表紙 アイチナゴヤ2026アクセシビリティガイドライン 概要版 2023年12月 愛知県・名古屋市 公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会 目次 1 「アイチナゴヤ2026アクセシビリティガイドライン」とは  1ページ 2 基準設定及びガイドラインを踏まえた整備の考え方 1ページ 3 ガイドライン内容抜粋 2ページ 大会会場・公共交通の通路幅 2ページ 車両乗降ゾーンのスペース 3ページ 大会会場・公共交通の傾斜路 4ページ 視覚障害者誘導用ブロック(点状ブロック、線状ブロック) 4ページ 大会会場の出入口のドア幅 5ページ エレベーター 5ページ 会場の座席 6ページ トイレ 7ページ カームダウン、クールダウンスペース  8ページ ベビーケアスペース 8ページ ホテル及びその他の宿泊施設 9ページ 刊行物とコミュニケーション 10ページ 輸送手段 11ページ アクセシビリティ研修 11ページ この冊子は「アイチナゴヤ2026アクセシビリティガイドライン」に掲載する主な点をまとめた概要版です。 詳細はガイドライン本編を参照してください。 1ページ 1 アイチナゴヤ2026 アクセシビリティガイドラインとは 第20回アジア競技大会、第5回アジアパラ競技大会(以下、両大会)のアクセシビリティに関する指針として策定するものである。 両大会では、大会コンセプトの一つとして「既存施設の活用」を掲げている。このコンセプトを考慮しつつ、観客及び選手を始めとしたすべてのステークホルダーが より一層利用しやすい施設となるよう、関係者と共有することで、大会を契機としたハード、ソフト両面の国際的な水準に基づくアクセシブルな環境整備を促進する。 さらに大会を契機として、大会に直接関わらない方々を含めてこのガイドラインを活用した自主的な環境整備に幅広く取り組んでいただくことで、 全ての人を包み込む、分け隔てのないインクルーシブな地域づくりを推進し、レガシーとしての共生社会の実現を目指す。 2 基準設定及びガイドラインを踏まえた整備の考え方 数値基準は、関係国内法令及び各種ガイドラインに基づき、以下のとおり整理した。 推奨基準 東京2020アクセシビリティ・ガイドライン及び大阪・関西万博ユニバーサルデザインガイドラインの推奨基準、国基準の望ましいもの、県指針の望ましい基準や市指針による望ましい内容の水準等を総合的に勘案して設定。 開催都市が保有する新設の会場の大会時の適用範囲において、現場条件や大会参加者・関係者のニーズ等を勘案して、可能な限り実現を目指す。 標準基準 法で定められた基準 義務基準に加え、東京2020アクセシビリティ・ガイドラインの標準基準、大阪・関西万博ユニバーサルデザインガイドラインの規制基準、 県条例の整備基準や市指針の整備が必要な内容等のうち最も高い水準を基本に設定。 上記以外の会場及びアクセシブルルートの大会時の適用範囲において、現場条件や大会後の利用ニーズ等を勘案して、可能な限り実現を目指す。 注釈 ただし例外的に、構造上の理由等によって、やむを得ず標準基準を満たせないと認められる場合でも国の義務基準は満たすものとする。 組織委員会及び開催都市は、適用対象施設の所有者・管理者等に対し、それぞれの計画に基づき、 ガイドラインに即した施設建設・改修工事を実施するよう依頼し、まずはレガシーとなる恒常的な施設としての環境整備を働きかける。 ただし、恒常的な環境整備が困難な場合、仮設による整備、ソフト的対応 専用車等による移動支援、ボランティアによるサポート等 により、 ガイドラインの趣旨を踏まえたサービス水準を確保する。 2ページ 3 ガイドラインの内容の抜粋 大会会場・公共交通の通路幅 本編11から13ページ 会場 屋内 標準 千八百ミリメートル以上 推奨 不特定の歩行者が極めて多い通路においては、二千ミリメートル以上 公共交通機関 標準 千五百ミリメートル以上 推奨 二千ミリメートル以上 図 車いす使用者の通行に関する幅員のイメージ図を掲載 3ページ 車両乗降ゾーンのスペース 本編18から19ページ 会場 屋内 標準 車寄せに隣接する引込み側路の車両スペース 幅二千四百ミリメートル 車寄せに隣接する引込み側路の車両スペースに隣接して車いす使用のまま乗降可能なスペース 幅二千四百ミリメートル以上カケル長さ七千ミリメートル以上カケル路面高三千三百ミリメートル以上 推奨 車寄せに隣接する引込み側路の車両スペースに隣接して車いす使用のまま乗降可能なスペース  長さ八千ミリメートル以上 図 車両乗降ゾーンのスペースのイメージ図を掲載 4ページ 大会会場・公共交通の傾斜路 本編20から26ページ 傾斜路の勾配 会場 屋内 標準 垂直高低差三百ミリメートル以下  ジュウニブンノイチ以下 垂直高低差三百一から三千ミリメートル ジュウヨンブンノイチ以下 垂直高低差 三千一ミリメートル以上 ニジュウブンノイチ以下 推奨 垂直高低差三百ミリメートル以下 ジュウヨンブンノイチ以下 垂直高低差三百一から三千ミリメートル ニジュウブンノイチ以下 注釈 多くの人々が利用すると予想される通路・歩道は、ニジュウブンノイチが標準 公共交通機関 標準 屋内 ジュウニブンノイチ以下 屋外 ニジュウブンノイチ以下 推奨 屋内 ニジュウブンノイチ以下 傾斜路の踊り場 会場(屋内) 標準 高低差七百五十ミリメートル以内ごとに設置 推奨 高低差五百ミリメートル以内ごとに設置 図 傾斜路の各基準値を図示 視覚障害者誘導用ブロック 点状ブロック、線状ブロック 本編36から37ページ 視覚障害者誘導用ブロックの色は原則黄色とし、湾曲しないよう直線状に敷設する。周辺の路面は、面のたわみや凹凸を抑えた平坦な仕上げ面とすることが望ましい。 ブロック形状、寸法及びその配列は、ジス T9251によることを原則とする。 ジス T9251とは 視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列に関する規定 5ページ 大会会場の出入口のドア幅 本編46ページ 会場屋内 標準 九百ミリメートル以上 注釈 内部出入口は、八百五十ミリメートル以上 注釈 主要な出入口は、千ミリメートル以上 推奨 九百五十ミリメートル以上 ※主要な出入口は、二千ミリメートル以上 ※競技用車いす利用の準備エリア千ミリメートル以上 エレベーター 本編52から59ページ ドアの有効幅 会場屋内 標準 八百五十ミリメートル以上 注釈 五千平方メートル以上の建物は九百ミリメートル以上 推奨 九百ミリメートル以上 注釈 パブリックスペースと競技会場は九百五十ミリメートル かごの大きさ 会場屋内 標準 幅千七百ミリメートルカケル奥行き千五百ミリメートル  十七人乗り程度 推奨 幅二千百ミリメートルカケル奥行き千五百ミリメートル  二十四人乗り程度 図 エレベーターのかごの各基準値を図示 6ページ 会場の座席 本編65から73ページ アクセシブルな座席の数 会場屋内 標準 総座席数一万席未満で車椅子競技以外の場合 総数の1パーセント 総座席数一万席未満で車椅子競技の場合 総数の1.2パーセント 総座席数一万から一万九千九百九十九席で車椅子競技以外の場合 百席に加え、一万席を超えて千席ごとに8席 総座席数一万から一万九千九百九十九席で車椅子競技の場合 百二十席に加え、一万席を超えて千席ごとに十席 総座席数二万から三万九千九百九十九席で車椅子競技以外の場合 百八十席に加え、二万席を超えて千席ごとに5席 総座席数二万から三万九千九百九十九席で車椅子競技の場合 二百二十席に加え、二万席を超えて千席ごとに5席 総座席数四万席以上で車椅子競技以外の場合 二百八十席に加え、四万席を超えて千席ごとに2席 総座席数四万席以上で車椅子競技の場合 三百二十席に加え、四万席を超えて千席ごとに2席 アクセシブルな座席の必要スペース 標準 車いす使用者用スペース 幅九百ミリメートルかける奥行き千五百ミリメートル程度 同伴者座席または付加アメニティ座席のスペース 幅五百ミリメートルかける奥行き千五百ミリメートル 後方の通路を含めた車いす使用者と同伴者座席に必要なスペース 幅千四百ミリメートルかける奥行き二千五百ミリメートル 図 アクセシブルな座席、同伴者用座席、後方の転回スペースのイメージ図を掲載 7ページ トイレ 本編74から84ページ 車いす使用者トイレの考え方 高齢者、障害者、異性介助者、性的マイノリティ、乳幼児連れの人等すべての人が利用しやすいように、施設の用途、規模に応じて計画・設計を行う。特にアジアパラ競技大会の場合、車いす使用者用トイレや個別機能を備えたトイレを追加する。 車いす使用者用トイレは、車いす使用者が円滑に使用できる広さ トイレ内で車いす使用者等が回転可能な直径千五百ミリメートル以上のスペース を備えていること。 車いす使用者トイレの設置数と割合 会場屋内 標準 男女共用トイレを1以上 推奨 車いす使用者用観覧席・客席数のジュウゴブンノイチ以上の割合で、 車いす使用者用トイレを設けることが望ましい 公共交通機関 標準 オストメイト用設備を有する男女共用の車いす使用者用トイレを駅に1以上 図 男女別トイレ、男女共用トイレなど分散配置のイメージを図示 8ページ カームダウン、クールダウンスペース 本編88から89ページ カームダウン、クールダウンスペースは、人混み、音や光等、環境の状況によって不安や恐怖等を感じ、パニックを起こしやすい人たちが、安心して大会を楽しむために必要な施設。 カームダウン、クールダウンスペースの配置 会場屋内 標準 大規模な空間に多数の観客が集まる施設及び音や光、映像等、刺激の強い演出を行う施設では、気持ちを落ち着けることができるカームダウン、クールダウンスペース(個室又はスペース)を設けること 推奨 カームダウン、クールダウンスペースの設置位置は、観客の動線、行動プロセスに考慮し、当事者の意見を聞いて検討を行うことが望ましい ベビーケアスペース 本編90から92ページ ベビーケアスペースとは、授乳・離乳食・おむつ替え等の用途で利用できる、乳幼児のケアのための個室ブース等のこと。 床面積の合計が五千平方メートル以上の場合、ベビーケアスペースを1以上設ける。床面積の合計が五千平方メートル未満の施設でも、施設の用途、使い方等によってベビーケアスペースを設置することが望ましい。 ベビーケアスペースの配置の出入口 会場屋内 標準 形式 ベビーカーの利用に配慮した幅、形式とする ドア周辺 通過する際に支障となる段を設けない サインの設置 出入口付近には、ベビーチェア及び乳幼児用おむつ交換台を設置している等、内部の設備配置等の状況を表示するとともに点字表示をする 図 ベビーケアスペースの配置イメージを図示 9ページ ホテル及びその他の宿泊施設 本編93から104ページ アクセシブルルーム 法に基づき、車いす使用者が円滑に利用できる客室 以下車椅子使用者用客室 の整備を進めるとともに、専用のアクセシブルルームを用意する代わりに、全室のデザインとレイアウトにユニバーサルデザインを採用することにより、標準的な客室でも様々な障害を持つ人々を受け入れることができるようになる。 受け入れにあたっては、同伴する補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)にも配慮する。 図 アクセシブルルームのイメージ図を掲載 車椅子使用者用客室の数 宿泊施設 標準 客室総数五十以上 客室総数のヒャクブンノイチを乗じて得た数 1未満の端数が生じたときは、これを切り上げて得た数 以上 推奨 客室総数二百を超える場合 客室総数にヒャクブンノイチを乗じて得た数に2を加えた数以上 客室総数二百以下 客室総数にゴジュウブンノイチを乗じて得た数以上 注釈 法に基づく建築物特定施設とする場合、これに適合させた客室数以上 客室総数五十未満 1以上 10ページ 刊行物とコミュニケーション 本編105から119ページ 刊行物 文字と地色のコントラスト、文字の色彩、フォントの大きさ・種類・太さ、行間、文字間隔等において読みやすい配慮をするとともに、強調するところは書体の変更、太字やアンダーライン等を活用する。 図 フォントイメージ、強調イメージの例を掲載 専門用語や外来語を使う場合には、注釈や日本語訳を付ける。 難しい人名や地名、固有名詞の漢字を使う場合には、振り仮名(ルビ)を付ける。 ポイントとなる文章には、絵(写真)の活用が有効。ピクトグラムの活用も有効的で、ジスの標準案内用図記号は、広く認知されている。 図 ジスの標準案内用図記号 ジス Z8210 の例を掲載 表示サイン 表示サインは、誘導・位置・案内・規制の4種のサイン類を動線に沿って適所に配置して、移動する利用者への情報提供を行う。 図 誘導・位置・案内・規制の4種のサイン類のイメージを図示 国際的に認められたシンボルを利用することが望ましく、文字やシンボルには背景色とコントラストのはっきりした色彩を用いる。 聴覚障害者や聴力の低下した高齢者等に配慮し、館内の案内、呼び出し、車両等の運行情報、臨時情報を表示する電光掲示板等を適所に設ける。 視覚障害者などに配慮し、館内の案内、呼び出し、緊急時の情報等は音声による案内を行う。アナウンスは、聞き取りやすい音量、音質で繰り返す等して放送する。 11ページ 文字情報の提供 大会会場等では、聴覚に障がいのある人が情報にアクセスできるよう、字幕装置等の文字情報の提供、手話通訳、要約筆記、音声認識、補聴援助機器 磁気誘導ループ、FM補聴システム、赤外線補聴システムなど 等を手配、整備する必要がある。 輸送手段 本編120から130ページ アクセシブルな公共交通施設のサービス例  筆談用のメモ用紙、ホワイトボード、コミュニケーションボード、磁気誘導ループ、手話等のいずれかで対応でき、印刷情報を点字、テキストデータ、拡大文字または音声等の代替形式で提供できる窓口やチェックインカウンターの整備。 高齢者や障がいのある人が確認しやすい高さ、場所、表示方法に配慮した案内表示や券売機を1か所以上確保。タッチパネル式の券売機を設置する場合は、テンキーをつけ、音声案内をする等、視覚障害者が支障なく利用できるよう配慮する。ただし、乗車券等の販売を行う者が常時対応する窓口が設置されている場合を除く。 案内板の地図、文字は、高齢者や障がいのある人にとってできるだけ分かりやすい表現、色彩を使用。 表示とあわせ、音声案内等を、視覚障害者の利便性に鑑み、必要な箇所に設置する。 乗り物の遅延・運行停止等の車内放送も文字等で視覚的に表示することが望ましい。 移動やコミュニケーションに様々な制約のある人、補助犬を同伴する人等に配慮した適切なサービスを提供するためスタッフ等に対し必要な研修を行うことが望ましい。 アクセシビリティ研修 本編131から136ページ 障害のある人の社会的参加を困難としている社会的、制度的、心理的な障壁の除去(心のバリアフリー)についての考え方を全ての大会スタッフとボランティアが理解する必要がある。心のバリアフリーを体現するためのポイント(ユニバーサルデザイン2020行動計画)は、次の3点である。 1「障害の社会モデル」を理解すること 2障害のある人への差別を行わないよう徹底すること 3自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、全ての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと 大会サービスを提供する上で、大会スタッフ・ボランティアには、次の3段階でトレーニングを実施する。 1障害者等に対する接遇・アウェアネス(気づき)研修 2役割別研修 3会場別研修