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登録記念物(名勝地関係)の登録について

ページID:0279552 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示
2019年6月21日(金曜日)発表

登録記念物(名勝地関係)の登録について

 国の文化審議会(会長 佐藤  信(さとう  まこと))は、登録記念物(名勝地関係)の登録について、6月21日(金曜日)に文部科学大臣に答申しました。そのうち、愛知県では下記の物件が該当しますのでお知らせします。

1 登録記念物の名称等

登録記念物の名称等
種別 名称・所在地 員数 所有者等


 名勝地

関係


旧林氏庭園

 一宮市起字下町211番、イ235番

1件


一宮市

 一宮市本町2丁目5番6号

(問合せ先 一宮市尾西歴史民俗資料館  一宮市起字下町211番(電話 0586-62-9711))

2 旧林氏庭園の概要及び登録の理由

 旧林氏庭園のある旧林家住宅は、江戸時代に美濃路(みのじ)の宿場町として栄えた一宮市起(おこし)地区に所在する。江戸時代に起宿(おこししゅく)の脇本陣(わきほんじん)[1]であった林家は、明治24年(1891)に濃尾地震で被害を受け、屋敷が倒壊した。大正2年(1913)に主屋が再建された後、江戸時代の屋敷構えを意識した裏座敷などが増築されていった。庭園は、その後の昭和初期に、さらに10年の歳月をかけて作庭されたものである。なお、旧林家住宅主屋は、平成14年(2002)に国登録有形文化財(建造物)になっている。

 庭園は、東側で街道に面する主屋に対して西側の木曽川堤防方向へ広がり、西側の主庭と、主屋北側の書斎及び裏座敷に面する坪庭とで構成される。主庭の中央部には、流れと細長い園池(心字池(しんじいけ))が設けられる。主屋から見ると、敷地は縦方向に長く、中央奥からの流れが右へ方向を変え、左右に広がる手前の園池へつながる。庭園内の石は、各地から牛車で運び込まれたと言われており、流れと園池の護岸は石で組まれ、随所に大ぶりの鮮やかな色合いの石を交ぜる。また、飛石(とびいし)[2]の園路が園内をめぐり、大きめの景石(けいせき)[3]、蹲踞(つくばい)[4]、石灯籠等が配されている。

 植栽は、マツ類、カエデ類などの高木や、ドウダンツツジなどの低木を中心としている。カエデ類は主要な景観木となっており、秋には鮮やかな紅葉を楽しむことができ、作庭当初からあったドウダンツツジは新緑の時期に白い花を咲かせ、こちらも見どころの一つとなっている。また、平成26年度(2014)からの植栽整備で日照が改善された結果、スギゴケが地面を覆うようになっている。

 このように、旧林氏庭園は、大正末から昭和初期にかけてこの地域の近代庭園文化の先駆けとして作庭されてきており、近代の愛知県における造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。

秋 石橋から主屋をのぞむ(一宮市尾西歴史民俗資料館提供)

秋 石橋から主屋をのぞむ(一宮市尾西歴史民俗資料館提供)

中央の園地(心字池)(一宮市尾西歴史民俗資料館提供)

中央の園地(心字池)(一宮市尾西歴史民俗資料館提供)

初夏 苔の繁茂(一宮市尾西歴史民俗資料館提供)

初夏 苔の繁茂(一宮市尾西歴史民俗資料館提供)


脇本陣[1]  江戸時代、宿駅で大名などが休泊した本陣の予備として設置された宿舎。
飛石[2]   日本庭園に少しずつ離して敷並べられた石で、庭の中の通り道としたもの。
景石[3]   庭園の風景を造り出すためにところどころに置かれている石。
蹲踞[4]   茶庭に低く置かれた手水鉢。手を洗う際に体を低くしてつくばうのでこの名で呼ばれる。

 3 登録記念物の制度について

(1)記念物

  記念物とは、次の i.~iii.を総称した文化財の一つの種類である。〔文化財保護法第2条第1項第4号〕

  1. 貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で、我が国にとって歴史上または学術上価値の高いもの〔遺跡関係の記念物〕
  2. 庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で、我が国にとって芸術上または観賞上価値の高いもの〔名勝地関係の記念物〕
  3. 動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む)、植物(自生地を含む)および地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む)で、我が国にとって学術上価値の高いもの〔動物、植物および地質鉱物関係の記念物〕

(2)登録文化財の制度

 平成8年の文化財保護法改正により、従来の指定制度を補完する新しい保護手法として導入されたのが登録文化財の制度である。国と地方公共団体により指定されたもの以外の文化財を対象としている。保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを幅広く登録して、届出制と指導、助言、勧告を基本とするゆるやかな保護措置を講じることにより、所有者の自主的な保護を期待する制度である。

 当初は有形文化財の建造物のみが対象とされたが、平成17年4月の保護法改正で、建造物以外の有形文化財、有形民俗文化財、記念物にも登録制度が拡充された。

(3)登録記念物(名勝地関係)の登録基準

 登録の対象となるものは、庭園、公園その他の名勝地で、人文的名勝地については造成後50年を経過したもの、自然的名勝地については広く知られたもので、かつ、次の 1)~3)のいずれかの基準に該当するものである。

1)造園文化の発展に寄与しているもの
2)時代を特徴づける造形をよく遺しているもの
3)再現することが容易でないもの

(4)登録記念物の登録状況

ア) 愛知県について

 登録記念物については2009年5月登録の鶴舞公園(つるまこうえん)(名古屋市昭和区)に続き2例目となる。

イ)全国について

 登録記念物件数の累計は今回の登録件数を含めると112件となる。内訳は遺跡関係11件、名勝地関係95件、動植物及び地質鉱物関係6件である。(ただし、2つの種別に重複して登録が行われている物件があるため、これを1件として数えると、答申後登録件数は110件である。)

このページに関する問合せ先

愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室

保護・普及グループ
〒4608501 名古屋市中区三の丸3-1-2
Tel:052-954-6783 Fax:052-954-7479
E-mail bunkazai@pref.aichi.lg.jp