子ども文化芸術体験事業

2023年度の「南館テーマ展示(南館1階展示室中央)」のご案内

名古屋絵付って何?② ―金盛り&たたき技法」
2023年4月5日(水)から6月18日(日)

現在の名古屋市東区から北区にかけてのエリアには、かつて海外輸出向けの陶磁器生産の一大拠点ありました。江戸時代、この地には武家屋敷が立ち並び、窯業とは無縁の土地でありました。しかし明治維新を迎え新しい名古屋の街が誕生すると、この地域が磁器素地の大生産地である瀬戸・美濃からの交通の便が良かったこと、武家屋敷跡の広大な土地があったことから、明治16(1883)年頃から次第に陶磁器の上絵付け工場や貿易商が集まるようになり、輸出陶磁器産業が花開きました。特に名古屋の地は、陶磁器素地に上絵付け装飾を施して製品を完成させる「陶磁器完成業」一大拠点として日本の陶磁器産業発展に大きな役割を果たしました。昭和50年代(1975-84)頃まで、多くの工場で盛んに絵付けが行われ、アメリカを中心に世界各地へと輸出されました。

海外の人々の趣向を取り入れた名古屋の陶磁器絵付け、いわゆる「名古屋絵付け」は、様々な絵付け技法を生み出しました。輸出の減少により規模は縮小されましたが、現在も一部の工房で名古屋絵付けが伝えられ、また現代のクリエーターたちによって伝統の技を現代に引き継ぐ新たな取り組みも始まっています。

今回のテーマ展では、名古屋絵付けの技法その②として、盛り上げ技法を応用した金彩<金盛り>と、ペースト状の油溶き絵の具をたたくようにして着色する<たたき技法>を中心に、名古屋絵付けの作品と技を紹介します。

主な展示作品

金盛りシャチ飾皿

《金盛りシャチ飾皿》
杉山 ひとみ
2023年
個人蔵

金盛幾何学模様ボンボニエール

《金盛幾何学模様ボンボニエール》
安藤 栄子
2022年
個人蔵

金盛人物文皿付ピッチャー

《金盛人物文皿付ピッチャー》
遠藤陶器株式会社
1970年代年
個人蔵

色絵金盛バラ文鉢

《色絵金盛バラ文鉢》
松風陶器名古屋支店
大正時代(20世紀)
愛知県陶磁美術館蔵