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下水道と水環境
川や海の水質状況
川や海の水質については、水質汚濁の代表的な指標であるBOD、COD、全窒素、全リンなどの環境基準が定められています。
河川の環境基準の達成率(BOD)は、下図のとおりとなっています。(愛知県環境局調べ)
下水道の整備が進むにつれて河川の水質は改善されています。
外海と水の交換がされにくい閉鎖性水域である伊勢湾や三河湾は、水質改善が進みにくい特徴があります。
海域の環境基準の達成率(COD、全窒素、全リン)は、下図のとおりとなっています。(愛知県環境局調べ)
長期的な推移をみるとCODは概ね横ばい、全窒素及び全リンは改善傾向となっています。
用語解説
- BOD(生物化学的酸素要求量)
水中の汚濁物質(主として有機物)が微生物によって酸化分解されるときに必要とされる酸素量で、河川の汚濁を表す代表的指標です。値が大きいほど汚濁の度合いが著しいことを表します。 - COD(科学的酸素要求量)
水中の汚濁物質(主として有機物)を酸化剤で科学的に酸化するときに消費される酸素量で、海域や湖沼の汚濁を表す代表的指標です。値が大きいほど汚濁の度合いが著しいことを表します。 - 全窒素
水中の栄養塩類として閉鎖性水域の富栄養化の原因となる物質の一つです。生活排水、工場排水などにより供給され、過剰な栄養塩類は、藻類などの植物プランクトンの著しい増殖による赤潮やアオコ、苦潮(青潮)の発生の原因となります。 - 全リン
窒素とともに、水中の栄養塩類として閉鎖性水域の富栄養化の原因となる物質の一つです。生活排水、工場排水などにより供給され、過剰な栄養塩類は、藻類などの植物プランクトンの著しい増殖による赤潮やアオコ、苦潮(青潮)の発生の原因となります。 - 下水道普及率(下水道処理人口普及率)
行政人口に対して、下水道を利用できる人口の割合を示す指標であり、以下の式で計算されます。
下水道普及率(下水道処理人口普及率)(%)=下水道処理区域内人口/行政人口(住民基本台帳人口)×100
身近な水環境の回復事例
流域下水道の整備により身近な水環境が回復した事例を紹介します。
下表の地点名をクリックすると、関連の建設事務所のページに移動します。
流域下水道 | 河川 | 地点 |
---|---|---|
境川 | 猿渡川 | 三ツ又橋 |
衣浦西部 | 阿久比川 | 半田大橋 |
十ヶ川 | 新橋 | |
衣浦東部 | 稗田川 | 稗田橋 |
豊川 | 佐奈川 | 柳橋 |
白川 | 新白川橋 | |
音羽川 | 剣橋 | |
江川 | 東海道線下 | |
五条川左岸 | 五条川 | 待合橋 |
日光川上流 | 日光川 | 大正橋 |
五条川右岸 | 五条川 | 伝法寺橋 |
川や海の汚れの原因
川や海などの水の汚れの原因としては、工場などからの産業排水や畜産などからの排水のほかに、台所や風呂・トイレなど日常生活の営みから出される生活排水があります。
伊勢湾や三河湾は外海と水の交換がされにくい閉鎖性水域となっており、汚濁負荷流入による水質の悪化やそれにともなう赤潮、苦潮(青潮)の発生は、1980年頃をピークに減少傾向にありますが、依然として発生しています。
汚濁負荷量の削減を図るためには、工場・事業場排水はもとより、汚濁負荷割合の大きい生活排水を適正かつ効率的に処理することが必要です。
三河湾に発生した赤潮の様子(愛知県水産試験場提供)
家庭排水が水路に流される様子 家庭排水
生活排水の汚れの程度
普段の生活の中でなにげなく流しているものが、川や海をこんなに汚しています。
これを流すと・・・ | 水がこれだけ汚れる BOD(g) |
魚がすめる水質まで 薄めるのに必要な水の量 |
---|---|---|
天ぷら油 使用済み(20ml) | 30 | 浴槽 20杯分 |
マヨネーズ 大さじ1杯(15ml) | 20 | 浴槽 13杯分 |
牛乳 コップ1杯(200ml) | 16 | 浴槽 11杯分 |
ビール コップ1杯(180ml) | 15 | 浴槽 10杯分 |
みそ汁(じゃがいも) お椀1杯(180ml) | 7 | 浴槽 4.7杯分 |
米のとぎ汁(1回目) (500ml) | 6 | 浴槽 4杯分 |
煮物汁(肉じゃが) 鉢(100ml) | 5 | 浴槽 3.3杯分 |
中濃ソース 大さじ1杯(15ml) | 2 | 浴槽 1.3杯分 |
シャンプー 1回分(4.5ml) | 1 | 浴槽 0.67杯分 |
台所用洗剤 1回分(4.5ml) | 1 | 浴槽 0.67杯分 |
各家庭でできること
川や海を汚さないために、各家庭でできることについては日本下水道協会の下記WEBページを参考にしてください。
・下水道の使いかた(日本下水道協会WEBサイト)