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愛知県地方税制に関する研究会中間報告について
地方税制に関する研究会(座長:立教大学経済学部教授池上岳彦)では、地方自治確立のために地方税源を充実させるという観点から研究をしてきましたが、平成13年7月、法人事業税の外形標準課税についての検討を中心とした中間報告を取りまとめました。
中間報告では、現行の法人事業税の抱える問題点を分析した上で、法人事業税の外形標準課税のあり方について、中小法人への配慮、地方分権の考え方などの観点から、平成12年11月に総務省(旧自治省)が示した案と比較しながら検討した結果を取りまとめています。
「愛知県地方税制に関する研究会中間報告」の要旨
1 愛知県の財政状況
バブル崩壊後、県税などの一般財源収入が伸び悩む一方で、公債費などの義務的・経常的経費が増加したことにより、財政構造の硬直化が進んだ。
2 外形標準課税のあり方
(1) 現行の法人事業税が抱える問題
赤字法人は、企業規模にかかわらず都道府県の行政サービスを受けていながら、法人事業税を負担しておらず、税の公平性に問題を生じている。
税収は景気変動により大きく左右される。
(2) 外形標準課税導入の必要性
外形標準課税の導入は、 1.公平な税負担の実現、 2.経済の活性化、経済構造改革の促進、 3.受益に応じた薄く広い税負担の実現、 4.地方分権を支える安定的な地方税源の確保 の観点から必要である。
(3) 外形標準課税 ≪要件の検討≫
(1)外形基準
外形基準は、事業活動価値(利潤に給与総額、支払利子及び賃借料を加えたもの)が望ましい。
支払利子及び賃借料については、原則として、受取額を控除する制度を設けることは適当でない。
電気供給業等の収入金額課税法人についても、他の業種と同様に事業活動価値を外形基準とするのが適当。
(2)分割基準
分割基準は、法人県民税と同様の単純な従業員数が望ましい。
(3)経過措置
外形標準課税の導入に当たっては、納税者の税負担及び都道府県税収の激変緩和のため、一定期間現行の所得課税と併用するのが適当。
(4)中小法人への配慮
中小法人に対する特例措置の創設は必要不可欠。
例えば、資本金1千万円以下の中小法人については、事業活動価値での申告と資本金等による段階的な定額課税での申告との選択制を導入する。
(5)雇用への配慮
最近の経済状況の中で、企業が人件費削減などの懸命な合理化努力をしていることなどに配慮して、一定の特例を設けることが適当。
(6)税収規模と税率の設定
外形標準課税の導入は、増税を目指すものではないため、その税収規模については、税収中立として決定するのが適当。
税率については、地方分権の推進の観点、それぞれの地域の実情にあった税収確保の観点から、制限税率を標準税率の1.5倍程度とするなど都道府県の税率決定権を幅広く認める必要がある。
(7)導入時期
外形標準課税の導入時期は、納税者への周知期間などを勘案し、できるだけ速やかに導入するのが適当。
(8)その他必要な措置
外形標準課税を導入すると、現在より申告事務負担が大きく増加することから、現行の所得課税部分にも踏み込んだ抜本的な申告事務負担の軽減に資する改革が必要不可欠。
(4) 総務省(旧自治省)案との比較検討
3 課税自主権の活用
1 法定外税
2 超過課税
4 まとめ
地方税を充実するために、基本的には、国全体の仕組みとして国からの税源移譲等が必要不可欠。
今後、税財政の大きな枠組みの中で、愛知県にふさわしい税制は何かといった点などについて幅広く研究していきたい。
項目 | 総務省案 | 研究会案 |
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中小法人 への配慮 |
(研究会案の考え方) 資本金1千万円の法人(最低資本金の株式会社)を含めて中小企業に配慮することが望ましい。 |
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資本金1千万円未満の中小法人に配慮 | 資本金1千万円以下の中小法人に配慮 | |
税率 | (研究会案の考え方) 地方分権推進の観点などから、都道府県の税率決定権を幅広く認める必要がある。 |
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制限税率は、標準税率の1.1倍(現行どおり) | 制限税率は、少なくとも現行より高くするのが望ましい。 | |
外形基準 | (研究会案の考え方) 金融業等一部の業種に過度に有利となるような制度は適当でない。 |
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支払利子及び支払賃借料は、受取額控除後のもの | 支払利子及び支払賃借料は、受取額控除前のもの | |
対象法人 | (研究会案の考え方) 全ての法人を対象にすることが適当である。 |
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公共法人等、電気供給業等一部の法人を除く | 全ての法人を対象 | |
分割基準 | (研究会案の考え方) 納税者・徴税側双方の事務負担軽減のために、単純なものが望ましい。 |
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従業員数、事務所数、固定資産の価額など | 従業員数のみ | |
導入割合 | (研究会案の考え方) 納税者の税負担及び都道府県税収の激変緩和のため、一定期間現行の所得課税と併用するのが適当である。 |
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導入初年度から3年間は4分の1、その後は2分の1を外形基準により課税 | 一定期間現行の所得課税と併用 |
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問合せ
愛知県 総務局 財務部 税務課
E-mail: zeimu@pref.aichi.lg.jp