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東部丘陵線(リニモ)
東部丘陵線(リニモ)
名古屋東部丘陵地域における「あいち学術研究開発ゾーン」構想の推進、また、地域の交通ネットワークの形成促進を目的として、地下鉄1号線(東山線)と愛知環状鉄道線とを中量軌道系の交通システムで結ぶ東部丘陵線(愛称:リニモ)は、平成17年3月6日に開業しました。
リニモには、わが国で初めての実用化となる常電導磁気浮上式システムが採用されています。
東部丘陵線の必要性と導入効果
愛知県では、「創造的な産業・技術の中枢圏域」の形成に向けて、名古屋東部丘陵地域一帯を「あいち学術研究開発ゾーン」として位置づけ、学術研究開発の拠点としての整備はもとより、居住・文化・レクリエーション機能の充実など総合的な地域整備を推進しています。
この地域の交通は、自動車交通への依存度が高く、そのため、県道力石名古屋線を始め、地域の幹線道路は慢性的な渋滞に悩まされており、また、将来の地域整備に伴う交通需要の増加を考えると、この地域の基幹となる鉄軌道系の公共交通機関の整備が必要となっていました。
こうしたことから、東部丘陵線は、平成4年1月の運輸政策審議会の答申において、「2008年までに中量軌道系の交通システムとして整備することが適当である路線」として位置づけられました。
東部丘陵線には次のような役割が期待されています。
◎ 名古屋瀬戸道路等の主要幹線道路と共に広域的な交通ネットワークを形成します。
◎ 地下鉄東山線と愛知環状鉄道線を結ぶ鉄軌道網を形成し、路線周辺地域における公共交通体系の基幹となります。
◎ 自動車交通との適切な役割分担が可能な中量軌道輸送システムとして整備を図り、現在の自動車交通混雑を緩和します。
東部丘陵線の概略ルート図
東部丘陵線の概略ルート図
- 概略ルート図 [その他のファイル/1.55MB]
東部丘陵線(リニモ)の概略ルート図をPDFファイルで掲載しています。
東部丘陵線の事業経緯
平成元年~4年 | 名古屋市南区の大江実験線にて調査が実施され、「最高速度100km/h程度のシステムについては、安全性、信頼性等が確認され、実用化に対して技術的に問題ない」との結論を得る |
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平成4年1月 | 「運輸政策審議会答申第12号」において、東部丘陵線が、「中量軌道系の交通システムとして、2008年(平成20年)までに整備することが適当である路線」として位置づけられる |
平成10年4月 | 愛知県、名古屋市、瀬戸市、豊田市、長久手町等により「東部丘陵線推進協議会」設立 |
平成11年4月 | 名古屋市名東区藤が丘~豊田市八草町約8.9kmが、国において新規着工準備箇所として採択される |
平成11年7月 | 「東部丘陵線導入機種選定委員会」から、磁気浮上システムが導入機種として最適であるとの提言を受ける |
平成12年2月 | 東部丘陵線の経営主体となる「愛知高速交通株式会社」設立 |
平成13年3月 | 都市計画案、環境影響評価準備書の縦覧開始 |
平成13年10月 | 軌道法に基づく特許を取得 |
都市計画決定告示、環境影響評価書公告・縦覧 | |
平成13年12月 | 2005年日本国際博覧会基本計画において、会場への鉄道系の輸送手段として位置づけられる |
平成14年3月 | 工事施行認可、都市計画事業認可取得(26日) |
平成14年4月~ | 本格工事に着手 |
平成14年11月 | 東部丘陵線の愛称が1万2千件の応募の中から「Linimo(リニモ)」に決定(12日) |
実験車両1編成が完成し、南区の大江実験線にて走行試験開始 | |
平成15年12月 | 駅名決定(24日) |
平成16年6月 | 本線上の一部区間において試験走行開始(4日) |
平成16年10月 | 全線で試験走行を開始(30日) |
平成16年11月 | 運賃、運転度数認可申請(18日) |
平成17年1月 | 運賃認可(11日)、運行ダイヤ届出(28日) |
平成17年2月 | 運輸開始認可(25日) |
平成17年3月 | 開業(6日) |
平成24年1月 | 長久手市市制施行(4日) |
事業概要
区間 | 名古屋市名東区藤が丘~豊田市八草町 |
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延長 | 建設キロ9.15km(営業キロ8.9km) |
駅数 | 9駅 |
走行方式 | 常電導吸引式磁気浮上・リニアインダクションモーター推進方式 |
構造 | 複線、高架(一部地下) |
最高速度 | 時速100km |
運行本数 | 平日262本・259本 |
土・休日259本 | |
事業主体 | インフラ外部(車両、電気設備等)の建設・運営 - 愛知高速交通株式会社 |
インフラ部(支柱、桁等)の建設 - 愛知県・名古屋市 | |
開業 | 平成17(2005)年3月6日 |
事業費(建設時)
インフラ部 | インフラ外部 | 合計 |
---|---|---|
641億円(670億円) | 356億円(405億円) | 997億円(1,075億円) |
※ ・( )内数字は当初計画時の金額です。
・インフラ部(支柱、桁等)の建設は、公共事業(県・名古屋市)で行われています。
・インフラ外部(車両、電気設備等)の建設・運営は、第三セクター事業(愛知高速交通株式会社)で行われています。
出資金 | 無利子借入 | 有利子借入 | 合計 |
---|---|---|---|
71.2億円 (20%) |
107.2億円 (30.1%) |
177.6億円 (49.9%) |
356億円 |
出資金内訳 |
無利子借入内訳 |
有利子借入内訳 |
|||||
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地方自治体(51.85%)
36.92億円 |
民間(48.15%)
34.28億円 |
地方自治体(100%)
107.23億円 |
地方自治体(22.72%)
40.34億円 |
民間(77.28%)
137.22億円
日本政策投資銀行、
市中銀行等 |
|||
県
(30.87%)
21.98億円 |
沿線市
(20.99%)
14.94億円 |
名古屋鉄道、日本政策投資銀行、中部電力、三菱東京UFJ銀行、トヨタ自動車等
34.28億円 |
県
(59.52%)
63.82億円 |
沿線市
(40.48%)
43.41億円 |
県
(59.52%)
24.04億円 |
沿線市
(40.48%)
16.30億円 |
車両の概要
車両諸元
車両編成 | 3両固定編成、編成列車長43.3m |
---|---|
車両寸法 | 車体長14.0m(中間車は13.5m×幅2.6メートル×高さ3.45m) |
乗車定員 | 1編成244人(座席定員104人) |
車両構造 | アルミ合金製、乗降扉片側2ヵ所 |
浮上装置 | U型常電導電磁石(浮上高さ8mm) |
推進装置 | リニアインダクションモーターVVVFインバータ制御 |
運転 | ATOによる自動運転 |
デザイン
- 先頭部は、全面ガラス張りのカット形状
- 車体は白を基調としたカラーリングで、側面に「Linimo」のロゴがデザインされている
磁気浮上システムの概要
特徴
- 浮上して走行するため、騒音や振動が小さく、快適な乗り心地で、沿線環境にもやさしい乗り物です。
- リニアモーターで走るため、急勾配、急カーブもスムーズに走行できます。
- 最高速度や加減速度が高いため、速達性に優れています。
- 車両がレールを抱え込む構造なので、脱線や転覆などの事故の心配がありません。
- 浮上して走行するため摩耗部分がほとんどなく、車両やレールとも保守の手間がかかりません。
- 車両の推進・浮上に電磁石を利用しているため、電磁場が生じますが、十分に低いレベルの値となっています。
浮上
- 車体に取り付けられた電磁石に電流が流れると、レールに向かって吸引力が生まれ、車体が浮上します。
- 電磁石とレールとの間隔はギャップセンサーにより、常に一定の間隔(約8mm)を保つように制御されています。
※ JRで開発中の超電導リニアとは違い、停止時でも浮上することができます。
推進
- 車両はリニアモーターで推進します。
- リニアモーターは、普通の回転モーターを平たく延ばしたもので、普通のモーターが回転する力として使われるのに対し、リニアモーターはそれを直進する力として活用します。
※このリニアモーターは、大阪市営地下鉄鶴見緑地線や都営地下鉄大江戸線の車両に用いられているものと同じ種類のものです。
愛知高速交通株式会社の概要
愛知高速交通株式会社は、磁気浮上式システムによる東部丘陵線のインフラ外部の建設と、その後の運営を行う会社として、地元自治体、民間企業が一体となって平成12年2月に設立した第三セクター会社です。
なお、愛知県では、愛知高速交通株式会社の経営安定化を図るため、沿線市と協調して、平成20年度から経営支援に取り組んでいます。
内容 | |
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名称 | 愛知高速交通株式会社 |
本社所在地 | 長久手市茨ケ廻間1533番地736 |
電話番号 | 0561-61-4781 |
設立日 | 平成12年2月7日 |
資本金 | 100,000千円(平成29年3月31日現在) |
出資者 |
愛知県、長久手市、名古屋市、豊田市、日進市、瀬戸市 名古屋鉄道株式会社、日本政策投資銀行、中部電力株式会社、株式会社三菱東京UFJ銀行、トヨタ自動車株式会社 他 |
事業内容 | 軌道法による一般運輸業及び付帯又は関連する事業 |
東部丘陵線連絡協議会の概要
愛知県と沿線5市(名古屋市、瀬戸市、豊田市、日進市、長久手市)は、東部丘陵線を中心とした地域の発展に寄与することを目的として、平成17年9月に東部丘陵線連絡協議会(事務局:愛知県交通対策課)を設立し、沿線地域の発展とリニモの利用促進に資する取組を行っています。
主に、沿線ウォーキング、沿線施設とリニモを活用した体験型イベント等の事業を実施しています。
問合せ
愛知県 都市整備局 交通対策課 鉄道第二グループ
電話:052-954-6127
E-mail: kotsu@pref.aichi.lg.jp