議会の目的を達成するために必要な事項を協議していきます。
あいちカーボンリサイクル推進協議会規約 [PDFファイル/92KB]
第1回会議(2024年9月18日開催)
資料
〔資料1_補足資料〕協議会について [PDFファイル/1000KB]
※企業等活動情報を含むため、資料の一部は非公開
開催結果
第2回会議(2025年3月28日開催)
資料
※企業等活動情報を含むため、資料の一部は非公開
開催結果
あいちカーボンリサイクルビジョン~カーボンリサイクルコンクリートの地産地消に向けて~
プロジェクトの意義や将来的な目標等を関係者で共有するため、カーボンリサイクルに係るビジョンを本協議会において策定しました。このビジョンに基づき、カーボンリサイクルサプライチェーンの構築に向けた取組を一層推進していきます。