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トコジラミについて
トコジラミに注意してください
トコジラミに関する相談件数が増えているとの報道がなされており、国内における被害の拡大が懸念されています 。
トコジラミは、寝具や家具の隙間や、カーテンの裏などに潜り込み、夜間の就寝中に体にとりついて吸血することで、強いかゆみが生じる被害が発生します。
トコジラミとは
- 成虫の体長は5~8mm、赤褐色で、翅がなく、扁平な形をしています。
- 幼虫から成虫まで雌雄共に全てが吸血します。
- セミやカメムシなどと同じカメムシ目というグループに属し、触れるとカメムシ類と同じように悪臭を出します。
トコジラミの生態・習性
- 昼間はベッド、壁、柱、天井、戸棚、椅子、机などの木の割れ目や隙間、節穴などに潜み、夜間にはい出てきて吸血します。
- 体重の3~6倍もの血液を摂取し、元の潜伏場所へ帰りますが、太くなって狭い隙間から奥の方へ侵入できず、その入口附近でその水分の大部分を糞(血糞)として排出します。このため、多数個体が潜伏している家具や壁に黒褐色の多数の点々が見らます。
- 卵は潜伏場所の周辺部にかためて産み付けられます。成虫は1日に1~5個の卵を2か月以上にわたり産み続けるので、その合計は200~500個にも達します。卵は1週間で孵化し、幼虫は約4週間のうち5回脱皮し成虫になります。
- ふ化した後の卵殻や幼虫の脱皮殻はそのまま残り、トコジラミが潜伏場所から出入りするときに穴の外へ押しだされます。
トコジラミによる被害
- 刺されている時には痛みや痒みを感じることがほとんどありませんが、吸血される際に体内に唾液が注入され、それに対するアレルギー反応により皮疹や痒みが生じます。
- 吸血時間が蚊などに比べて長く、大量の血液を吸います。その間に刺す場所を変える場合もありますので、刺し口が数か所並んで見られることがあります。
- 首すじや手などの露出した部分から吸血することが多いです。
- 被害の起こる時期は大体6月から9月頃ですが、暖房されていれば冬でも活動しますので、ホテルなどでは1年中被害が発生することになります。
他の屋内性の吸血昆虫やダニによる被害との違い
- 蚊:トコジラミと同じように肌の露出部分を刺されますが、通常、刺し口が何か所も集中して見られることはありません。
- ノミ:肌の露出部分、衣類の中など関係なく刺されます。半ズボンやスカートを履いて立っていたり、歩いたりして受ける被害は膝から下に集中する傾向があります。また、昼間でも被害を受けます。
- イエダニ、ツメダニ:これらによる被害は昼間でも発生します。衣類に覆われた脇の下や脇腹など皮膚の柔らかい場所を刺されることが多いようです。
- アタマジラミ、コロモジラミ、 ケジラミ:アタマジラミは頭皮、コロモジラミは衣類の中、ケジラミは陰毛や腋毛に覆われた部分が被害を受けます。これらの吸血場所をよく探せば見つけることができます。
- シバンムシアリガタバチ:一見小さなアリに見えます。被害は昼夜関係なく発生し、衣類に覆われた部分が刺されることが多いようです。刺された瞬間にチクッとした痛みを感じます。
対応策
- 的確に潜み場所を把握できるかが重要なポイントとなります。
- 駆除方法には殺虫剤、熱風や高温の蒸気、掃除機による吸引などがありますが、家庭用としてホームセンターなどで販売されているピレスロイド系の薬剤に強い抵抗性をもっている虫体も見つかっており、個人で確実に駆除することは困難です。
- 生息しやすい場所に血糞があったり、トコジラミを見つけた場合は、被害が拡大しないうちに専門の防除業者への依頼を検討しましょう。
自宅に持ち込まないために
- 宿泊施設などに泊まる際やレジャー施設、入浴施設を利用する際は、トコジラミが生息していないか注意しましょう。ベッドやソファなどに糞による染みなどがないか確認します。
- 宿泊先などでは、荷物を床などに直接置かないようにしましょう。衣類もハンガーなどにかけ、壁面などに触れないようにしておきましよう。
- 中古家具やレンタル家具などとともに持ち込まれることもありますので、購入の際は、生息の痕跡がないか調べましよう。
相談先
トコジラミについては、最寄りの保健所又は公益社団法人愛知県ペストコントロール協会へご相談ください。
なお、県ではトコジラミの駆除は行っておりません。
旅館業の営業者の方へ
トコジラミは、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第304号。以下「則」という。)第4条の4に規定する防除の対象であり、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和45年法律第20号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する特定建築物に該当する旅館業の営業者は、則第4条の5に基づく措置を講じなければならないとされています。
また、旅館業の営業者は、旅館業法(昭和23年法律第138号)第4条第1項の規定により、宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならないとされています。
旅館・ホテルのための害虫対策の手引書 [PDFファイル/2.22MB]
1 特定建築物に該当する場合における対応
法第2条第1項に規定する特定建築物(延べ床面積3,000平方メートル以上の旅館が該当します。以下同じ。)に該当する場合は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令(昭和45年政令第304号。以下「令」という。)第2条に規定する基準に従って維持管理をしなければならないとされており、当該基準の一つのうち、則第4条の5第1項の規定に基づき、日常清掃及び6月以内ごとに1回の大掃除を行うこととされているほか、同条第2項の規定に基づきトコジラミの防除を行う必要があり、加えて旅館業法第4条第1項の規定に基づき宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならないこととされています。
2 特定建築物に該当しない場合における対応
特定建築物に該当しない場合であっても、多数の者が使用し、又は利用する旅館業の施設の場合には、法第4条第3項に基づき、上記1と同様の措置を講ずるよう努めなければならないほか、旅館業法第4条第1項の規定に基づき宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならないこととされています。
なお、清掃作業を外部の事業者に委託している場合において、日常清掃又は大掃除の際にトコジラミを発見したとき、当該事業者ではトコジラミの防除ができない可能性がありますので、そうした場合にはトコジラミに関する専門的知見を有するペストコントロール事業者の活用を検討してください。
<引用・参考文献>
- ねずみ衛生害虫駆除ハンドブック((財)日本環境衛生センター)
- 原色図鑑 改訂・衛生害虫と衣食住の害虫(全国農村教育協会)
- ブックレット「トコジラミ(ナンキンムシ)に気をつけましょう!」(トコジラミの効果的な防除法並びに調査法の開発に関する研究 H25厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究)
- 平成26年度生活衛生関係技術担当者研修会資料(厚生労働省)
<画像出典>
公益社団法人日本ペストコントロール協会