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ノリ優良種苗開発
近年、海水温上昇の影響により秋季の水温降下時期が遅れ、ノリ養殖の開始時期が遅れる傾向にあります。また、ノリ養殖の開始後にノリ葉体に高水温による障害(葉体の変形や脱落)が発生し、生産に影響を与えています。
そこで、愛知県漁業協同組合連合会と共同で高水温被害を軽減できるスサビノリ種苗としてあゆち黒誉れとあゆち黒吉を開発し、種苗法に基づく品種登録出願を行いました(あゆち黒誉れは出願中、あゆち黒吉は平成24年4月登録、平成28年4月登録期間満了)。あゆち黒誉れは高水温での障害が少なく葉体の色調が濃いことが特徴で、あゆち黒吉は高水温でも単胞子(*)の放出量が多く葉体の色調が濃いことが特徴です。この2品種は混合して養殖することによって、生産されるノリ製品の品質向上と生産量の増大をはかることができ、使用している県内の生産者からは高評価を得ており、さらなる普及を図っています。
なお、あゆち黒誉れは種苗法に基づき、海外への持出しを制限するとともに、県内のみで使用を認めています。
県内のノリ養殖を行っている海域では、さらなる高水温化や貧栄養化などが引き続き問題となっており、今後もこうした環境の変化の影響を削減できる優れた形質をもつ種苗の開発を目指します。
*単胞子とはノリの葉体から遊離した細胞のことで、ノリ網に付着して新たな葉体として生長します。
標準品種U-51(左)と高水温(24℃)で2週間培養したあゆち黒誉れ(右)の比較
養殖したあゆち黒吉葉体
単胞子を放出するあゆち黒吉葉体
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