いろいろな施設を訪ね、介護職員さん、利用者さんと触れ合った後、ずいぶん介護に関するイメージが変わりました。他人事ではない、誰もが通る道、自分も通る道だと思うようになりました。自分もケアする側、される側にいずれはなるだろうという思いです。生きていれば絶対に必要なことが介護。それを知ることができて自分はすごくラッキーだと感じますし、まだ知らない同世代の方々にもこれから自分のやり方で伝えていけたらと思っています。
　体験をさせてもらって感じたのは、利用者さんがいきいきされていることと、職員の方々がエネルギーに満ちているということです。職員さんはとにかく皆さん明るい。いつも僕は元気をもらいました。
　どうしてこんなにいつも元気でエネルギーいっぱいでいられるのか聞いたら、利用者さんの笑顔や、ありがとうとお礼を言われる瞬間がたまらなくうれしいとおっしゃっていました。僕もそれは感じていて、利用者さんが笑顔で楽しく過ごしている姿を見ることがやりがいに繋がっているのかなと想像します。利用者さんの笑顔がやりがいだと思える職員さんたち（ケアする側）の気持ち、そう思える心が福祉の現場においてはすごく重要なことなんだと思います。それは人を支える優しさ、本物の優しさですよね。この本物の優しさがないと介護の仕事はできない、正直とても大変だと思います

　2025年、今以上に介護職員が不足するといわれています。僕が映画「ケアニン」で介護福祉士役をいただいたことで、介護職の楽しさを知ることができたのと同じように、皆さんに介護の魅力を知ってほしい。しかし知る機会がないと介護職に興味を持つことも難しいかもしれません。外から眺めるだけではなかなか介護職のやりがいが見えてこないので、知るきっかけが必要です。子どものころからお年寄りや介護と触れる機会があれば、介護職の魅力も見えてきて介護の仕事を選ぶ人も増えるのではないかと思います。
　若い人の中には介護の現場が閉鎖的なところだというイメージがあるかもしれませんが、最近はどんどんオープンになりつつあります。でも僕は今以上にオープンにしてほしいと感じます。例えばSNSやYou Tubeなどを使って若い人に向けて情報を発信したり、介護のことを知ってもらうためのイベントをやったり。音楽とコラボしたフェスみたいなものとかできたらいいですよね。とにかく介護の仕事を知ってもらう機会をつくることが必要です。もちろん人の命にも関わる仕事だし、軽い気持ちで取り組むのは違うと思いますが、もっと気軽に楽しく知ることができるチャンスがあるといいですね。

　今、介護職員として働いている方、介護職員を目指して学校などで頑張っている方々には、自分を誇りに思って、自分の力で福祉を変えていくのだと強い気持ちをもっていただきたいです。その気持ちが集まれば大きなムーブメントになるはずです。僕も皆さんの頑張りに刺激をもらっています。今後も自分の経験を福祉のイベントなどで発信し続け、介護・福祉の輪が大きく広がればいいなと思っています。