本文
平成11年度ダイオキシン類調査結果
愛知県は、環境中のダイオキシン類濃度の実態把握を行うため、従前から大気環境、水環境の調査を実施してきており、平成11年度にはこれらに土壌環境を加えて調査した。
調査結果は次のとおりである。
調査結果は次のとおりである。
- 大気環境については、年間を通じて小牧市、安城市、豊川市の3地点で調査を実施したところ、それらの平均値は、0.52、0.61、0.44 pg-TEQ/m3であり、安城市で環境基準(年間平均値0.6 pg-TEQ/m3以下)を上回っていた。
なお、秋・冬2回のみ調査した半田市の平均値は1.3 pg-TEQ/m3であった。 - 水環境については、海域の伊勢湾、衣浦湾、渥美湾の3地点で調査を実施したところ、水質については0.22、0.23、0.22 pg-TEQ/Lであり、すべての地点において環境基準(年間平均値1pg-TEQ/L以下)を下回っていた。
底質については7.4、9.2、16 pg-TEQ/gであり、魚類については1.6、1.2、1.4 pg-TEQ/gであり、いずれも国が平成10年度に全国を対象に実施した調査結果の範囲内であった。 - 土壌環境については、小牧市、安城市、豊川市の3地点で調査を実施したところ、0.051、0.86、2.2 pg-TEQ/gであり、すべての地点において環境基準(1,000pg-TEQ/g以下)を下回っていた。
- ダイオキシン類の環境汚染の実態等を的確に把握するため、今後とも環境監視を充実し、知見の集積に努めていく。
また、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、工場・事業場の規制指導の強化に努め、ダイオキシン類のより一層の排出の低減を図っていく。
第1 大気環境調査
平成9年9月に環境庁から大気環境指針(年間平均値0.8 pg-TEQ/m3以下)が示されたことを受けて、ダイオキシン類について県内の一般大気環境中の実態を把握するため、平成9年度冬季から県内3地点で、また、平成11年秋季から発生源周辺の1地点を追加して、計4地点で調査を実施しているが、平成11年度の結果は次のとおりである。
1 調査の概要
(1)調査地点
一般環境地域として尾張地域(名古屋市を除く。)の小牧市、西三河地域の安城市、東三河地域の豊川市の3地点を、発生源周辺地域として衣浦地域の半田市の1地点を、それぞれ調査地点とした。
それらを表1及び図1に示す。
それらを表1及び図1に示す。
調査地域 | 調査地点 | 所在地 |
---|---|---|
一般環境 | 小牧大気汚染測定所 (小牧高校内) | 小牧市小牧一丁目321 |
安城大気汚染測定所 (安城農林高校内) | 安城市池浦町茶筅木1 | |
豊川大気汚染測定所 (豊川市役所内) | 豊川市金屋西町3-11 | |
発生源周辺 | 半田大気汚染測定所 (衣浦排水機場) | 半田市亀崎町1-141 |
(2)調査時期
- 春季:平成11年 5月25日(火)午前10時から24時間連続、試料採取
夏季: 〃 8月24日(火) 〃
秋季: 〃 11月24日(水) 〃
冬季:平成12年 1月13日(木) 〃
(3)調査方法
大気試料の採取、分析法及び測定値の表示は環境庁の定める「有害大気汚染物質測定方法マニュアル(平成11年3月)」によった。
2 大気環境調査の結果のまとめ
各調査地点の調査結果は、表2のとおりである。
年間を通じて調査を実施した小牧市等の3地点の平均値はそれぞれ、小牧市0.52 pg-TEQ/m3、安城市0.61 pg-TEQ/m3、豊川市0.44 pg-TEQ/m3であり、これらを平成12年1月から適用されたダイオキシン類の大気環境基準(年間平均値0.6 pg-TEQ/m3以下)と比較すると、小牧市と豊川市ではこれを下回り、安城市ではこれを上回っていた。
平成11年秋から調査を開始した半田市の秋・冬2回の平均値は1.3 pg-TEQ/m3であった。
調査地点 | 春季 | 夏季 | 秋季 | 冬季 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
小牧大気汚染測定所 | 0.38 | 0.46 | 0.84 | 0.41 | 0.52 |
安城大気汚染測定所 | 0.32 | 0.21 | 1.3 | 0.62 | 0.61 |
豊川大気汚染測定所 | 0.25 | 0.14 | 0.65 | 0.70 | 0.44 |
半田大気汚染測定所 | - | - | 1.2 | 1.3 | 1.3 |
第2 水環境調査
1 調査の概要
(1)調査地点
海域の伊勢湾、衣浦湾及び渥美湾の3湾を調査水域とし、それぞれの調査地点を表3及び図1に示す。
調査水域 | 調査地点 | |
---|---|---|
水質及び底質 | 魚類 | |
伊勢湾 | 北緯34度53分12秒、 東経136度45分00秒 | 左記の近傍 |
衣浦湾 | 北緯34度46分00秒、 東経136度58分24秒 | 左記の近傍 |
渥美湾 | 北緯34度43分00秒、 東経137度06分45秒 | 左記の近傍 |
(2)調査方法
水環境試料の採取、分析法及び測定値の表示等は環境庁が定めたマニュアル等によった。
(3)試料の採取方法等
水質、底質は平成11年8月3日から8月10日にかけて採取し、魚類(ボラ)については平成11年8月6日から8月11日にかけて採取し、その可食部を試料とした。
2 水質調査の結果のまとめ
各調査地点ごとの調査結果は、表4のとおりである。
水質については0.22から0.23 pg-TEQ/Lの範囲であり、すべての地点において環境基準(年間平均値1 pg-TEQ/L以下)を下回っていた。
底質については7.4~16 pg-TEQ/gの、魚類については1.2~1.6 pg-TEQ/gの範囲であり、いずれも国が平成10年度に全国を対象に実施した調査結果の範囲内であった。
調査媒体 (単位) | 伊勢湾 | 衣浦湾 | 渥美湾 | 備考 |
---|---|---|---|---|
水質 (pg-TEQ/L) | 0.22 | 0.23 | 0.22 | 環境基準 年間平均値1 pg-TEQ/L以下 |
底質 (pg-TEQ/g) | 7.4 | 9.2 | 16 | 国の調査結果 0.10~260 pg-TEQ/g |
魚類 (pg-TEQ/g) | 1.6 | 1.2 | 1.4 | 国の調査結果 0.048~30 pg-TEQ/g |
第3 土壌環境調査
1 調査の概要
(1)調査地点
大気環境調査地点の近傍の3地点を調査地点とし、それらを表5及び図1に示す。
調査地域 | 調査地点 |
---|---|
尾張地域 | 小牧大気汚染測定所の近傍 |
西三河地域 | 安城大気汚染測定所の近傍 |
東三河地域 | 豊川大気汚染測定所の近傍 |
(2)調査方法
土壌試料の採取、分析法及び測定値の表示は環境庁が定めたマニュアル等によった。
(3)試料の採取方法等
試料採取は、大気汚染測定所の近傍(概ね半径1,000mの範囲)の5か所で行い、各調査か所において5地点混合法により試料を採取し、等量混合して代表試料とした。試料採取は、小牧市及び安城市については平成11年8月24日に、豊川市については平成11年8月25日に行った。
2 土壌環境調査の結果のまとめ
各調査地点ごとの調査結果は、表6のとおりであり、すべての地点において環境基準(1,000pg-TEQ/g以下)を下回っていた。
調査地点 | 調査結果 |
---|---|
小牧大気汚染測定所の近傍 | 0.051 |
安城大気汚染測定所の近傍 | 0.86 |
豊川大気汚染測定所の近傍 | 2.2 |
参考
1 ダイオキシン類の構造
ダイオキシン類の構造は次のとおりである。
2 環境基準
ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第7条の規定に基づくダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染に係る環境上の条件につき人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準は、次表のとおりである。
媒体 | 基準値 |
---|---|
大気 | 0.6 pg-TEQ/m3以下 |
水質 | 1 pg-TEQ/L以下 |
土壌 | 1,000 pg-TEQ/g以下 |
(備考)
- 基準値は、2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの毒性に換算した値とする。
- 大気及び水質の基準値は、年間平均値とする。
- 土壌にあっては、環境基準が達成されている場合であって、土壌中のダイオキシン類の量が250 pg-TEQ/g以上の場合には、必要な調査を実施することとする。
問合せ
愛知県 環境部 環境活動推進課
環境リスク対策グループ
電話:052-954-6212
E-mail: kankyokatsudo@pref.aichi.lg.jp