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あいち産業科学技術総合センターが冊子「明日を拓く技術開発」を発行しました ~最新の研究成果・技術支援事例を紹介~

ページID:0551435 掲載日:2024年11月21日更新 印刷ページ表示
8 働きがいも経済成長も9 産業と技術革新の基盤をつくろう

   愛知県では、県内企業が抱える技術課題を解決するため、あいち産業科学技術総合センター(以下「センター」という。)において、研究開発や技術支援を行っています。この中で得られた最新の研究成果と技術支援事例を、広く企業の皆様に知っていただき、課題解決等に御活用いただくため、冊子「明日を拓く技術開発」を発行しました。
   この冊子では、「企業間(BtoB※1)向け製品開発」、「生活関連(BtoC※2)向け製品開発」及び「計測・分析技術」の3分野において、センターの研究成果や企業の皆様が抱える技術課題の解決につながった事例61件を、写真入りで具体的に紹介しています。
   企業の皆様の製品・技術開発に、本冊子及びセンターを是非、御活用ください。

1 概要

(1)発行目的
   新製品・新技術開発、及び技術課題の解決にセンターを御活用いただくため、最新の研究成果事例及び技術相談・指導による技術支援の事例を2年ごとに取りまとめて紹介しています。

(2)構成(A4判  本文21ページ  カラー写真入り)
   2023年度までの主な研究開発成果・技術支援事例  61事例
      企業間(BtoB)向け製品開発    26事例
      生活関連(BtoC)向け製品開発  12事例
      計測・分析技術              23事例​

​(3)発行部数
​   2,000部

(4)配布場所
   冊子は、本部、各技術センター及び試験場で配布するとともに、センターWebページ(https://www.aichi-inst.jp/)でも公開します。​

本部:豊田市八草町秋合1267-1    電話:0561-76-8315

瀬戸窯業試験場:豊田市八草町秋合1267-1    電話:0561-21-2116

産業技術センター:刈谷市恩田町一丁目157-1    電話:0566-45-5640

常滑窯業試験場:常滑市大曽町4-50    電話:0569-35-5151

三河窯業試験場:碧南市六軒町2-15    電話:0566-41-0410

食品工業技術センター:名古屋市西区新福寺町2-1-1    電話:052-325-8093

尾張繊維技術センター:一宮市大和町馬引字宮浦35    電話:0586-45-7871

三河繊維技術センター:蒲郡市大塚町伊賀久保109    電話:0533-59-7146

※開庁時間:午前8時45分から午後5時30分まで
   (土曜・日曜日・祝日、12月29日から1月3日を除く。)

(5)配布開始日
   2024年11月21日(木曜日)

2 掲載内容例

(1)企業間(BtoB)向け製品開発の例
   No.2   ターコイズ水素※3製造および副生炭素を用いた熱伝導性樹脂(産業技術センター(刈谷市))
   ターコイズ水素とは、メタンなどの化石燃料から二酸化炭素を排出することなく製造される水素です。この反応では、固体の炭素が副生されます。
●特徴・方法
   触媒に金属板を用いることで、長期安定したターコイズ水素製造が可能となりました。
   また、副生炭素は、電気伝導度の高い繊維状炭素です。熱可塑性樹脂と複合化させることで、市販品と同等の熱伝導性を有することが分かりました。
●成果・波及
   カーボンニュートラル社会実現のため、水素の需要拡大が見込まれています。現在、連携企業と中小規模のターコイズ水素製造装置の事業化に向けた検討を行っています。
※本課題はNEDO水素利用等先導研究開発事業に採択され実施しました。

副生炭素と熱可塑性樹脂を複合化させた熱伝導性樹脂
​副生炭素と熱可塑性樹脂を複合化させた熱伝導性樹脂

(2)生活関連(BtoC)向け製品開発の例
   No.31   米麹を主原料とした新タイプのビールテイストアルコール飲料(食品工業技術センター(名古屋市))
​   米麹を利用した新タイプのビールテイストアルコール飲料の製造法を、県内企業と共同で研究開発し、製品化しました。(新あいち創造研究開発補助金事業に採択され実施。)
​●特徴・方法
   麦芽を糖化させた麦汁ではなく、米麹を糖化化させた「麹甘酒」を発酵基質に使用しました。酵母は愛知県清酒酵母「FIA3」※4を使用し、爽やかな酸味と果実様の香りを特徴とする、グルテンフリーのアルコール飲料です。
●成果・波及
   日進市の企業により製品化され、通販サイトでの販売展開や日進市のふるさと納税返礼品にも指定されています。
「RIZE」販売サイト:あんこ椿通販ネットショップ(https://shop.encoretsubaki.com/)

米麹を主原料としたビールテイストアルコール飲料
​米麹を主原料としたビールテイストアルコール飲料

(3)計測・分析技術の例
   No.43   X線CT※5による砥石の内部構造観察(本部(技術支援部)(豊田市))
​   砥石の性能向上を目的として、非破壊で内部構造を調査したいという相談がありました。
​●特徴・方法
   X線の透過像を360°の角度から撮影し、3次元像に結像するX線CTを行い、砥石先端部分の内部構造の観察を行いました。結果、砥粒や空隙と思われる部分の大きさや分布をとらえることができました。
●成果・波及
   観察結果から得られた内部構造のパラメータと砥石の性能の相関を調査し、製造工程の最適化に貢献することができました。X線CTは、空隙のように破壊観察では得られにくい情報を取得できるため、複雑な製品開発に有効な手段となります。

砥石のX線CT画像
​砥石のX線CT画像

​3 問合せ先

あいち産業科学技術総合センター産業技術センター総合技術支援・人材育成室
担当:竹内、山下、山田
刈谷市恩田町1丁目157番地1  電話:0566-45-5640
URL:https://www.aichi-inst.jp/

 

【用語説明】
※1  BtoB
   Business to Business の略。企業が企業に向けて、商品やサービスを提供する取引を意味する。

※2 BtoC
   Business to Consumer の略。企業が個人に向けて、商品やサービスを提供する取引を意味する。

※3 ターコイズ水素
   欧米では水素の製造方法によって色分けする考え方が広がっており、2020年にドイツ政府による国家水素戦略に基づいて色分けが定義された。「ターコイズ水素」は、原料にメタンなどの化石燃料を用いるが、反応において二酸化炭素を排出しない水素のことを指す。水蒸気改質・シフト化反応によって得られる水素は「グレー水素」、グレー水素製造時に発生する二酸化炭素を回収・貯蔵する場合は「ブルー水素」、太陽光発電など再生可能エネルギーを利用し、水の電気分解によって得られる水素を「グリーン水素」と呼ぶ。
参考文献:The National Hydrogen Strategy, p28(2020)

※4 愛知県清酒酵母「FIA3」
   食品工業技術センターが2004年に開発した、リンゴのような吟醸香を多く生成する酵母。

※5 X線CT
   X線(波長1p(ピコ)m-10n(ナノ)mの電磁波)が対象物を透過する際の「透過しやすさ」「吸収されやすさ」の違いを利用して、内部の構造を可視化する装置。CTとはcomputed Tomography(コンピューテッド トモグラフィー)(コンピューター断層撮影法)の略称で、X線で撮影した画像を三次元(立体)像に再構成することで内部構造を非破壊で三次元的(立体的)に評価(観察・検査・計測)することができる。

<参考>あいち産業科学技術総合センターの概要
   「知の拠点あいち」本部において、大学の研究シーズを企業の事業化につなげる産・学・行政の連携による共同研究の場の提供や高度計測分析機器による分析評価など「付加価値の高いモノづくり技術」を支援する取り組みを行うとともに、「産業技術センター」を始め県内各地の各技術センター・試験場を中心に地域企業の総合的な技術支援を行っている。

このページに関する問合せ先

​あいち産業科学技術総合センター産業技術センター総合技術支援・人材育成室
担当:竹内、山下、山田
電話:0566-45-5640