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研究報告第43号-抄録001
麺用コムギの生地物性を高めるGlu-B3、Glu-A3、Glu-A1座のloop-mediated isothermal amplification (LAMP)マーカーの開発
キーワード
摘要
日本国内におけるコムギ生産を拡大するためには、わが国での利用に適した高い品質を持った品種の育成が必要である。
種子の貯蔵タンパク質であるグルテニンは、小麦粉の生地物性を決定するキーファクターであり、グルテニンサブユニットの種類が小麦粉の品質に大きく関与している。特にうどんへの加工用に適した粘弾性の優れた品種育成には,低分子量グルテニンサブユニット(LMW-GS)のGlu-B3座及びGlu-A3座、高分子量グルテニンサブユニット(HMW-GS)のGlu-A1座のそれぞれについて最適な遺伝子型が組み合わされていることが重要であると考えられている。
コムギの育種現場において、多数の育成個体からグルテニンサブユニットの種類を正確かつ迅速に判別し、必要な個体を選抜するためには、グルテニンサブユニットを遺伝子レベルで調べることのできる簡便なDNAマーカーの開発が必要である。
本研究では,これまで主に利用されてきたPCR法に替わって、新たなDNA増幅法であるLAMP法を用いたDNAマーカーを開発した。グルテニン遺伝子の塩基配列から、強い生地物性に寄与するGlu-B3座のGlu-B3g遺伝子及びGlu-A3 座のGlu-A3d遺伝子、Glu-A1座のGlu-A1aまたはGlu-A1b遺伝子を判別することのできるLAMPプライマーを設計すると共に、効率的に塩基配列の差異を検出するため、反応温度を68℃とし、さらにLAMP反応液に含まれるベタイン濃度を0.2M(通常の4分の1)とした。
ガラス繊維濾紙法により簡易抽出したコムギDNAを用いて上記の条件でLAMP反応を行ったところ、それぞれの遺伝子を1時間以内に正確に検出することができ、育種選抜の効率を飛躍的に向上できるものと考えられた。
著者
福田至朗:環境基盤研究部
辻孝子:環境基盤研究部
池田達哉:農研機構・近畿中国四国農業研究センター
吉田朋史:作物研究部
藤井潔:作物研究部(現園芸農産課)
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