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農業水産局畜産課の事業内容
1 酪農振興対策について
生乳の生産は、飼養戸数及び飼養頭数の減少を背景に年々減少しており、生乳生産基盤の回復が急務となっている。
このため、今後においても生乳の安定的供給を維持していく必要があることから、次の事業を実施する。
(1) 畜産物流通調査指導事業
(2) 乳用牛群総合改良推進事業
2 肉用牛振興対策について
農家の高齢化等による飼養戸数及び飼養頭数の減少を背景に、子牛価格や枝肉価格が高い水準で推移しており、生産基盤の回復を図り、安定的に肉用素牛を供給することが求められている。
牛肉の需給バランスの変化等による子牛価格の変動に対応するため、また、「みかわ牛」のブランド力を強化するため、次の事業を実施する。
(1) 肉用子牛価格安定対策事業
肉用子牛の平均売買価格が合理化目標価格を下回った場合、生産者に対し補給金を交付するために必要な生産者積立金の造成に対して助成する。
事業主体 (公社)愛知県畜産協会
対象頭数 6,200頭
補助率 1/4以内 ※全額を既交付の積立準備金で対応
(他に(独)農畜産業振興機構1/2)
(2) あいちの農林水産物ブランド力強化事業のうち「みかわ牛」
みかわ牛銘柄推進協議会によるみかわ牛のブランド力強化に関する取組を支援する。
3 養豚振興対策について
豚肉価格は、出荷頭数が増加する秋口に低下する傾向があるなど季節によって変動するほか、近年は、疾病の発生や記録的猛暑が出荷頭数を減少させ、養豚経営に大きな影響を与えている。
国際化の進展や飼料価格高騰等の経営環境の変化に対応するため、養豚経営の安定化や優良種豚の増殖及び豚肉の品質向上を図ることを目的として、次の事業を実施する。
(1) 肉豚生産安定対策事業
肉豚生産において標準的販売価格が標準的生産費を下回った場合に、生産者に交付金を交付するための原資となる生産者積立負担金に対して助成する。
(2) 養豚振興対策事業
系統豚造成に係る養豚関係者の連絡調整会議等の開催や系統豚の利用拡大並びに消費拡大等を推進する。
4 養鶏・小家畜振興対策について
(1) 養鶏の振興
国内産地間競争の激化、高病原性鳥インフルエンザ等に対する防疫対策など最近の養鶏を取り巻く諸情勢は厳しいものがあり、これらに対応するため、鶏卵価格の変動に対応した安定的生産を確保するとともに、名古屋コーチン種鶏供給体制の整備及びブランド力強化を図る。
ア 鶏卵価格安定対策事業
鶏卵の需給バランスの不均衡による低卵価時の農家への影響を緩和するため、鶏卵生産者経営安定対策事業(鶏卵価格差補塡事業及び成鶏更新・空舎延長事業)における生産者積立金の一部を助成する。
イ 鶏改良推進事業
養鶏振興法に基づくふ化業者の登録、重点指導ふ化場の指定及び名古屋コーチンの育種改良並びに種鶏の供給体制についての検討を行う。
ウ あいちの農林水産物ブランド力強化事業のうち「名古屋コーチン」
名古屋コーチン振興協議会による名古屋コーチンのブランド力強化に関する取組を支援する。
(2) 小家畜の振興
養蜂振興法及び県蜜蜂転飼条例に基づく、蜜蜂の適正な転飼調整により、蜜源の有効利用を図り養蜂振興に役立てるとともに、うずらなどの特用畜産の振興を図る。
ア 養蜂振興推進事業
蜜蜂転飼許可、蜜蜂転飼調整会議の開催、蜜源等実態調査の実施
イ 特用畜産振興事業
小動物飼養状況調査の実施
5 畜産物消費促進対策について
畜産経営の安定並びに収益向上のためには、需要の安定や販路拡大を図る必要があることから、畜産物への理解醸成を目的とした消費促進活動を行う。
畜産物消費促進事業
県民の県内産畜産物に対する理解を深めることを目的として、広報宣伝活動、消費者交流事業に対して助成する。
事業主体 愛知の畜産物消費促進推進協議会
事業内容 消費者交流会、展示即売、宣伝資料配布等
補助率 1/3以内
6 飼料対策について
飼料価格の高止まりに対応し、畜産経営の安定を図るためには、飼料自給率を高めることが必要であることから、耕種農家と畜産農家が連携した飼料生産・流通体制の構築支援や未利用資源の飼料活用を促進し、これらの取組に必要な機械の導入等を推進する。
また、流通飼料の安全性等を確保するため、配合飼料製造業者等への立入検査を実施する。
(1) 自給飼料生産振興事業
ア 自給飼料生産振興事業
自給飼料の生産・利用の拡大を図るため、栽培技術指導や普及啓発等を実施する。
イ 水田有効活用事業
水田転作作物としての飼料用稲の普及推進を図る。
ウ 耕畜連携支援強化事業
耕種農家と畜産農家が連携した飼料作物の生産・流通モデルの実証や子実用トウモロコシの栽培実証、飼料生産組織の育成を推進する。
(2) 地域飼料資源循環促進事業
地域特有の多様な未利用資源の飼料化を進めるための保管・調整方法の検討や家畜への給与技術の検証を行うとともに、利用拡大に向けた県内畜産農家への普及啓発等を実施する。
(3) 自給飼料等利用促進事業
飼料自給率の向上、生産コストの低減を図るため、飼料作物、稲わら等の自給飼料生産利用機械施設の整備を行う。
事業主体 市町村
事業実施主体 農業者の組織する団体
事業内容 飼料作物共同栽培、収穫、調製用機械施設の導入
稲わら等採集、集荷、加工調製用機械施設の導入
補助率 1/3以内
(4) 飼料検査
「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」に基づき、立入検査等を実施する。
対象 |
内容 |
|
---|---|---|
飼料工場 |
9工場 |
表示検査 18検体 栄養性検査 18検体 |
畜産農家 飼料販売業者等 |
30戸 30業者 |
飼料の適正な取扱の普及啓発、指導 |
7 畜産環境対策について
「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」に基づき、家畜排せつ物の適正な管理を確保するとともに、畜産バイオマス資源として家畜排せつ物の有効利用を推進し、環境に配慮し、地域社会と調和の取れた畜産経営の確立を図る。
(1) 環境対策推進事業
家畜排せつ物の適正化及び利用の促進を図るため、法律に基づく立入検査並びに指導及び家畜排せつ物利用促進研修会等を実施する。
(2) 家畜糞尿処理対策事業
家畜排せつ物を適切に処理し、資源として円滑に循環させるため、家畜排せつ物の処理及び利用機械等の整備を行う。
事業主体 市町村
事業実施主体 農業者の組織する団体
事業内容 堆肥生産及び浄化処理に係る機械施設の導入
堆肥運搬、施用機械の導入
補助率 1/3以内
8 畜産生産基盤の強化について
地域の特性を活かし、地域一体となって畜産の収益力を向上させるため、各地域の畜産クラスター協議会の計画に基づく、畜舎やその関連施設の整備に対して支援する。
畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業
生産コストの低減、畜産物等の高付加価値化、畜産物等の新規需要の創出及び飼料自給率の向上を通じた畜産経営の収益性の向上等に必要な畜舎及びその関連施設の整備を行う。
事業主体 市町村
事業実施主体 畜産クラスター協議会
事業内容 畜舎及びその関連施設の整備
補助率 1/2以内
9 優良種畜の供給について
輸入畜産物との国際競争に対応し、畜産経営の生産性の向上を図るため、畜産総合センターを拠点として、優良な種畜及び受精卵の供給を行う。
(1) 優良種畜供給事業
家畜の改良増殖を図るため、畜産総合センターで飼養する種畜等を農家に供給する。
区 分 |
家畜飼養頭羽数 |
種畜供給頭羽数 |
||
---|---|---|---|---|
畜産総合センター |
牛 |
144頭 |
牛 |
48頭 |
豚 |
366頭 |
豚 |
410頭 |
|
同 段戸山牧場 |
牛 |
555頭 |
牛 |
537頭 |
同 種 鶏 場 |
鶏 |
7,185羽 |
種ひな |
94,340羽 |
種卵 |
30,000個 |
(2) 牛受精卵供給事業
牛受精卵移植技術(バイオテクノロジー)を活用して牛の改良増殖を推進するため、技術者の養成を行うとともに、乳牛受精卵の供給、農家の牛群整備、和牛受精卵の供給等を実施する。
ア 牛受精卵移植実用化促進事業
受精卵移植技術普及推進、移植技術者及び農家指導技術者の養成を行う。
イ 牛受精卵供給事業
(ア) 乳牛受精卵事業
乳用牛の改良を促進するため、乳牛受精卵の供給(受精卵を移植した妊娠牛の供給)、技術の高度化及び受精卵移植車(ET車)を活用した農家における牛群整備を行う。
(イ) 和牛受精卵事業
低コストかつ高品質な和牛の生産に貢献するため、和牛受精卵を農家へ供給する。
(3) 優良乳用牛受精卵購入事業
県内乳用牛の能力の向上を図るため、乳牛の改良先進国である北米等の海外から優良乳用牛受精卵(10卵)を導入し、畜産総合センターにおいて供卵牛を生産する。さらに、供卵牛から採取される優良な受精卵を基に、種畜の供給体制の整備を図る。
(4) 畜産総合センター種鶏場整備事業
名古屋コーチンの供給機能及び防疫体制を強化するため、平成28年度、小牧市において進めてきた新たな施設の整備が令和5年3月に完了した。
令和5年度中に、安城市にある旧種鶏場から新種鶏場への引越を進める。
10 競馬事業対策について
名古屋競馬を主催する愛知県競馬組合の構成団体として、競馬組合や構成団体間の連絡調整、競馬組合の経営状況の確認などを実施している。
競馬組合は、港区の名古屋競馬場施設の老朽化が著しく、競馬を開催しながら現地で建替えを行うことは困難であることから、弥富市の弥富トレーニングセンターへの移転事業を実施し、新競馬場を令和4年4月に開業した。さらに、移転後の競馬場跡地には、南東部に新場外馬券発売所の建設を予定している。
本県としては、引き続き競馬組合の経営状況を注視するとともに、新場外馬券発売所の開設に向けて必要な調整や助言等を行い、競馬組合と一丸となって取組を進めていく。
11 家畜衛生対策について
最近の畜産経営は飼養規模の拡大と集約化が進み、家畜及び畜産物の移動も交通機関の発達と経済圏の拡大等により、ますます広域化、国際化している。
このような状況の中、平成31年に県内で発生した豚熱や令和4年に発生した高病原性鳥インフルエンザのように、一旦発生があると、短時間で広範な地域にまん延し、その経済的損失は甚大なものとなる恐れがある。よって、家畜伝染性疾病の発生予防並びにまん延防止を図るため、次の事業を実施する。
(1) 家畜伝染病予防事業
区 分 |
令和3年度 |
令和4年度 |
令和5年度 |
---|---|---|---|
牛結核病検査 |
61頭 |
0頭 |
0頭 |
牛ブルセラ病検査 |
1頭 |
2頭 |
0頭 |
ヨーネ病検査 |
7,991頭 |
10,967頭 |
10,000頭 |
みつばち腐蛆病検査 |
5,297群 |
5,803群 |
5,500群 |
ひな白痢検査 |
911羽 |
0羽 |
0羽 |
(2) 鳥インフルエンザ対策
鳥インフルエンザの発生予防を図るため、県内の9養鶏場で毎月定点監視等を行うとともに、家畜伝染病予防法に基づき100羽以上を飼養する家きん飼養農場について立入検査を行う。
ア 定点モニタリング 9戸 延べ1,080検体(ウイルス分離及び抗体検査)
イ 強化モニタリング 30戸 300検体(抗体検査)
ウ 立入検査 100羽以上を飼養する全ての家きん飼養農場
(3) 家畜病性鑑定事業
年 度 |
令和3年度 |
令和4年度 |
令和5年度 |
---|---|---|---|
鑑定件数 |
7,223件 |
8,709件 |
8,448件 |
(4) 家畜飼養衛生管理強化対策
新たに畜舎を整備する家畜の飼養者を対象として、飼養衛生管理基準を遵守するための野生動物侵入防止柵や防鳥ネットなどの設置に係る経費を助成する。
事業実施主体 畜産関係団体
設置計画数 8農場
補助率 1/2以内
(5) 豚熱対策
ア 飼養豚豚熱検査
養豚農場から異常通報があった場合に、速やかに豚熱の検査を実施し、豚熱の監視体制を強化する。
イ 飼養豚ワクチン接種
家畜伝染病予防法に基づき、県内養豚農場における新規子豚及び繁殖豚に豚熱ワクチンを接種する。また、ワクチンによる免疫付与状況を確認するため、抗体検査を実施する。
(6) 牛海綿状脳症(BSE)対策事業
牛海綿状脳症対策特別措置法に基づき、県内農場等で発生する96か月齢以上の死亡牛全頭、48か月齢以上の起立不能であった死亡牛及びBSEを疑う症状のあった死亡牛について、中央家畜保健衛生所においてBSE検査を実施する。
死亡牛検査(96か月齢以上) 160頭
(7) 家畜衛生技術指導事業
複雑多様化した家畜疾病への対応を図るため、畜産農家の生産性向上対策、各種検査・調査の結果に基づく家畜衛生技術の指導、普及を行う。
(8) 動物薬事・獣医事指導事業
動物用医薬品等の適切な流通、使用並びに適正な獣医事を確保するため、動物用医薬品等販売業の許可事務、飼育動物診療施設の届出事務並びに動物用医薬品等販売業者・製造業者、飼育動物診療施設等への立入、指導、監督を行う。
製造業等(※)許可件数 |
販売業許可件数 |
診療施設届出件数 |
---|---|---|
33件 |
440件 |
823件 |