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知多の農業概要
1 地域農業の特徴
知多地域は名古屋市の南端から南に突きだした半島と日間賀島及び篠島という2つの離島から構成されて
います。面積は約3万9千ha、人口約62.4万人で、南北に緩やかな丘陵地が続いており、平野部は比較的狭
く、森林が約1割を占めています。この地域には大きな河川がないため、長年に亘り農業用水の確保に苦労し
てきましたが、昭和36年9月から愛知用水の通水が開始され、国及び県の農地開発事業により農業生産基盤
が整えられました。
農業は都市近郊地域としての立地条件と温暖な気候を活かし、野菜では「キャベツ」、「たまねぎ」、「ふき」、果
樹では「みかん」、「ぶどう」、「いちじく」、花きでは「きく」、「洋ラン」、「観葉植物」、畜産では「乳・肉用牛」、「養
鶏」、「養豚」であり、とりわけ「ふき」、「いちじく」、「洋ラン」、「養鶏」は、県内・外のトップクラスの産地であります。
また、畜産が農業産出額380億円全体の半分(H27年)を占めていることが大きな特徴です。このように、知多
地域の農業は、各作目間でバランスの取れた産地を形成しているということが言えます。
しかし、この地域の農業を取り巻く状況については課題もあり、例えば、耕作放棄地の面積は、平成25年度
の約865haから、平成28年度には約1,128haに増加しました。これは担い手の高齢化等により、離農や担い
手不在が進んでいることが理由と考えられます。対策として、農地中間管理事業を使い既存の経営規模の大き
い担い手に農地の集積・集約化を進めることが有効である、と考えられております。
一方、近年の動きとして、農業者(生産者)の中には、農産物の生産だけでなく加工・販売まで手掛ける6次産
業化に着手する事業者も徐々に出始めています。6次産業化を進めるための最初の手続として、事業予定者
は6次産業化総合化事業計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることになりますが、平成29年度末まで
に農林水産大臣の認定を受けた計画件数が県内で81件あり、そのうち知多地域が20件(約25%)を占めてい
ます。
【出 典】
(1) 平成28年産水稲市町村別収穫量(東海)、 (2) 第63次東海農林水産統計年報、 (3) 愛知県園芸農産課、畜産課業務資料、
(4) 図で見る愛知の園芸農産2017、 (5) 愛知県 農業の動き2017
【注意点】
1 「指定産地」の解説
「指定産地」とは、集団産地として形成する必要と認められる産地であり、国が野菜生産出荷安定法の規定により指定する野菜指定産地のことです。
この産地では、出荷品目の価格が一定以下に下落した場合に、野菜供給安定基金を通じて生産者補給金が交付されます。
2 愛知県全体の全国順位は上位5位までとし、野菜では指定産地の順位ではなく、品目全体としての順位を記載しました。