取材:2026年5月11日
僕が介護の仕事を目指したきっかけは、小学生の頃に参加した施設でのボランティアでした。実は今、僕が働いている施設では叔母が働いていて、兄弟の中でも高学年になるとこの施設でボランティアに参加する流れが家族の中にありました。利用者さんと話したり、お手伝いをした時に「ありがとう」「助かったよ」と声をかけてもらったり、帰る時に「今日は楽しかった。また来てね」と笑顔で言っていただけたことがとても嬉しくて、子どもながら「自分が誰かの役に立てた」という喜びを強く感じました。その経験が、介護の仕事を目指す原点になっています。
僕は三人兄弟の真ん中で、兄も弟もこの施設でボランティアを経験しています。兄も弟も人と関わる仕事に興味を持っていて、兄弟3人とも「人の役に立つ仕事」「人と関わる仕事」に関心が強かったのかもしれません。
中学生になる頃には、将来の仕事を意識するようになりました。何をしたいか考えた時、自分の中には「誰かの力になりたい」という軸がありました。それを一番実現できるのが介護だと思い、介護系の専門学校へ進学しました。でも、最終的に背中を押してくれたのは家族です。「介護職に向いている」と言ってもらえたことで、介護の道に進む決心ができました。実習やボランティアの送迎なども家族が支えてくれて、本当に感謝しています。
僕は幼い頃から祖母や曾祖母と一緒に暮らしていて、お年寄りが身近な存在でした。そうした環境があったからこそ、高齢者に対する抵抗感や偏見が少なかったのだと思います。ただ、施設で初めて会う利用者さんと話す時は緊張しました。それでも関わっていくうちに、少しずつ距離が縮まっていくのが嬉しかったです。
今、介護の仕事で一番やりがいを感じるのは、利用者さんからの感謝や笑顔です。利用者さんの中には身体が不自由だったり、認知症でうまく思いを伝えられなかったり、不安を抱えている方も多くいます。時には厳しい言葉を受けることもありますが、試行錯誤しながら関わる中で、ふと笑顔を見せてくださったり、「あなたがいてくれて安心する」と言っていただける瞬間があります。その時は本当に嬉しくて、この仕事をやっていて良かったと感じます。
専門学校で3年間学びましたが、その中で特に今の仕事に生きているのは「観察力」です。先生方から「利用者さんをよく観察しなさい」と繰り返し教わりました。表情や動きの小さな変化を見逃さないことが大切で、現場に出てからその重要性を実感しています。
例えば、いつもと違う動きから転倒の危険を察知したり、言葉にできない利用者さんの「トイレに行きたい」というサインに気づけたりすることがありました。日々の観察が利用者さんの安心や安全につながっていると感じています。
介護の仕事には、世間では「きつい」「大変」といったイメージがあると思います。でも、僕にとって介護職は「楽しい」「ワクワクする」仕事です。それは小学生の頃から利用者さんとの交流を経験し、高齢者と接することの温かさを知っていたからだと思います。だからこそ、もっと多くの若い人に、高齢者と関わる経験をしてほしいです。最初は祖父母と話すだけでもいい。怖い存在ではなく、楽しくて優しい存在なんだと感じてもらうことが大切だと思います。
今後は社会福祉士の資格取得を目指しています。現在は介護福祉士として利用者さんの生活を支えていますが、これからは家族が抱える悩みや経済面の問題など、もっと広い視点で支援できるようになりたい。現場で働いていると、困っているのは利用者さんだけでなく、家族も同じだと感じるからです。ただ、今は現場で利用者さんと直接関わる仕事が一番楽しいので、しばらくは現場で頑張りたいと思っています。
介護の仕事は確かに大変なこともあります。でも、それ以上に人とのつながりや感謝を感じられる仕事です。利用者さんの人生に寄り添い、最後の時間まで関われることは、とても尊いことです。毎日の中で「ありがとう」と言っていただける瞬間があり、それが自分の力にもなります。介護には大変さだけではなく、楽しさや温かさ、やりがいがたくさんあることを、そしてワクワクできる仕事であることを、もっと多くの人に知ってもらいたいです。





