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あいちの農産物(果物)
みかん
一般に、みかんと呼ばれるものは、「温州みかん」のことです。原産地は鹿児島県と言われていますが、中国のみかんの名産地である温州の名を付けたと考えられています。鹿児島県で生まれた温州みかんは明治時代になって、全国的に栽培されるようになりました。
みかんはカロチンとビタミンCの宝庫で、3個食べれば一日のビタミンC必要量を摂取できると言われています。カロチンは、体内でビタミンAとして働く黄色い色素で、みかんにはトマトの約2倍含まれています。
愛知県には、初夏から秋に販売されるハウス栽培のみかんと、露地栽培で11月から販売される「宮川早生」や、1月から販売される「青島温州」があります。また、糖度を上げるために、木の下に水の吸収を抑えるシートを敷いて栽培する、マルチ栽培みかんもあります。健康のため、一日2個のみかんを食べましょう。
- 旬のころ
11月下旬~翌年1月 - 主な産地
蒲郡市、東海市、南知多町、美浜町 - 結果樹面積
1,070ha(全国9位) - 収穫量
24,200t(全国7位) - 産出額
81億円(全国7位)
(出典:令和4年産果樹生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)
ハウスみかん
ハウスみかんは初夏から秋にかけて店頭に出まわり、夏の果物として定着しています。
本来、みかんは秋から冬に収穫されますが、ハウス内で暖房しながら育てることで初夏から収穫できます。
愛知県では、昭和44年に全国に先駆けて栽培が始まりました。蒲郡市の「蒲郡温室みかん」、美浜町の「みはまっこ」などは、全国に名の通ったブランドになっています。
ハウスみかんは、露地で栽培されたみかんに比べて、果皮が薄く、果肉が軟らかく、その上、糖度が高く、酸味と甘味のバランスも絶妙です。
暑い夏、ビタミン豊富で食味さわやかなハウスみかんで喉を潤してはいかがですか。
- 本県の出荷の多い時期
6月~9月 - 主な産地
蒲郡市、田原市、美浜町 - 結果樹面積
80ha(全国2位) - 収穫量
4,160t(全国2位)
(出典:令和4年産果樹生産出荷統計)
かき
秋を代表する果物・かきは、古くから栽培されており、「古事記」や「万葉集」などにも登場します。また、ヨーロッパを始め多くの国でも「KAKI」の呼び名で通っています。
かきには、酸味はありませんが、甘みにコクがあり、ビタミンCをみかんの2倍も含み、カロチン、食物繊維、カリウム、タンニンなども豊富に含んでいます。このため、健康食品として、風邪や生活習慣病の予防や、二日酔いに効果があるとも言われています。
愛知県の主な主産地は豊橋市です。中心となる品種は「次郎柿」で、コクのある甘みと歯ごたえが特徴です。このかきは、新城市や豊川市でも栽培されています。また、幸田町では、形が筆の穂に似ていることから、その名がついた「筆柿」が栽培され、町の特産となっています。
秋の味覚、かきを食べてみてはいかがですか。
- 旬のころ
9月~10月(筆柿)、10月~11月(次郎柿) - 主な産地
豊橋市、幸田町、新城市 - 結果樹面積
959ha(全国5位) - 収穫量
15,200t(全国5位) - 産出額
26億円(全国6位)
(出典:令和4年産果樹生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)
なし
なしは、万葉集に詠まれたり、日本書紀に栽培のすすめが載るなど、栽培の歴史は古く、日本人にはなじみの深い果物です。愛知県のなしの栽培は明治初期に始まったとされています。現在、安城市、豊橋市、豊田市などで栽培され、愛知が誇る果物の一つとなっています。果肉には、みずみずしく甘い果汁がたっぷり含まれており、シャリッとした歯ざわりが好まれています。品種は、甘い「幸水(こうすい)」をはじめ、甘味と酸味がほどよい「豊水(ほうすい)」、大きくて貯蔵性がある「新高(にいたか)」、日本一大きくてジャンボなしの愛称で親しまれる「愛宕(あたご)」などが栽培されています。産地では、光センサーを利用して果実をそのままの状態で糖度や色を検査し、おいしいなしを皆さんにお届けします。
2022年からは、甘くて瑞々しい「あいみずき」(品種名:瑞月(ずいげつ))の出荷が始まりました。
- 旬のころ
8月(幸水)、8月~9月(豊水)、9月~10月(新高)、11月~12月(愛宕) - 主な産地
豊橋市、安城市、豊田市、西尾市、みよし市、幸田町
【日本なし】 - 結果樹面積
299ha(全国10位) - 収穫量
4,960t(全国12位) - 産出額
15億円(全国15位)
(出典:令和4年産果樹生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)
もも
ももは、中国が原産地であると言われていますが、昔話「桃太郎」にあるように日本では古くから親しまれている果物です。現在栽培されているももは、明治時代に欧米や中国から入ったものが品種改良されたものです。「白桃(はくとう)」などなじみがある品種は、大正時代から広く栽培され始めました。一口にももと言っても、6月中旬に収穫されるものから、9月中旬に収穫されるものまで様々な品種があります。
愛知県では、「白鳳(はくほう)」が最も多く栽培されており、7月中旬から下旬にかけて販売されています。ももの良し悪しの見分け方は、果実の中で最も難しいと言われていますが、全面が鮮やかな赤色をしているものが良いとされています。
多くのビタミン類を含む果物の中でも、特にももはビタミンEを多く含んでいます。
新鮮な愛知のももをデザートにいかがですか。
- 旬のころ
6月下旬~8月 - 主な産地
豊田市、小牧市、春日井市、豊橋市 - 結果樹面積
185ha(全国8位) - 収穫量
1,620t(全国7位) - 産出額
9億円(全国8位)
(出典:令和2年産果樹生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)
ぶどう
夏になり、店頭に多く出まわる果物の一つがぶどうです。愛知県はぶどうの栽培が盛んで、なかでも大粒で紫黒色の品種「巨峰(きょほう)」は生産量全国4位です。巨峰の種なし技術を確立したのは愛知県が全国で最初と言われています。
店頭で選ぶ時は、果軸が太く青みがあり、粒の表面に白い粉をふいているものが新鮮です。白い粉は粒を守る物質です。一般的に果皮の色が濃いほど熟しています。
近年は、透きとおるような薄緑の「シャインマスカット」、鮮やかな紅色の「クイーンニーナ」といった色とりどりのぶどうも栽培されています。味覚だけでなく私たちの目も楽しませてくれます。
ところで、フランスの人々に心臓病が少ないのは、たくさん飲む赤ワインに含まれるポリフェノールという物質の効果であると言われています。ぶどうにはこのほかに即効性のある栄養源のブドウ糖やミネラルが豊富に含まれています。
食卓に色とりどりのぶどうを添え、暑い時季を元気に楽しく過ごしてください。
- 本県の出荷の多い時期
6月~7月(ハウス栽培)、8月~9月(露地栽培) - 主な産地
東浦町、大府市、東海市、岡崎市、豊橋市
*各地に直売所や観光ぶどう狩り園があります。 - 結果樹面積
401ha(全国7位) - 収穫量
3,390t(全国8位) - 産出額
32億円(全国10位)
(出典:令和4年産果樹生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)
いちじく
いちじくは聖書にも話が出てくるように、古くから人々に親しまれている果物です。
愛知県内でいちじく栽培が本格化したのは昭和40年代に入ってからで、現在では安城市や碧南市を始め県内各地で栽培され、日本一のいちじく産地となっています。昔は、イボを取ったり、虫下しや便秘の薬にも使われていました。甘くて独特のうま味のあるいちじくは、食物繊維を始めビタミン類やカルシウム、鉄分などのミネラルを多く含み、美容と健康に良いと言われています。また、いちじくを使ったジャムやジュースも開発されています。
暑い日に冷蔵庫でよく冷やして食べるいちじくは格別です。美容と健康に、お召し上がりください。
- 本県の出荷の多い時期
5月~7月(ハウス)、8月~10月(露地) - 主な産地
安城市、常滑市、豊田市、碧南市、稲沢市、西尾市、豊川市 - 栽培面積
116ha(全国1位) - 収穫量
1,698(全国2位) - 産出額
13億円(全国2位)
(出典:令和3年度特産果樹生産動態等調査、令和4年生産農業所得統計)
ぎんなん
特有な香りとほろ苦い風味が特徴の秋の味覚・ぎんなんは、愛知の特産品のひとつで出荷量は日本一です。
ぎんなんが実るイチョウは、古くから神社や寺院に植えられたり、街路樹としても親しまれています。本県では稲沢市(祖父江)一帯で古くから栽培されていて、ぎんなん生産の中心となっています。市内には樹齢100年を超える大木があちこちにあり、晩秋となると黄金色に染まった素晴らしい風景が一望できます。
ぎんなんは、タンパク質やカロチンを豊富に含み、栄養価も高く、せき止め、疲労回復などに効果があるといわれています。茶わん蒸しをはじめ、おこわ、油で炒るなどいろいろな食べ方がありますが、地元では、まんじゅう、もち、こんにゃくなどの加工品もあり、名産品として親しまれています。
- 旬のころ
9月~11月 - 主な産地
稲沢市 - 栽培面積
61ha(全国2位) - 収穫量
280t(全国2位) - 産出額
2億円(全国2位)
(出典:令和3年産特産果樹生産動態等調査、令和4年生産農業所得統計)
いちご
ケーキの彩りに欠かせないのが、真っ赤ないちごです。愛知県のいちご栽培は、明治時代に始まりました。今では、ビニールハウスなどを利用して、夏場を除きほぼ一年中、生産・出荷されています。
いちごの品種は、10年ぐらいのサイクルで移り変わっています。県内では、食味のよい「とちおとめ」「章姫(あきひめ)」「紅ほっぺ」などが栽培されています。また、愛知県では平成17年に「ゆめのか」(下写真)を育成し、県内で約23ha栽培されています。また、令和2年に新品種「愛経4号」(商標名「愛きらり®」)を育成し、品種登録出願中です。
※愛知の新品種「愛経4号」(商標名「愛きらり®」)について [PDFファイル/187KB]
さて、いちごの赤い部分は、果実のようですが、そうではありません。外側に着いている種のようなつぶつぶが果実。赤い部分は「花托(かたく)」といって、果実を保護するベッドの役割をするものです。
風邪の予防や美肌などに効果のあるビタミンCは、いちご5粒で一日に必要な量をまかなうことが出来ます。かつて、酸っぱいいちごが主流だったころ、コンデンスミルクをかけて食べていましたが、今の品種では完熟したものならそれだけで十分甘く、おいしくいただけます。もし何かかけるならプレーンヨーグルトがおすすめです。乳酸菌の働きとビタミンの効果という点で理にかなっています。
いちごは水気を嫌いますので、洗ったりへたを取ったりせず、ラップをかけて冷蔵庫へ入れてください。そして、早めに赤く輝く宝石のようないちごのおいしさを味わってください。
- 本県の出荷の多い時期
12月~翌年5月 - 主な産地
愛西市、豊橋市、西尾市、豊川市、蒲郡市、岡崎市、幸田町 - 作付面積
251ha(全国6位) - 収穫量
10,600t(全国4位) - 産出額
104億円(全国6位)
(出典:令和4年産野菜生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)
メロン
愛知県でのメロン栽培の歴史は古く、明治時代には尾張地域を中心にマクワウリの産地が形成されており、東三河地域では温室メロンの試作が始まっていました。その後、施設園芸の普及とともに栽培が拡大し、現在では東三河地域を中心に大産地が形成され全国第6位の生産量を誇っています。
温室メロンの代表であるマスクメロンは果物の王様と呼ばれ、徹底した栽培管理のもと1株に1果のみ結実させて育てます。このうち「渥美アールス」は、現在ではほとんど栽培されていませんが、渥美地方の農家が昭和初期から保存していた系統で、「あいちの伝統野菜」に選定されています。また、露地メロンも消費者に好まれるジューシーな品種が生産されています。
愛知県のメロンは、夏場に出荷のピークを迎えます。歴史と技術に培われたおいしいメロンを食後のデザートにいかがですか。
- 本県の出荷の多い時期
6月~8月 - 主な産地
田原市、豊川市、豊橋市 - 作付面積
371ha(全国6位) - 収穫量
9,870t(全国4位) - 産出額
36億円(全国6位)
(出典:令和4年産野菜生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)
すいか
原産地がはるか遠いアフリカのカラハリ砂漠と言われるすいかですが、渡来は安土桃山時代までさかのぼり、古くから日本人のなじみの果物です。西瓜と書きますが、西域からきた瓜と言うことで、中国でもこう書きます。
すいかを割ると、鮮やかな赤色が目に飛び込んできます。この赤色は主としてリコピンで、ほかにカリウムやカロチンを含みます。
すいかというと真夏の食べ物とのイメージがありますが、愛知県では5月から収穫が始まります。
- 本県の出荷の多い時期
5月~7月 - 主な産地
田原市、豊橋市、刈谷市 - 作付面積
393ha(全国5位) - 収穫量
16,800t(全国6位) - 産出額
28億円(全国7位)
(出典:令和4年産野菜生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)