ホーム年間スケジュール 文人趣味と煎茶の主な展示作品

主な展示作品

主な展示作品

【まんまるぐりんだま】烏泥茶銚

【まんまるぐりんだま】
烏泥茶銚
中国 江蘇省 宜興窯
明~清時代 16世紀~17世紀



短い注口に球形の胴部を持ち、宝珠形のつまみのある蓋付きの茶銚(急須)で、日本の文人たちに「倶輪珠(ぐりんだま)」と呼ばれ愛玩されました。紫砂(しさ)と呼ばれるキメの細かいなめし革のような粘土を叩いて成形する「拍打法」(粘土板を筒状にして叩いて胴部を作る「打身筒」とも)によるもので、明代に流行した漆黒の「烏泥」で、自然な凹凸のある土肌感に趣きがあります。

【怪物の顔?】白泥三峰炉(揚名合利)

【怪物の顔?】
白泥三峰炉(揚名合利)
青木木米
江戸時代後期 19世紀



炭を入れ、湯沸かしを乗せる上部(爪)が三方向に伸びる「三峰炉」と呼ばれる炉で、額部に「揚名合利」の印があり、底部には「木米」印が押されています。青木木米の箱書には「饕餮爐(とうてつろ)」とあり、緋色の火痕を両目に、風門を口に、三峰を角に見立て、何でも食べてしまう中国古代の怪物「饕餮」としたのでしょう。

【皇帝の硯、星の詩】康煕御題硯

【皇帝の硯、星の詩】
康煕御題硯
安徽省歙州石(粘板岩)
清時代 17世紀~18世紀



清朝第4代康煕帝(1654年〜1722年)の愛玩した硯。その箱に刻まれた題詩は、唐の杜甫(712年〜770年)の「雲山起翰墨、星斗煥文章」を引用したものと思われます。硯面に表れている金星文を満天の星空にたとえた詩であるとともに、満天星(どうだんつつじ)の花のようにも見え、文人好みの逸品といえます。

【質素な桃源郷】高下数家図

【質素な桃源郷】
高下数家図
浦上玉堂
江戸時代後期 19世紀前半



画題「高下数家」は、北宋時代の王安石の即事 五言律詩「径暖かくして草積むが如く、山晴れて花更に繁し。縦横一川の水、高下数家の村。静かに憩えば鶏午に鳴き、荒尋すれば犬昏に吠ゆ。帰来して人に向かいて説く、疑うらくは是れ武陵原」からくるもので、何気ない自然を至上とする桃源郷を思わせる情景を画いています。
※後期の展示作品です。

【虎に乗る仙人、お茶を運ぶ虎】虎僊育乕子図

【虎に乗る仙人、お茶を運ぶ虎】
虎僊育乕子図
富岡鉄斎
大正3年(1914年)



日本最後の文人と呼ばれた富岡鉄斎が、虎屋のために屋号にちなんで画いた作品。木村定三氏が若干25歳の時、親交のあった虎屋の主人黒川正広氏に懇願して譲り受けたもので、文人趣味コレクションの契機となった作品です。 虎に乗った人物は、唐時代の天台山国清寺の僧である干禅師豊(ぶかんぜんし)、後方の巻物を担いだ子虎は寒山(かんざん)、茶道具を担いだ子虎は拾得(じっとく)を表していると考えられます。
※前期の展示作品です。

【巨大魚】鯤

【巨大魚】 鯤 熊谷守一 昭和33年(1958年)



木村定三氏自ら画題を鯤とした作品です。熊谷はこの作品を作成した同時期に、鯛を抱く土人形をモチーフとしたと思われる作品を複数残しており、次第に人形の無い構図へと変化し、魚が強調されるようになっていきます。その極致が鯤です。
※前期の展示作品です。