本文
あいちの農産物(野菜:土もの)
たまねぎ
一年中出まわっているたまねぎですが、愛知県産は4月~7月に出荷されます。特徴的なのは、収穫したあと天日で干して、すぐ出荷する新たまねぎだということです。他産地は貯蔵して通年で出荷します。
たまねぎは、ネギ科の二年草ですが、一年目に球形の鱗茎(りんけい)を作るので、それを食用にします。これは葉の下の葉鞘(ようしょう)と呼ばれるところが太ったもので、私たちは葉を食べているわけです。二年目には花が咲いて種子がとれます。
さて、たまねぎを切るとなぜ涙が出るのでしょうか。辛味成分が、ある酵素に触れて分解され蒸発しやすい涙を誘う物質に変わり、これが目や鼻の粘膜を刺激するからです。
涙が出るのを防ぐには、よく切れる包丁を使うことです。細胞をあまりつぶさなければ、涙を誘う物質の生成が抑えられるからです。また、温度が低ければこの物質が蒸発しにくくなるので、調理前によく冷やしておくのも一つの方法です。
愛知県産が店頭に出るころ、新たまねぎと貯蔵たまねぎが並んで売られています。水分をたっぷり含んだ新たまねぎを選び、素材の持ち味を生かし、スライスして食べましょう。サッと水にさらして、かつお節をかけるだけ。
知多半島では、ペコロスと呼ばれる密植栽培で作られる小たまねぎの生産も盛んです。英語では、ペティ・オニオンと言い、直訳では小さなたまねぎとなります。ペコロスと呼ばれる由来は確かではありませんが、大正時代から昭和初期に日本に伝来したとき、西欧でそう呼ばれていたからとの説が有力です。
軟らかい肉質と甘味があるのが特徴で、シチューやカレーに利用するほか、最近ではサラダなどにも使われます。
- 本県の出荷の多い時期
4月~7月 - 主な産地
碧南市、東海市、豊橋市、知多市、南知多町、大府市 - 作付面積
475ha(全国5位) - 収穫量
25,000t(全国5位) - 産出額
42億円(全国5位)
(出典:令和4年産野菜生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)
さといも
稲の渡来より古いと言われ、縄文時代から続く伝統野菜です。
正月や十五夜に供える縁起物の食品です。里芋と呼ばれるのは、山芋に対し、里で作る芋として里芋と呼ばれるようになりました。
愛知の伝統野菜である「八名丸さといも」は、八名郡八名村(現在の新城市)で昭和20年頃に生まれたと言われています。形は子いも、孫いもとも丸く、食味はやわらかで、粘りが強く、煮物に向きます。愛知東農業協同組合が「八名丸」という商標を登録しており、地域特産物として人気です。
- 本県の出荷の多い時期
10月~12月 - 主な産地
岡崎市、常滑市、新城市、刈谷市、南知多町、津島市 - 作付面積
280ha(全国11位) - 収穫量
4,170t(全国10位) - 産出額
8億円(全国10位)
(出典:令和4年産野菜生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)
れんこん
愛知県のれんこんは、木曽川の低湿地に位置する愛西市で栽培されている露地栽培とハウス栽培とを組み合わせて、ほぼ一年中出荷しています。
また、愛知県では泥の付いた状態で出荷し、変色を防ぎ新鮮さを保つ工夫をしています。
その生産の歴史は古く、木曽川下流の土質が栽培に適していたことから、江戸時代には海部地域で生産されていました。
れんこんは、蓮の地下茎が肥大したもので、通気孔の役割を果たす穴が9~10個開いていることにちなんで、昔から「見通しがきく」縁起物として、おせち料理など慶事(めでたい行事)に欠かせない野菜として使われています。また、ビタミンC、食物繊維、カリウムを多く含んでいるため、老廃物の排出を助け、胃腸の炎症をやわらげてくれる働きがあると言われています。
- 本県の出荷の多い時期
(露地)9月~翌年1月(ハウス)6月~8月中旬 - 主な産地
愛西市 - 作付面積
217ha(全国4位) - 収穫量
2,760t(全国4位) - 産出額
8億円(全国5位)
(出典:令和4年産野菜生産出荷統計、令和4年生産農業所得統計)