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2024年愛知県農業総合試験場の10大成果
農業総合試験場では、新品種や技術の開発などの試験研究について、広く県民の皆様に理解を深めていただくため、研究成果の中から、特に優れたものや社会的関心の高いものを各界からの選定委員に選んでいただき、10大成果として公表しております。
2024年の10大成果は以下のとおりです。
順 位 | 課 題 名 |
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第1位 | 在来種よりも収穫期が約1ヶ月早いエゴマ新品種を開発!-新品種で中山間地域の活性化を目指します- |
第2位 | 名古屋コ-チンで初めてヒナの羽根で雌雄鑑別が可能に!-名古屋コ-チン卵用新系統(NGY6)の開発- |
第3位 | 暑くても味、色づきイイネ!加温ハウス向けウンシュウミカンの新品種を開発!-新品種でハウスミカン産地の更なる発展を-(JA蒲郡市との共同研究) |
第4位 | 「試交17-22」で高品質なナスをいっぱい穫ろう!-ナス新品種「試交17-22」の栽培技術を確立- |
第5位 | 石灰窒素でスクミリンゴガイも肥料も減らそう!-石灰窒素を併用した水稲の全量基肥施肥体系を開発-(全国農業協同組合連合会肥料委託試験) |
第6位 | イチジクの生産性を維持しながらコストを低減します-L型元肥を活用した新たな施肥体系を開発-(全国農業協同組合連合会肥料委託試験) |
第7位 | コチョウランの萎れは原因の解明と対策の実施で解決︕-輸送時の萎凋対策を確立- |
第8位 | 「シャインマスカット」の房作り作業軽減技術を開発-早期GA処理でより作りやすく- |
第9位 | 作物の生育状態が一目でわかる!-生育予測技術を開発(AgriLook愛知県版)-(JAあいち経済連、名古屋大学との共同研究) |
第10位 | フルメット液剤と果梗捻枝の組み合わせで収益UP!-トマトの裂果対策技術の開発-(JAあいち経済連、トヨタネ株式会社との共同研究) |
氏 名 | 職 名 |
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浅川 晋 | 名古屋大学大学院生命農学研究科 教授 |
伊藤 博康 | 株式会社CBCテレビ報道・情報制作局 専任部長 |
井上 孝司 | ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 基盤技術研究所 副所長 |
吉田 典子 | 愛知消費者協会 会長 |
伴 充晃 | 愛知県農業総合試験場 場長 |
各成果の概要と詳しい内容は以下を御覧ください。
順 位 | 課 題 名 | 概 要 |
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第1位 | 在来種よりも収穫期が約1ヶ月早いエゴマ新品種を開発! -新品種で中山間地域の活性化を目指します- |
新品種「No.7」は、本県で栽培されているエゴマの在来種「名倉(なぐら)」より収穫時期が早く、早霜の被害を回避できる他 、収穫時期の分散により経営面積の 拡大が可能となります。また、「名倉」よりも草丈が低く、茎が細いため、収穫しやすいです。(2024年1月31日発表済み) |
第2位 | 名古屋コ-チンで初めてヒナの羽根で雌雄鑑別が可能に! -名古屋コ-チン卵用新系統(NGY6)の開発- |
名古屋コ-チン卵用新系統(NGY6)を開発しました。新系統の特徴は、(1)ヒナの羽根の形が遅羽性(羽根の伸長が遅い個体)であり、速羽性の系統との交配により、ヒナの雌雄を羽根の形状の違いから容易に鑑別できます。(2)卵用として卵の見た目(卵殻色の改善、卵殻表面の「白斑点」出現確率向上)と産卵性も改善されました。(2024年1月26日記者発表済み) |
第3位 | 暑くても味、色づきイイネ! 加温ハウス向けウンシュウミカンの新品種を開発! -新品種でハウスミカン産地の更なる発展を- (JA蒲郡市との共同研究) |
加温ハウス向けウンシュウミカンの新品種「C系統」をJA蒲郡市との共同研究で開発しました。「C系統」は既存品種の「宮川早生」より10日ほど着色が早くて果皮色が良好です。また、糖度、酸含量ともに「宮川早生」よりやや高く、食味の良い品種です。「C系統」の導入により生産者の収益の向上が期待されます。(2024年8月2日記者発表済み) 詳しい内容はこちらから [PDFファイル/389KB] |
第4位 | 「試交17-22」で高品質なナスをいっぱい穫ろう! -ナス新品種「試交17-22」の栽培技術を確立- |
2021年に開発したナス「試交17-22」の施設栽培では、産地にて暖候期のつや無し果の発生や2月までの収量の伸び悩みが課題でした。そこで、こまめな剪定の徹底、少量多頻度のかん水、葉の摘葉を遅くすることが有効であることを明らかにし、管理方法や品種の特性をまとめ、栽培指針を作成しました。 詳しい内容はこちらから [PDFファイル/406KB] |
第5位 | 石灰窒素でスクミリンゴガイも肥料も減らそう! -石灰窒素を併用した水稲の全量基肥施肥体系を開発- (全国農業協同組合連合会肥料委託試験) |
スクミリンゴガイ防除に使用する石灰窒素の窒素肥効特性を解明し、石灰窒素を併用した水稲の全量基肥施肥体系を開発しました。培養試験により、施用2週間以内に石灰窒素からの急速な窒素発現がみられました。この結果をもとに栽培試験を行い、生育初期の窒素肥効を抑えた肥料が石灰窒素との併用に適することがわかりました。 詳しい内容はこちらから [PDFファイル/541KB] |
第6位 | イチジクの生産性を維持しながらコストを低減します -L型元肥を活用した新たな施肥体系を開発- (全国農業協同組合連合会肥料委託試験) |
露地イチジク向けの新たな「いちじく有機配合8-2-2」(L型元肥)を用いた施肥体系を開発しました。土壌に過剰蓄積しているリン酸とカリウムを削減し、環境負荷を軽減できます。慣行の「いちじく有機配合(6-5-5)」利用体系と比較して、同等の生育と果実生産が得られるとともに、実施施肥量の40kg/10a低減で、作業負担の軽減にもなります。 詳しい内容はこちらから [PDFファイル/418KB] |
第7位 | コチョウランの萎れは原因の解明と対策の実施で解決︕ -輸送時の萎凋対策を確立- |
コチョウランで問題となっている輸送中の花蕾の萎れは、輸送を模した試験により暗黒処理および振とう処理下で発生することを明らかにするとともに、温度が萎れの発生に影響することも明らかにしました。また、萎れを予防する対策としてエチレン阻害剤の効果的な使用方法を確立しました。 詳しい内容はこちらから [PDFファイル/459KB] |
第8位 | 「シャインマスカット」の房作り作業軽減技術を開発 -早期GA処理でより作りやすく- |
ブドウでは「シャインマスカット」の栽培が拡大していますが、房作り作業の負担が課題でした。そこで、他品種で実用化されている早期ジベレリン処理を行い、花穂の長さが一定以上となった時期に作業を行うことで、作業時間が短縮しました。この技術により、「シャインマスカット」の経営面積拡大も可能となります。 詳しい内容はこちらから [PDFファイル/393KB] |
第9位 | 作物の生育状態が一目でわかる! -生育予測技術を開発(AgriLook愛知県版)- (JAあいち経済連、名古屋大学との共同研究) |
水稲、小麦、大豆の生育ステージ予測技術を開発し、JAあいち経済連と名古屋大学との共同研究で農業指導者向けの栽培管理支援ツールとしてシステム化しました。スマホ等で確認した生育ステージや最適な栽培管理作業日を、生産者に情報提供でき、無駄な農薬や管理作業の削減、収穫物の品質の向上などの効果が期待できます。 詳しい内容はこちらから [PDFファイル/537KB] |
第10位 | フルメット液剤と果梗捻枝の組み合わせで収益UP! -トマトの裂果対策技術の開発- (JAあいち経済連、トヨタネ株式会社との共同研究) |
トマトでは9~10月は端境期となるため、販売単価が高くなりますが、この時期は裂果の発生が多く、問題となっています。フルメット液剤と果梗捻枝(トマトの果梗部分を白熟期にペンチで潰す)を組み合わせることで、無処理に比べ裂果率は約40%低下して、10aあたりの収益は約46万円増加することを明らかにしました。 詳しい内容はこちらから [PDFファイル/498KB] |
問合せ先
愛知県農業総合試験場
研究戦略部 企画調整室
電話: 0561-41-8963(ダイアルイン)
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp