ここから本文です。

介護のお仕事不安解決相談室

これで大丈夫!介護のお仕事不安解決相談室

県内の高校生や、介護のお仕事をしている・したいと思っている方などから集めた介護のお仕事についての不安や疑問、悩みなどをプロフェッショナルがお答えし、解決していくコーナーです。ここでは、寄せられた疑問や不安を、大きく10個に分けてその回答と共にご紹介します。

こたえてくれた人

  • 渡邊 正和さん

    愛知県福祉人材センター

    渡邊 正和さん

  • 松下 昇さん

    愛知労働局
    ハローワーク名古屋中

    松下 昇さん

  • 守谷 晴子さん

    愛知県介護福祉士会

    守谷 晴子さん

  • 高木 直美さん

    愛知県介護福祉士
    養成施設協議会

    高木 直美さん

  • (所属は更新日現在)

Q1:お給料が低いといわれているので、将来が不安です。

給料が少ないイメージ。将来、家族を養っていけるのか不安です。(20代男性)
介護の職場は、製造業やサービス業などの他の業界に比べ、平均収入が1~2割低いといわれていますが、国が介護職員処遇改善加算の拡充を行い、最大1人当たり月額37,000円相当の賃金改善が行われるようになる等、年々改善されています。
多くの施設・事業所では、毎年昇給を実施していますし、賞与も支給しています。5年、10年と経験を積めば、年収400万円から500万円、またそれ以上の収入が得られる施設・事業所はたくさんあります。家族を養っていける収入をどのくらいと見るかによりますが、養っていける収入は得られると思いますし、現に家族をお持ちで働いている職員の方はたくさんいます。
今後お給料は上がるのでしょうか。昇給制度について教えてください。(20代男性)
多くの施設・事業所では、賃金体系を確立し、給料表を持っており、1年に1回昇給しています。金額は様々ですが、本人能力を査定する人事考課を採用しているところもあります。
パート職員は、経験年数を加味して、毎年10円から50円時間給を上げているところも多くあります。
ハローワークに公開されている介護求人の平均月額給与は195,000円から239,000円です。事務職より高く製造職より低い実態はありますが、介護職の実態はキャリアを重ねていくと、チームリーダー、サービス提供責任者、ケアマネージャー、施設長(管理者)とキャリアアップしていきます。また、介護には様々な職場があり、給料体系も様々です。将来のキャリアアップについても、ハローワークでお尋ねいただければ不安なく就職が可能ですので、ぜひご相談ください。

Q2:肉体労働で、体力がいりそうですが。体力的に務まるか不安です。

力仕事のイメージがあり、私は体力に自信がないので不安です。(40代女性)
介護の現場には、肢体に不自由のある利用者さんも多く見られます。介護者は、人間の生活行動の基本になっている頭・ひじ・手足・体幹の自然な動き、使い方を理解することが重要です。またこちら側が一方的に行うと、多くの力が必要となりますが、相手の使える機能を活用することでお互いの力が半減することでしょう。その自然な動きを助けるために、運動力学などを学び、応用しながら介助を行うことが必要です。
介護は利用者さんの生活を支えるため、身体を動かす(移動)援助が必要です。その際、やみくもに力任せで援助をするのではなく、その人のできるところはご自身でできるように働きかけ、できないところをサポートします。また、人は障害等がなければ、概ね同じ動きをしており、その動きに働きかけることで、利用者さん、介護者双方が負担を減らし、スムーズに動くことができます。
腰痛になる人もいると聞きますが、大丈夫でしょうか。(30代男性)
厚生労働省の調査によると、腰痛のうち、15%は椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症等の原因がありますが、85%は原因が特定されていません。そのうち、仕事に関する要因となるものに「職業性腰痛」があります。
介護現場では、腰痛の予防や改善に向けて腰の曲げ方、長時間同じ姿勢で仕事をしないなど介護動作の見直しや機械・機器の活用など動きやすい環境作りに取り組んでいます。
さらに、対人関係によるストレスや仕事の満足度が低いなど心理的な要因も考えられるため、困ったときには先輩職員が相談に対応するなど精神的サポートにも努めています。

Q3:知識や経験がないのですが、ちゃんと務まるか不安です。

専門の学校に通っていなかったので、知識がないです。
未経験でもやっていけるよう、教育制度は整っているか気になります。(40代男性)
介護の職場の介護職員は、保育士や看護師と違って、資格がなくても働ける職場です。未経験者には、ほとんどの職場が研修制度を持っていますし、経験豊かな同僚や先輩がついて教えてくれます。どんな仕事でも最初は不安なものです。心配いりません。
利用者さんに質の良い介護サービスを提供するために、介護職員初任者研修(ヘルパー研修より移行したもの)の修了を基本とし、この研修の受講を支援する職場が多くあります。
また、職場でも研修会を実施するなど、一定の知識と技術の修得を目指しています。
(福祉系の学校卒の)新卒に求められる知識や技術はどの程度でしょうか。(20代女性)
難しい質問ですね。立派に卒業されたわけですから、心配はいらないですよ。基礎は学ばれたわけですので、あとは生の経験です。わからないことや、とまどうこともあると思いますが、そんな時は素直に先輩や同僚に聞きましょう。みんなそうして一人前になっていくのですから。
利用者さんに応じたサービスを提供するためには、その人を理解し、どのようなサービスが適しているかを判断して援助する応用力(アセスメント能力)が必要です。介護福祉士養成校で学習した基本的な知識、技術を活用し、介護現場で行われている援助の根拠を考えながら経験を重ねることを大切にしてみましょう。
入職後、定期的な研修はどのように積み重ねていくのでしょうか。(20代男性)
初任者、中堅、ベテランごとの内部研修や外部研修などを行っており、研修制度の充実に力を入れる施設・事業所がたくさんあります。
介護保険制度も変わりますし、技術も常に向上しています。ずっと勉強していくことが大切です。
多くの施設・事業所が内外で様々な研修を設けています。介護事故防止の観点で技術の習得、認知症の利用者さんへのケアやリーダー研修など、スキルアップできるように設定されています。自分で目標を設定し、臨むこともできます。
※介護福祉士のキャリアパスとして、リーダー的な役割を担う認定介護福祉士(仮称)が予定されています。

Q4:勤務時間が変則的で大変そうです。

夜勤があること自体が不安です。(40代女性)
介護には色々なサービスがあり、勤務時間が変則的な職場もそうでない職場もあります。いずれも、利用者さんが生きることを支え、生活の質を高めるため、24時間サポートするための体制です。ご自分がどのようなサービス勤務が適しているか、サービスの内容によって施設・事業所を検索してみるのもひとつの方法かと思います。
介護施設には様々な施設があります。夜勤のない職場もあります。また、夜勤が不安とのことですが、慣れるまでは夜勤に含まないシフトとするのは当然ですが、看護師と連携して夜勤に従事する職場もあります。不安なく働ける体制が整っている施設・事業所はたくさんありますので、ハローワークにて求職活動していただき、お尋ねください。
シフトの希望は聞いてもらえるのでしょうか。連休は取れますか。(20代女性)
シフトの希望・連休については、施設・事業所ごとに違いがあると思いますが、勤務が変則的なことから、多くの配慮がなされています。面接時にシフト希望等、採用条件を確認されると良いでしょう。
ほとんどの職場は希望を聞いてシフトを組んでいますし、当然連休を取れるような配慮もしていますので、大丈夫です。多くの職場が週休2日制です。

Q5:職場の人間関係が不安です。

人間関係が悪くないか、その施設・事業所の雰囲気に馴染めるか不安です。
 介護の仕事はチームワークが大切だと思うのですが。(30代女性)
介護の職場は、人が相手の仕事ですから、コミュニケーションが必要な職場ですが、人が嫌いでなかったら大丈夫ですよ。初めから誰とでも仲良くすることなどできないし、自分なりのやり方で、精一杯人間関係を作っていけばよいと思います。心配でしたら、あらかじめ職場見学などをして、職員、利用者さんを含めた職場の雰囲気などを参考にすることも大切です。
新しい職場に行くほど不安なものはありませんね。不安を解消するためには、最初はやはり「挨拶」だと思います。「挨拶」は、人間関係を築くためのコミュニケーションの基本となります。「明るい表情」と「ほどよい元気さ」が相手に好印象を抱かせることでしょう。
「笑顔に勝る技術なし」です。

Q6:自分に合う職場の見つけ方を教えてください。

異業種から介護へ転職を考えていますが、未知の世界なので不安です。
どのような点を見て、職場を探せばよいでしょうか。それぞれの職場の特徴・労働環境・職場見学時の着眼点など、アドバイスをいただきたいです。(30代男性)
介護の職場といってもたくさんあります。高齢者分野では、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム(認知症)、有料老人ホームなどの入所系、デイサービス、訪問介護などの居宅系があります。障害者分野、児童分野などもたくさんの種類があります。まず自分がどの分野で働きたいのかを決めることが必要ですね。
いろいろな情報を得ることは大切ですが、大事なことは、職場見学だと思います。自分の耳・目・口・足で職員、利用者さんを始め職場の雰囲気をつかんでください。ここなら、働いてみたいと思う職場が、きっと見つかると思います。
見学の後、勤務時間等の労働条件、給与、福利厚生などの待遇等を確認し、面接に臨んでください。
福祉人材センターでは、個別に希望に合う福祉の仕事の紹介・あっせんなど就職までサポートします。お気軽にお問い合わせください。
研修制度の有無や人員配置に着眼点を置いて、職場を探していただければと思います。ハローワーク名古屋中では、毎月「介護・看護の就職相談会」を開催しています。この相談会は、介護施設・事業所の情報収集をしていただくためのものですので、この機会に施設・事業所に直接質問してみることも有効ですし、職場見学をすることも重要です。
また、ハローワーク名古屋中には「人材確保対策コーナー」という介護職専門の相談窓口があります。見学の予約も受け付けていますので、ぜひご活用ください。

Q7:60歳以上でも働けますか。

仕事を定年して、第二の人生として新たに働き口を見つけたいのですが、年をとってもできるものなのか教えてください。仕事内容なども具体的に知りたいです。(60代男性)
60歳はまだまだ若いです。70代の方でもたくさん働いています。介護職員初任者研修の資格を取得して、非正規の介護職員として働いている方はたくさんいらっしゃいますし、無資格で働き始めた方もいます。車の運転が可能であれば、利用者さんの送迎運転手も兼ねて介護補助者(助手)として頑張っていらっしゃる方も多いです。
介護の仕事は、いつか自分や家族、周りの方々にも役に立つので、一石二鳥ですよ。
多くの介護施設・事業所は「実際に介護職として活躍できるか」という視点で面接をしています。また、介護には様々な職場がありますし、働き方も様々です。実際に介護の現場を訪問すると、60歳を超えてご活躍されている方は多数いますし、「働ける間は働いていただきたい」という施設・事業所が多数です。

Q8:利用者さんの体調が急に変わったり、とっさに判断しなければいけない時、自分にできるのか不安です。

お年寄りなので、病気や不調などがあると思います。また、夜勤で自分しかいない時にも体調などの変化もあると思います。
そういった時、自分できちんと対処できるのか不安です。(20代女性)
各施設・事業所には、それぞれの業務に関わるマニュアルがあります。緊急時の対応についても同じで、職員は利用者さんの日常の様子や業務についての情報を共有しながらケアを行います。また、職場内研修や外部研修を活用し、職員の資質の向上にも努めています。ですので日々の業務を真摯に取り組んでいれば心配ないでしょう。
介護の現場は、「人の命を守る」という使命もありますので、職員各自も、自己研鑽に努め、医療に関する必要知識(よく使われている薬の効用等)を身につけていくと良いでしょう。
夜勤中、利用者さんの急変に一人で対応することは不安が大きいものです。利用者さんの何気ない変化、いつもと違う様子が急変のサインのこともあり、利用者さんの一番身近にいる介護職員が発見することもあります。日ごろから利用者さんをよく観察し、予測をすることで、スムーズに医療職へ引き継ぐことができます。
実習中に多くの医療的場面に出会いましたが、医療や薬品の知識はどの程度必要でしょうか。(10代女性)
医療や薬品の知識ですが、「基本的な体のしくみ」や「医学的側面からみた障害の理解」「血圧・下剤・痛み止め・点眼薬・皮膚疾患の軟膏等の身近な薬の効用等」を現場で学んでいくと良いと思います。
薬品の知識を持つことで、食事や歯みがきなど日常生活の支援に活かすことができます。たとえば、糖尿病でインスリンを投与している場合、低血糖症状の予防として食事の量に目を向けることができます。また、脳卒中で血液の流れを良くする薬を投与している場合、血が止まりにくくなるため、歯みがき中の出血を防ぐよう力加減をすることができます。利用者さんの用いる薬品と生活上必要な配慮を結び付けながら知識を深めてみましょう。

Q9:利用者さんと上手くコミュニケーションがとれるか不安です。

高齢の方々とお話する際の話題作りが大変なので、良い方法があれば知りたいです。(10代男性)
人と話すのが得意ではないのですが、ちゃんと務まるのか不安です。(20代男性)
「聴く」ことはかかわることと表裏一体です。「聴く」ことは、相手の話す言葉を聞くだけでなく、こころの声に能動的に耳を澄ますことです。「聴」という字は相手の語る話に耳をつき出し、自分自身のこころをまっすぐにして、よく聞くことを表しています。この「よく聴く」技能は、「傾聴」といわれ、対人援助の基本技能であるばかりでなく、重要な価値観、姿勢、もしくは態度であるともいわれます。人の話は千差万別ですが、じっくり聴いていると、話し手が見聞きしたこと「経験」、行ったこと「行動」、感じたこと「感情」、およびその人の価値観や考え方「ものの見方」が含まれていることに気づくでしょう。
また、この地球上で「笑う」のは人間だけです。人間は独りでは生きていけず、助け合って共に社会を作り、生きていくために「笑い」が必要だったのです。「笑い」が心を癒やし、病気を治す力になることが多いことをご存知でしょうか。「ただ笑っていればすべて解決する」というのではなく、介護職としての「介護的技術」の基盤を身につけて、はじめて「笑い」が「愛情」や「親しみ」の感情になり、人間関係を築くことができ、介護を必要としている人に伝わり、双方向のコミュニケーションが実現します。
笑顔で、相手が興味のあることや生活歴や好きなことなどを聴いて、それを足がかりに、コミュニケーションをとってはいかがでしょうか。
コミュニケーションは、利用者さんと話ができたかどうかで良し悪しを決めるのではなく、コミュニケーションにより、利用者さんとより良い関係を作ることができたか、利用者さんのことを知ることができたかを考えます。時にはそばで静かに寄り添うことも一つのコミュニケーションです。高齢者など異年齢の方との共通の話題を探すことには苦慮しますが、高齢者が好む話題や関心を示すもの、昔の話を聴いてみることも利用者さんを知る手掛かりになります。
介護は「利用者さんに喜んでいただきたい、より良くなっていただきたい」という思いを実践という形に表します。コミュニケーションの前に、利用者さんを思う気持ちを大切にしたいものです。

Q10:覚えることが多そうで不安です。

年号や法律名、制度内容など、専門的な内容の覚え方に苦労していますが、何か良いアイデアがあれば教えていただきたいです。(10代男性)
年号や法律名、制度内容などの覚え方については、歴史と共に変わってきた社会の仕組みを理解することで、生活と福祉がどのように関わってきたのか、日本の文化がどうであったか、地域社会の変化、ライフスタイルの変化などを通じて社会制度のあり方について覚えていくと、楽しく学ぶごとが出来るでしょう。
例えば、「お父さんが生まれた時代は、子どもの頃はどんな生活をしていたのだろう、お祖母ちゃんはどうだろう」と、法律や制度を結び付けていくと、納得のいく答えが得られるでしょう。これから関わりを持つであろう利用者さんの、過ごしてきた時代や生活歴を知ることで、現在の人となりが見えて、ケアに役立てることが出来るでしょう。
法律、制度などは、その時代に生じた問題を解決するために制定されています。人の暮らし方など、時代的な背景をとらえながら学習を深めてみましょう。
料理・洗濯・掃除など家事全般やったことがないので、できるのか不安です。(20代男性)
家事は、そこに暮らしている皆が気持ちよく生活するために必要なものです。最初から上手にできる人はいませんが、家事援助の基本は、単なる家事の代行ではなく、利用者さんが参加できるところはどこか、主体的に関われる支援方法は何かを常に意識することが大切になります。 
居宅では、プライベートな空間への配慮、利用者さんがそれまでの経験で培ってきた知恵や技術を引き出すことも大切な視点となります。家事は、生活の基本となりますので、大いに学び学習を重ねてください。
在宅介護の利用者さん宅は、プライベートな空間で、その方が大切にしている暮らし方があります。習慣など一人一人が大切にしているもの、望んでいるものをくみ取ることが求められます。まずは、利用者さんの生活空間へ伺う謙虚な姿勢と利用者さんの意向をもとに支援する姿勢を大切にしてみましょう。
閉じる トップページ