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スペシャルコラム

戸塚純貴さん(前編)

戸塚純貴さんプロフィール
1992年7月22日岩手県盛岡市生まれ。テレビドラマ「花ざかりの君たちへ 〜イケメン☆パラダイス〜2011」で俳優デビュー。その後、テレビドラマ「だが、情熱はある」「スーパーのカゴの中身が気になる私」、映画「水は海に向かって流れる」の他、2023年8月26日(土)には日本テレビ系の「虹色のチョーク 知的障がい者と歩んだ町工場のキセキ」、2024年度前期連続テレビ小説「虎に翼」に出演するなどドラマや舞台など幅広く活躍。映画「ケアニン〜あなたでよかった〜」(17年)、「ケアニン〜こころに咲く花」 (20年)では新人介護福祉士の大森圭を演じ、介護のリアル~まちから、ひとから、しごとから~」(BS フジ)では、実際の介護福祉の現場を訪れ、“介護のいま”を体験した。

更新日:2023年8月
取材日:2023年7月25日

映画「ケアニン〜あなたでよかった〜」(17年)、「ケアニン〜こころに咲く花」(20年)で新人介護福祉士の大森圭役を演じ、「介護のリアル~まちから、ひとから、しごとから~」(BSフジ)では、実際の介護福祉の現場を訪れ、“介護のいま”を体験した俳優の戸塚純貴さん。仕事をきっかけに介護職に関心を持つようになった戸塚さんに、介護の現場を訪れ感じたこと、介護職員への思いを語ってもらいました。

介護のイメージさえ抱けないほど何も知らなかった「ケアニン」以前

 正直、「ケアニン」の出演が決まるまで介護の仕事のことは全く知らなくて、イメージさえ何もありませんでした。ただ、子どものころから自分のおばあちゃんが大好きで、しょっちゅう車で15分ほどのおばあちゃんのうちへ遊びに連れて行ってもらっていました。小学生のとき、おばあちゃんに会いたい一心で、置き手紙を残して初めて一人で電車に乗って出掛け、家出と勘違いされて大騒ぎになったこともあったほど。そんな大冒険をしてしまうくらい、おばあちゃんが好きでした。
 でもおばあちゃんは元気で介護も必要なかったので、介護福祉士の仕事も「ケアニン」で初めて知りました。「ケアニン」のお仕事をいただくまで自分にとって介護は遠くにある存在、例えば自宅でおじいちゃん、おばあちゃんと同居していて介護されている方とか、お父さん、お母さんが介護職員の方じゃないと触れる機会がないものでした。

戸塚純貴さん

モデルとなった施設で利用者さんとの接し方学ぶ

 「ケアニン」で介護福祉士の大森圭役を演じるため、モデルとなった小規模多機能型居宅介護施設に行って、いろいろ教えてもらいました。具体的には、移乗や食事、着替えやベッドメーキングなどです。話しかけるときの目線も声の大きさも、介護職員の皆さんは無意識にやっていらっしゃると思うのですが、そういった利用者さんとの接し方を勉強させてもらいました。おじいちゃん、おばあちゃんは好きで施設に行くことに抵抗はなかったのですが、認知症を患っている方が多くいらっしゃって。お話しをしていても5秒前に言ったことを忘れてしまったりするところを目の当たりにしたときは、ちょっと戸惑ったというか、驚きでした。
 「介護のリアル~まちから、ひとから、しごとから~」では、さまざまな介護福祉の現場に行かせてもらいました。どの施設にも共通していた部分は、地域に密着していること。その地域ができていないことを探りつつ行っている施設が多く、僕が行ったある施設では共同生活をしながら利用者さんが地域のお店で働いたり、お手伝いをして謝礼を得ていました。職員さんたちもすごく明るく、利用者さんもここに来るのが楽しみだって言っていましたし、こういう事業所もあるのだと驚きでした。

戸塚純貴さん

利用者さんのいきいきした毎日を支える介護職員さんの仕事ぶりに感動

 世界初の装着型サイボーグ「HAL」も体験させてもらいました。これは、いくつか段階がある中で一番強い力にすると、自分が飛んでいきそうなくらいパワーがあります。介護は体力が必要な場面もありますので、ケアしている人をケアする、じゃないですけどロボットがどんどん普及すれば力仕事も楽にできるようになると思いました。
 強く印象に残っているのはお邪魔したどの施設も利用者さんがいきいきしていらっしゃること。例えば銭湯の脱衣場を活用した通所介護事業所も皆さん楽しそうでした。やはりお風呂っていくつになっても皆、大好きなんですよ。利用者さんの好きなもの、好きだったものを探すのがすごく上手だなと思いました。
 好きなことをやっていらっしゃるから、利用者さんもいきいきされている。介護事業所の方はそれを探すのにすごく努力されているんじゃないでしょうか。多分、認知症になっても好きなものは覚えている。好きなものに触れるとスイッチが入るような気がします。

戸塚純貴さん
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