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中東呼吸器症候群(MERS)について
中東呼吸器症候群(MERS)について
1 中東呼吸器症候群(MERS)とは
(1)概要
- 2012年に初めて報告されたウイルス性の感染症です。
- 原因となるウイルスはMERSコロナウイルスと呼ばれています。
- 中東地域居住または渡航歴のある者、あるいはMERS患者との接触歴のある者からの患者が報告されています。
- 韓国では、2015年5月11日に輸入症例が発生し、医療従事者や家族等に二次感染が発生しました。
(2)感染経路
- 正確な感染経路は分かっていません。
- ヒトコブラクダとの濃厚接触(※)が感染リスクであると考えられています。
- ヒトからヒトへの感染も報告されていますが、季節性インフルエンザのように次々に広がっていくことはありません。
※ ヒトコブラクダとの濃厚接触
1. 鼻や口等との接触(顔を舐められる等)
2. 生のミルクや非加熱の肉などの摂取
なお、ヒトコブラクダへの騎乗のみでは、濃厚接触として取り扱いませんが、騎乗することにより、ヒトコブラクダの鼻や口等から出される分泌物と接触するおそれがありますでので、騎乗も含め接触すること自体を避けるようお願いします。
(3) 症状
- 潜伏期間は2~14日です。
- 典型的な症状は、発熱、咳、息切れです。下痢などの消化器症状を伴う場合もあります。
- 感染しても症状が現れない人や軽症の人もいます。
- 高齢者や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患がある人は重症になる傾向があります。
(4) 予防方法及び治療方法
- 現在、MERSに対するワクチンや特異的な治療法はありません。
- MERS発生地域へ渡航する場合は次のことに注意しましょう。
1. 基礎疾患がある方は、渡航前に医師に相談し、渡航の是非について検討してください。
2. 咳やくしゃみなどの症状がある人との接触は避けてください。
3. ラクダなど動物との接触や未殺菌のラクダ乳の摂取は避けてください。
4. こまめな手洗いをし、衛生対策を心掛けてください。
- 詳しくは下記ホームページを参考にしてください。
2 県民の皆様へ
MERSは、患者との濃厚接触(防護策をとらずに治療する等)がなければ、ヒトからヒトへと簡単に感染しないと考えられていますが、MERS発生地域(※)から帰国後14日以内に発熱や咳などの症状が現れた場合は、最寄りの保健所に連絡してください。
なお、症状がある間は、他者との接触を避けてください。
※ 中東地域の一部(アラブ首長国連邦、イエメン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、ヨルダン)
3 医療機関の方へ
医療機関においては、以下の対応をお願いします。
1. 発熱症状を呈する患者には14日以内の渡航歴を確認する。
2. MERSが疑われる患者を診察した場合は、最寄りの保健所に連絡してください。
MERS疑似症患者の定義
定義1又は定義2に該当する者については、MERS疑似症患者として取り扱います。
- 定義1
次のア又はイに該当する者(ただし、これらの者がMERSではなく他の疾病であることが明らかな場合を除く。)
ア 38℃以上の発熱及び咳を伴う急性呼吸器症状を呈し、かつ臨床的又は放射線学的に肺炎、ARDS等の肺病変が疑われる者であって、発症前14日以内に流行国(※1)において、MERSであることが確定した患者との接触歴があるもの又はヒトコブラクダとの濃厚接触歴(※2)があるもの
※1 流行国:中東地域の一部(アラブ首長国連邦、イエメン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、ヨルダン)
※2 ヒトコブラクダとの濃厚接触歴:ヒトコブラクダの鼻や口等との接触(ヒトコブラクダから顔を舐められるなど)や、ヒトコブラクダの生のミルクや非加熱の肉などの摂取
イ 発熱又は急性呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する者であって、発症前14 日以内にMERSであることが確定した患者を診察、看護若しくは介護していたもの、MERSであることが確定した患者と同居(当該患者が入院する病室又は病棟に滞在した場合を含む。)していたもの又はMERSであることが確定した患者の気道分泌液、体液等の汚染物質に直接触れたもの
- 定義2
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」(平成18年3月8日健感発第0308001号)の別紙に定める「医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準」における疑似症患者の定義に該当する。なお、届出基準第3の5の(4)感染が疑われる患者の要件における「WHOの公表内容から中東呼吸器症候群の初発例の発生が確認されている地域」については、「中東地域の一部」とする。
医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準(厚生労働省)