主な展示作品
主な展示作品

耳付花入 銘 太郎庵
桃山時代(16世紀〜17世紀) 個人蔵
耳付の筒形の花入で上部がやや扁平になっており、ちょうど耳のところには溝状の篦削りがめぐらされ、そしてそれより上には檜垣文と斜線が同じく篦削りで施されていて、全体にどっしりと重厚な印象を与えています。
器全体に薪窯焼成により現れた黄色の『胡麻』や、中央下部2か所に見られる楕円状の赤茶色の『牡丹餅』などの景色が見事です。
江戸時代中期の名古屋の茶人高田太郎庵が箱書に記したとされる「太郎庵」が銘の由来となっています。

隠﨑隆一
混淆陶筥
2016年 個人蔵
(写真:渞忠之)
「混淆」とは、良質なものから粗悪なものまで種々のものが入り交じった状態を指す作者独自の言葉です。
作者は良質の陶土を選りすぐって用いるのでなく、敢えて従来は用いなかった土もあわせ、数種の土をプレスし固めた土の塊をくりぬいて筥状にしています。表面には混ざり合わず拮抗する異種の土がマーブル状の模様を生み出しています。

ネズミノカップル
1983年
個人蔵
2匹のネズミが互いの身体をつかむことで円相を描いています。作者は回し車を走るネズミの姿から着想を得ました。ネズミのしなやかな動きをユニークな視点で現すだけでなく、尻尾のアーチを焼成によって、たわむことなく作り上げた技の高さも示されていると言えます。
江戸期に隆盛した備前焼細工物は布袋や獅子を題材にした置物でした。現代的な視点・考察に根ざした作者の制作は備前焼細工物の今日の姿を現しています。