麻疹(はしか)について
感染のしかた

「麻疹ウイルス」の感染によって人から人にうつり、39℃以上の高熱が1週間以上続き、紅い発疹が出現、時には合併症で本邦でも死亡することがある小児では重要な急性感染症です。感染性が著しく高く、また、感染するとほとんどの例が発病すると言われています。
空気中に浮遊している状態の、感染者、あるいは、発病者のくしゃみや咳に含まれる「麻疹ウイルス」を、麻疹ウイルスに対して感受性のある人が吸い込むこと(飛沫核感染)、もしくは、直接くしゃみや咳のしぶきを吸い込んで感染します(飛沫感染)。
潜伏期
潜伏期間は、9〜11日といわれています。
主な症状
3つの期間に大別されます。以下に、典型的な症状を示します。
- カタル期(2〜4日)
38℃前後の発熱、咳、鼻汁、くしゃみ、結膜充血、眼脂、羞明などが、出現します。そして、一旦熱が下がったころに、口の中の頬粘膜に、白い粟粒のような特徴的な「コプリック(Koplik)斑」が、見られるようになります。この時期は普通の風邪と区別が付きませんが、ウイルスが大量に増えていて、他の子どもに感染しやすい時期です。
- 発疹期(3〜4日)
一旦下がった発熱が、再び、高熱となり(39〜40℃)、全身の上方に始まり下降していく(耳後部、頚部、顔、体幹、上肢、下肢の順に広がる)、特有の発疹が出現します。
発疹は、直径数mmの紅丘疹で、融合傾向があります。「コプリック(Koplik)斑」は発疹の最盛期には消失します。不機嫌、食欲不振が著明で、ぐったりしてきます。
- 回復期(7〜9日)
熱が下がり、発疹が消失しますが、発疹の色素沈着は残ります。
合併症
「肺炎」、「中耳炎」、「脳炎(約1000例に1例)」があります。特に脳炎が重要で、死亡例や、後遺症の残ることもあります。ワクチン接種でこうした合併症が予防できますので、ワクチン接種は重要です。
診断方法
- 検査診断
麻しん・風しん患者調査事業の「4.検査の実施」をご参照ください。
- 臨床診断
上記の様な臨床症状から診断される場合。