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「女子大学生と『あいち女性輝きカンパニー』の交流会」現地レポート 〜vol.1 椙山女学園大学編〜
卒業後の進路は地元企業への就職?それとも働く場所にはこだわらない?
文系学部だから製造業やIT系の企業は対象外?
そんなことはありません。
知らなきゃソン、知ってトクする交流会が椙山女学園大学の日進キャンパスで行われました。
社会人のリアルな声を聴いて、自分で考え、心の声を聴く。
参加した学生の皆さんにはどんな気づきが生まれたのでしょうか。
「あいち女性輝きカンパニー」って?
愛知県では、女性の活躍促進に積極的に取り組む企業等を「あいち女性輝きカンパニー」として認証し、その取組を支援しています。(認証企業数は1,310社/2023年8月1日時点)
登壇者
●総合司会:愛知県県民文化局 男女共同参画推進課 課長補佐 太田 美代子
●コーディネーター:オフィスアイム 代表 市川 麻波 氏(愛知県女性の活躍促進コーディネーター)
<「あいち女性輝きカンパニー」認証企業>
小林クリエイト株式会社
株式会社システムリサーチ
株式会社山田製作所
(五十音順)
交流会スケジュール
- 女性社員による自己紹介及び人事担当者による会社の魅力のPR
- パネルディスカッション
- 交流タイム
- 登壇者(女性社員及び人事担当者)からコメント
- まとめ
交流会
開会にあたって、本企画にご協力いただいた椙山女学園大学の吉田あけみ教授から「今日の交流会は、女性がいきいきと働く未来に向けて、現場の生の声を聞ける貴重な場です。社会の中で女性がいかに活躍していくのかを、リアリティをもって皆で一緒に考えていければと思います。」とメッセージをいただきました。
さっそく、本日のメインゲストである社会人の先輩方の自己紹介です。
小林クリエイト株式会社
・加藤 綾梨さん(入社5年目、生産管理部。業務を長期的に計画する部署)
・片岡 千陽さん(入社4年目、総務人事部。新卒採用担当)
小林クリエイト(株)は、創業86年を迎えた印刷メーカー。コンサートやイベントチケット、マークシート、宅配伝票など私たちに身近な印刷物から、システムや機械まで自社開発製品を販売する会社です。
株式会社システムリサーチ
・渡邉 佳央里さん(入社5年目、製造システム事業部。椙山女学園大学出身。製造業のスケジュール管理のプログラムを作っている)
・林 真由香さん(事務管理部。採用担当。椙山女学園大学出身。)
・吉﨑 綾乃さん(事務管理部。採用担当。)
(株)システムリサーチは東海圏屈指の独立系SIer(IT)企業。プログラマー、システムエンジニアほか技術職が多く在籍しています。文系理系問わず、6割がIT系技術未経験で入社しており、近年入社する社員の男女比率は半々です。
株式会社山田製作所
・中村 友梨恵さん(営業部。椙山女学園大学出身。新卒で鉄鋼商社の営業職、外資系メーカーを経て山田製作所へ。)
・山田 英登さん(代表取締役)
(株)山田製作所は、ロボット農機、建機の心臓部になる金属の研削加工がコア技術の企業で、ミクロン加工の精度が必要な部品を作っています。ロボットによる24時間生産で、社員の女性比率は7割です。
第1部 <パネルディスカッション>
ここからはコーディネーター市川さん(以下「Co」)の司会で、「あいち女性輝きカンパニー」で活躍されている先輩方の話を伺っていきます。
パネリストは以下の3名です。
○加藤 綾梨さん(小林クリエイト)
○渡邉 佳央里さん(システムリサーチ)
○中村 友梨恵さん(山田製作所)
Q1. 数ある中からなぜこの業種・業界を選んだのでしょうか?
加藤さん:「目に見える身近なものを自社で作っている」会社で働きたいと思っていて、小林クリエイト(株)を選びました。もともと本が好きでしたし、大学での専攻は平安文学。さまざまな年代の本や文献に触れる機会が多く、印刷業に興味を持つようになりました。
渡邉さん:女性が働きやすい会社が集まる就職セミナーがあって、そこで出会ったのが(株)システムリサーチです。会社のことを社員さんから直接聞いて、自分も働きやすそうだと思いました。私は志望業種を絞っていたわけではなかったので、「この会社があっているかも」と思ったのがきっかけです。大学でプログラミングの授業もあったので、IT業界への興味はありました。入社して実感したのは、文系学部出身者は‘コミュニケーション能力を強みとして生かせる’ということ。システムエンジニアは、クライアントや協力企業などプロジェクトメンバーに、仕様等をうまく説明することも重要な役割のひとつです。理系でPC作業が得意、というよりは、文理関係なく‘コミュニケーション能力’があればできる仕事だと思っています。
中村さん:私は転職して山田製作所へ入社をしていますが、愛知県出身で、もともと‘ものづくり’に興味があり工業製品が好きだったんです。前職も工業製品に関わる分野でした。日本のコア産業である自動車でも重要な部品として使われており、そこに携われることにやりがいを感じています。
Q2. 入社前のイメージと入社後のギャップはありましたか?
加藤さん:就活中、人事の方に親身にしてもらったこともあり、入社後のギャップは特に感じませんでした。ただ「社会人になって、学生時代とのギャップ」という意味では、「ひとりで完結する仕事はない」ということを実感しています。何事も、周りの人と連携する必要がありますから。
Co:入社前、ご自身で調べたり注意したりしたことはありましたか?
加藤さん:人事の方だけでは表面的なことしか伝わってこないかなと思い、社員の方に会える場には積極的に参加するようにしていました。
Co:なるほど、いろんな話を丁寧に聞いて、肌で感じることは大切ですね。渡邉さんは、いかがですか?
渡邉さん:入社前は、「PCに向かって仕事をして、時間になったら帰る」というイメージでした。でも実際社会人になってみると、コミュニケーションがとても大切。プログラムを完成させるには、クライアントの要望をどう叶えていくのか、グループ内で誰に何を依頼するのか、どのように説明すればわかりやすく伝えられるのか、など考える必要があります。認識を合わせることが大切だと感じています。
Co:入社後にプログラミングの勉強はできるのでしょうか?
渡邉さん:はい、入社後3ヶ月ほど研修期間を経て配属となるのですが、その間にプログラミングの基礎知識をゼロから学ぶ機会があります。同期入社の仲間と一緒にスキルアップしていくのも楽しかったです。
Co:ありがとうございます。では中村さんお願いします。
中村さん:私もギャップはありませんでした。金属加工業は、弊社のように女性活躍の環境が整っている企業もあれば、まだまだの会社もあって差が大きいと思います。
Co:山田製作所は女性が活躍する環境が整っていたから入社されたのでしょうか?
中村さん:それもありますが、入社前にビジョンがあっているかをしっかり調べて、私自身とマッチングするかどうか、という視点を大事にしました。
Q3. 仕事のやりがいについてはどうですか?
加藤さん:自分の知識が誰かの役に立ったり感謝されたりすると嬉しいです!生産計画を立てる際に、ベテランの方に教えてもらったことを次の計画に生かしたり、何か問題が起きたときに解決できたりした時に、成長を感じられると同時にやりがいにもつながっています。
渡邉さん:自分が作ったプログラムが生産現場で役立っているのを目にする時ですね。やりがいに直結しています。
中村さん:取引先の方々との交流を通じて自身の成長を感じる時です。娘がふたりいて、会社に連れてくることもありますし、私が家で海外の方とリモート会議をする姿などを通じて、娘たちがグローバルな世界に触れているのを感じる時も、この仕事に就いて良かったな、と思ったりします。
Co:皆さんにお尋ねします。「やりがい」は、最初からありましたか?
渡邉さん:最初の頃は、クライアントの要望に応えることに必死で余裕がなかったのですが、学びと経験の積み重ねでやりがいが生まれてきたように思います。
中村さん:入社前から自身のアピールと会社のビジョンを共有していたこと、違うとことは違う、と言える風通しのいい会社なので、最初からやりがいはありました。
加藤さん:私は小さな成功体験を積み重ねてようやく、だったと思います。
Co:中村さんのように自己分析がバッチリできている人はすぐ活躍できるかもしれないけど、やりがいは入社してから見つけることができるものだと伝えたいです。選択肢の幅を狭めずに視野を広く持ちましょうね!
Q4. 仕事とプライベートについて
加藤さん:仕事とプライベートの両立はできています。残業についても自分で調整できます。有休は理由を聞かれることなく気軽にとれますし、週末に合わせて旅行に行くことも!
渡邉さん:有休が取りやすく、半休や時間休もあるので、定時6時のところ5時に帰る、など時間単位で調整ができます。先日も2時間の時間休をとって4時に退社して野球観戦に行きました。プライベートも充実しています。
中村さん:有休取得率100%で、子育て世代にも働きやすい環境です。リモートワークで家事をやりつつ会議にも参加、という働き方ができますので、私は趣味も習い事も諦めることなく、プライベートも充実しています。
Q5. 今後のキャリアビジョンは?
加藤さん:ひとつのことを極めるよりは、さまざまな部署で知識を広げていきたいなと思います。問題解決をしたり、いい状況に変えたり、と幅広く活躍していきたいです!
Co:ジョブローテーションの制度はありますか?
加藤さん:あります。先輩たちがすでに実践しているのを見て、私もそう思いました。
渡邉さん:現在入社5年目で、プログラミングもしますし、クライアントとの打ち合わせにも同行しています。いまは上司がいてサブの立ち位置なので、自分が中心になってプロジェクトを進めていけるようになりたいです!
Co:何年くらいで独り立ちできるものですか?
渡邉さん:入社7〜8年目くらいの先輩が独り立ちしているので、そこくらいが目安かと。
Co:職場でロールモデルがいるのはいい環境ですね。では中村さんお願いします。
中村さん:ライフステージの変化に伴い、会社のビジョンと自分が貢献できることを念頭におきながら常に会社と私自身が‘ウィンウィン’の関係でいられることを意識しています。社会も会社も変わっていくので、これからも自分のキャリアビジョンと会社のビジョンのすり合わせを行っていきます。
Co:山田製作所をどうしていきたいですか?
中村さん:「金属の研削加工をコア技術にして社会に貢献していく」、そこはブレずにマーケット分散はしていきたいと思います。
第2部 <交流タイム>
ここからは交流タイム。3つのテーマについて学生同士で話し合い、パネリストの方と意見交換をしました。
Q1. どのような企業に魅力を感じますか?
<学生から出た意見の一部>
- 自分の好きなことが表現できる(こだわりを貫ける)
- 育休取得が男女性差なくできる
- やりたいことに挑戦できる
- ライフステージが変わっても働き続けられる
Co:やりたいことがやれるかどうか、という意見が出ましたが、配属先が思っていた部署ではなかった、というのはありがちですね。学生のうちから準備できることはありますか?
渡邉さん:入社前にしっかりリサーチすることが大事だと思います。説明会で社員に自分がやりたいことを質問してみる、ひとりの社員ではなく、複数の方に聞いてみる。いかに情報をとりにいけるか、がポイントです!
Co:「積極的な情報収集」がキーワードですね。
中村さん:椙山の先輩としてメッセージを送らせていただきます。自分ってどういう人なんだろう?どんな人と話すのが心地いいんだろう、どういうことが幸せなんだろう、と在学中に考えておくといいと思います。まず自分自身を知ること、ですね。
Co:女性は結婚、出産等でライフステージが変化していきます。そのなかで「働くこと」にどう向き合ってきましたか?
中村さん:給料も大事ですけど、働くことは「自分の人生を彩っていくもの」。私は仕事が楽しいし、表現するものだと思うし、家族にもいい影響を与えていると思います。それぞれ自分で作り上げていく、という姿勢を大事にしてきました。
Q2. 製造業界・システム業界に抱いていたイメージと、今日の交流会で話を聞いて感じたことや考えが変わったことはありましたか?
<学生から出た意見の一部>
- 意外と女性が多い、と思った。ほとんど男性だと思っていた。
- 分野的に男性が多いイメージがあった。それに付随して理系のイメージがあった。分野にとらわれずに会社をみることが大事だなと思った。
- 分野を問わず、コミュニケーション能力が大事なんだと思った。
Q3. 皆さんはどこで働きたいですか?その理由は?
<学生から出た意見の一部>
- 場所は希望なく、自分のやりたいことがその企業にあるならそこに行きたい。
Co:県外県内は関係なく、それぞれ魅力を感じた企業にいきたい、という意見が多くでました。女性はライフステージも関わってくると思いますが、中村さんのお考えをお聞かせいただけますか?
中村さん:国内外いろんなところで働きましたが、子育て中は特に愛知県がオススメです。私の場合は、海外出張で1週間くらい家を空けることがあるので、新幹線の駅や空港が近いことに加えて、実家が近いのもありがたいです。あと保育園に入りやすいかどうかはとても重要です。
Co:これから、皆さんの選択肢はどんどん広がっていきます。選択肢に迷ったとき、「愛知県で働く」こともひとつの軸になればと思います。
第2部の交流タイムはここで終了です。
最後に、本日のゲスト7名全員にお伺いします。
「県内で働いていて良かったことや、学生へのエール」をお願いします。
加藤さん:プライベートで友人と遊べたり、慣れた土地で過ごせるのはいいですね。
片岡さん:私も愛知県出身で、愛知県で働いています。社会人になると慣れない生活が始まるので、住み慣れた土地だと、仕事に向き合う余裕につながるのかな、と感じています。弊社(小林クリエイト)は他県にも事業所があるので、将来的にいろいろなキャリアプランを描けますよ。
渡邉さん:帰宅して「お腹が空いた」と言ったらごはんが出てくるのはありがたいです(笑)。相談者が身近にいる、という意味で実家が近いのは魅力です。クライアント訪問する際も、住み慣れた場所は土地勘もあり移動もラク。
林さん:私は子供の頃、父の仕事の都合で日本各地を転々としていたので、長く住んだ愛知で絶対働きたい、という思いがありました。就職先は地元で、という人は名古屋本社の弊社(システムリサーチ)へどうぞ。文系でもSEで働けますし、ぜひ検討してください。
吉﨑さん:卒業後の進路を考えるときは、価値観や興味関心など自己分析をしっかりしてみてください。あと、頭で考えるより体を動かしてみると道が拓けることもあるので挑戦する気持ちを大切に!
中村さん:「何が好きでどういう人がカッコいいと思うか」などアンテナを張ってみると、就活への大きな一歩になると思います。‘いい会社’は人によって違うので、自分の軸を持って就活に取り組んでください。
山田さん:学生さんの就活では、まず大企業や公務員に目が行くと思うので、中小企業という選択肢もあるということを今日は知ってもらえて良かったです。弊社(山田製作所)は海外に取引先も多いので、興味を持っていただけたら嬉しいです。
最後に、吉田教授より「今日は椙山OGの方にも来ていただき、身近な先輩たちの活躍の声を聞けました。就職先として、業界や業種の選択肢を増やす機会になったのではないでしょうか。今日の話を自分で咀嚼して、「自分ごと化」してくれることを期待します。」とメッセージをいただきました。
〜ご参加ありがとうございました〜