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市販されている2種類のベクターの欠点を克服した新しいコンセプトのマイクロRNA発現ベクター

ページID:0567258 掲載日:2025年3月12日更新 印刷ページ表示

市販されている2種類のベクターの欠点を克服した新しいコンセプトのマイクロRNA発現ベクター(特願2024-33790)

概要

 マイクロRNA発現カセット及び発現ベクターと、その研究や医療への利用に関する特許。

従来技術の課題

(1)短いRNAを発現するマイクロRNA発現ベクターでは、RNA polymerase IIIのプロモーターを使うため、プロモーターの選択肢が少ない。

(2)GFPの3’UTRにマイクロRNAを組み込むベクターでは、細胞が本来持つマイクロRNA成熟過程を通らずにマイクロRNAが産生される。

課題解決の手段とその効果

  エクソンーイントロンーエクソンの構造をもつ発現カセットにマイクロRNAを組み込み、カセット全体を転写させる。その転写産物は内在性の遺伝子転写産物のようにスプライシングされる。

 スプライスアウトされたRNAから、細胞が本来持つマイクロRNA成熟過程を経て機能的な成熟マイクロRNAを産生することができる。

 さらに、このカセットの転写及び発現は、RNA polymerase IIのプロモーターを使用するため、さまざまな発現制御が可能である。

主な利用分野/市場動向

 それぞれのマイクロRNAが細胞内で果たしている機能を解析する研究に利用できる。

(1)特に、がんや先天性疾患、老化などで、近年報告されるようになってきた、マイクロRNA自身における突然変異の影響を解析することができる。

(2)さらに、マイクロRNA発現カセットは2.3kbpの長さであり、ウィルスベクターに搭載できるため、神経細胞や、マウスの脳におけるマイクロRNAの発現を必要とする研究へ応用に適する。また、先進医療に向けて、がん、神経疾患、感染症、心疾患、代謝性疾患などの慢性疾患のための治療戦略に応用でき、世界のマイクロRNA市場規模は2030年までには36億4,000万米ドルに達すると予測されている(Grand View Research, Inc.)。

技術の詳細解説

 本マイクロRNA発現カセットは、R3HDM1 遺伝子のエクソン 18、イントロン 18 のスプライシングドナー側の領域、マルチクローニングサイト(MCS)、スプライシングアクセプター側のイントロン 18、エクソン 19、GFP遺伝子を上記の順に連結したものである。

 エクソン 18 は ATG で始まり、翻訳開始コドンとして使用できる。GFP遺伝子はエクソン 19 のフレームに合うように導入されており、カセットの転写物が正確にスプライスされると、エクソン 18、エクソン 19及びGFPからなる融合タンパク質のmRNAが産生される。したがって、導入された細胞は、融合タンパク質の GFP シグナルで標識される。

 任意のマイクロRNAをMCSに導入できる。本マイクロRNA発現カセットは、制限酵素の処理により他のベクターに導入することが可能であり、任意のプロモーターを使用することができる。

RNA

開発状態

 CMVプロモーターにマイクロRNA発現カセットを連結した完成型のベクターあり。

技術支援

 【共同研究】 可

 【技術指導】 可

 【サンプル提供】 可

問い合わせ

愛知県知的所有権センター
電話 0561-76-8318
FAX  0561-76-8319

医療療育総合センター 運用部総務課
電話 0568-88-0811(内線5214)

愛知県 経済産業局 産業部 産業科学技術課 (研究開発支援グループ)
電話 052-954-6370(ダイヤルイン)
FAX  052-954-6977