ホーム年間スケジュールアーツ・アンド・クラフツとデザインの主な展示作品

主な展示作品

主な展示作品

壁紙《格子垣(こうしがき)》

第1章 モリス・マーシャル・フォークナー商会とモリス商会

壁紙《格子垣(こうしがき)》
ウィリアム・モリス(1834年〜1896年)
1864年
木版、色刷り、紙
モリス・マーシャルフォークナー商会
Photo ©Brain Trust Inc.


すべては、ここから始まった


モリスと妻・ジェーン・バーデンの新居「レッド・ハウス」は、建築から内装まで、すべて仲間と協働して設計された。この経験をもとに、モリスは「モリス・マーシャルフォークナー商会」を設立し、装飾芸術家として出発した。この壁紙は、「レッド・ハウス」の庭のバラの生垣をモチーフに、中世の作風を意識した初期のデザインである。

テキスタイル《いちご泥棒》

テキスタイル《いちご泥棒》
ウィリアム・モリス
1883年
木版、色刷り、インディゴ抜染、木綿
モリス商会
Photo ©Brain Trust Inc.


モリスの代名詞といえば?


インディゴ(藍染)で染色した後、色をのせる部分を漂白し、木版で何回も色を重ねたこのテキスタイルは、モリスの代名詞ともいえる作品。「いちご泥棒」という愛らしいネーミングも世界中で愛される理由のひとつである。

《サセックス・シリーズの肘掛け椅子》

《サセックス・シリーズの肘掛け椅子》
おそらくフィリップ・ウェッブ(1831年〜1915年)
1860年頃
黒檀色仕上げのブナ材、い草座
モリス商会
Photo ©Brain Trust Inc.


美しい構造と実用性を兼ね備えた民芸椅子


イギリス南東部サセックス州の伝統的な民芸家具をモデルにして制作された椅子。座面は、い草編みでつくられている。最初は、モリスの住まい「レッドハウス」のためにデザインされたもので、その後モリス商会で販売され、高い人気を誇った。人気だったがゆえに、類似品も他社から販売された。

テキスタイル《小鳥》

第2章 アーツ・アンド・クラフツ展覧会協会

テキスタイル《小鳥》
C・F・A・ヴォイジー(1857年〜1941年)
1918年頃
プリント、木綿
モートン・サンダー・ファブリック社
Photo ©Brain Trust Inc.


モリスの意思を引き継いで


ヴォイジーは建築家として中産階級の住宅を、設計から室内装飾までデザインし、総合的な空間づくりを目指した。モリスと同様に、植物や鳥など自然をテーマにしたモチーフを好んだが、線を削ぎ落とした簡潔なスタイルは次世代に影響を与えた。

タイル《バラと格子》

タイル《バラと格子》
ウィリアム・ド・モーガン(1839年〜1917年)
1872年頃
陶製タイル
ド・モーガン工房
Photo ©Brain Trust Inc.


モリス生涯の友による美しいタイル


19世紀後半、デザイン性に富み、耐久性があり清潔を保つ陶磁器タイルは、当時の人々の住まいには欠かせないものであった。
ド・モーガン工房はモリス商会のために多くのタイルを提供した。このタイルはモリスのテキスタイルなどに見られるような中世風の生垣の図柄で、野の花を連続文様に仕上げている。試行錯誤により生み出された鮮やかなトルコブルーは、ド・モーガンのタイルを特徴づける色彩である。

                  
《ピューターとエナメルの3点組ティーセット》

第3章 英国におけるアーツ・アンド・クラフツの展開

《ピューターとエナメルの3点組ティーセット》
アーチボールド・ノックス(1864年〜1933年)
1900年頃
ピューター、エナメル
リバティ商会
Photo ©Brain Trust Inc.


流行の発信地として


リバティ商会は、ジャポニズムやアーツ・アンド・クラフツなど、当時の芸術運動を反映したデザインを商業ベースに乗せて、多くの人々に販売した。この金工品も銀ではなく、価格の手頃なピューター(錫すず)製品である。マン島出身のノックスは、自身のルーツであるケルト文化に特徴的な組紐くみひも文様もんようのデザインを展開した。

          
《三輪のリリィの金色ランプ》

第4章 アメリカでのアーツ・アンド・クラフツ

《三輪のリリィの金色ランプ》
1901年〜1925年
ティファニー・スタジオ
Photo ©Brain Trust Inc.


新大陸のアーツ・アンド・クラフツ


アーツ・アンド・クラフツのデザインの民主化という理念は、アメリカですぐに受け入れられ、イギリスとは異なり機械生産を受容したものづくりが始まった。宝飾品で名高い「ティファニー」創始者の長男ルイス・コンフォート・ティファニーは、ガラス工芸作家として、ステンドグラスやランプシェードを手掛けた。この百合型ランプシェードは、ティファニーが開発し1894年に特許を取得したファブリルガラス(玉虫色の光彩を放つガラス)で、ティファニー・スタジオのベストセラー商品のひとつとなった。

          
《花のピッチャー》

特集展示 アーツ&クラフツの陶芸

《花のピッチャー》
ウィリアム・ムーアクロフト
1919年頃
ジェイムス・マッキンタイア商会
国立研究開発法人産業技術総合研究所蔵
(愛知県陶磁美術館寄託)


同時開催「アーツ&クラフツの陶芸」も必見


19世紀後半、大量生産を手掛けていた製陶所でもアーツ・アンド・クラフツ運動に影響を受け、デザイナーを起用し新たに芸術性を高めたアート・ポタリーが作られるようになった。イギリスのアール・ヌーヴォーを代表する陶芸家ムーアクロフトは、自身の作品にサインをいれ、芸術性と作家性を強調した。