主な展示作品
主な展示作品

「F-1511」
井上 雅之(多摩美術大学 教授)
2015年
多摩美術大学は、現代の美術の中で、「陶」で表現するとはどういうことなのかを自問自答し続ける教育を行ってきた。井上は、多摩美術大学を卒業後の80年代以降、日本の現代陶芸界の第一線を走ってきた陶芸家であり、現在は母校で学生の指導を行っている。その作品は、部分の集積で全体を構成していくものであり、構成の中で発生する部分と部分とのせめぎ合いが緊張感とリズムを生み出している。

「Thing Hand; One year memory 09.08.2016」
金美卿(梨花女子大学校 教授)
2016年
梨花女子大学校は、韓国の大学の中で、いち早く陶芸教育を始めた名門の一つである。韓国陶芸の表現傾向は、土着性の上に国際的な現代美術の流行が取り入れられたもの、人間存在に関わるもの、デザイン性にあふれたクラフト作品などに大きく分けることができる。梨花女子大学校で学生を指導する金美卿は、今回、自身の記憶と素材と関わる手の記憶とを作品化したコンセプチュアルな作品を出品する。

「丘陵(Hills)」
周 武(中国美術学院 教授)
2016年
中国の現代陶芸は、近年の現代美術化する表現が注目され始めたとはいえ、長い中国陶磁の歴史の延長上にあり、産地に位置する大学ごとに伝統を踏まえた特徴的な教育方針が立てられている。杭州に位置する中国美術学院は、かつて南宋官窯が置かれていた地であり、近くには青磁で世界的に有名な龍泉窯もある。周は龍泉で学び、その青磁の魅力を現代に活かす中国を代表する作家の一人である。

「蒼白的那天(A Gray Day)」
王 怡恵(国立台北科技大学 教授)
2017年
台湾の現代陶芸は、本展に参加する四つの国と地域の中で最も遅く始まった。台湾の現代陶芸表現の特徴として、台湾の成り立ちに由来するが、台湾という地域のアイデンティティをいかに形成するのかを国際的な視点で問いかけるというものがある。そのため多くの作家が海外に出て学び、また積極的に海外から作家を招へいするなど活発な国際交流を行っている。国立台北科技大学で教鞭をとる王もまたオーストラリアの大学で博士号を取得し、女性性と土着性の関係をテーマとした作品制作を行っている。