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愛知県自然環境保全地域 山中八幡宮(やまなかはちまんぐう)
山中八幡宮の自然
山中八幡宮は、岡崎市南東部の舞木町地内を通る国道一号線南側の小山塊山頂近くにあります。この山塊は標高106m(比高36m)程あり、三河山地の一部が御油断層によって切り離された領家変成岩でできています。山中八幡宮の社叢はツブラジイ(コジイ)を主とする常緑広葉樹林であり、そのような社叢としては、県内では規模が大きなもののひとつです。林の中には県内では数が少ないルリミノキ、オオフユイチゴなど暖地性の種が多く生育しています。
本社叢は「ヒメハルゼミの生息地」として市の天然記念物に指定されています。
このような良好な自然環境を有する地域は、県内では少なくなっています。
本社叢は「ヒメハルゼミの生息地」として市の天然記念物に指定されています。
このような良好な自然環境を有する地域は、県内では少なくなっています。
ツブラジイ(コジイ)の林
ツブラジイの果実(ドングリ)は、他のドングリに比べ、渋みが少ないため、昔は緊急時の食料とされていました。
山中八幡宮の動物
昆虫類では、暖地系の種であるヒメハルゼミが生息しています。本種は、日本固有種であり、太古この地域が暖帯照葉樹林で覆われていた頃から生き残っている種で、現在では当時の林相が残されている地域のみに生息する貴重な昆虫です。
県のレッドリストで準絶滅危惧と評価されているオオゴキブリも生息しています。本種も暖地系の種で、分布する場所は照葉樹林に限られており、その環境条件を示す「指標種」として扱われています。その他、ヒメハンミョウやハグロトンボが見られます。
さらに、鳥類ではアカハラやフクロウがツブラジイの木に留まっている姿もみられます。しかし、アカハラは夏季に山間部の原生林で繁殖しており、フクロウが繁殖につかうような樹洞のある大木は本社叢内で確認されていないため、本社叢は餌場としてのみ利用されているようです。
県のレッドリストで準絶滅危惧と評価されているオオゴキブリも生息しています。本種も暖地系の種で、分布する場所は照葉樹林に限られており、その環境条件を示す「指標種」として扱われています。その他、ヒメハンミョウやハグロトンボが見られます。
さらに、鳥類ではアカハラやフクロウがツブラジイの木に留まっている姿もみられます。しかし、アカハラは夏季に山間部の原生林で繁殖しており、フクロウが繁殖につかうような樹洞のある大木は本社叢内で確認されていないため、本社叢は餌場としてのみ利用されているようです。
ヒメハルゼミ オス(セミ科)
7月から8月にかけて見られます。複数で合唱して鳴くことが多く、多数が鳴き出すと、林全体が鳴っているように感じられます。
オオゴキブリ(オオゴキブリ科)
家屋にいるゴキブリとは異なり、森の中に生息し、朽木の樹皮の下で朽木を食べて生活する珍しい昆虫です。
山中八幡宮の植生
本社叢のツブラジイの常緑広葉樹林は、天然生林(伐採の後、天然更新により再生した森林)であり、社叢としては、県内屈指の大きなものです。
注目される種として、県下では生育数が少ないルリミノキやオオフユイチゴといった植物が確認されています。その他にも、ベニシダ、トウゴクシダなどのシダ類、ミミズバイ、クロバイ、コクランなどの暖地性の種の生育が多く見られるのが特徴です。
参道入口前にあるクスノキの巨木は、通称「八幡さんの大クス」と呼ばれ、市の天然記念物に指定されています。
注目される種として、県下では生育数が少ないルリミノキやオオフユイチゴといった植物が確認されています。その他にも、ベニシダ、トウゴクシダなどのシダ類、ミミズバイ、クロバイ、コクランなどの暖地性の種の生育が多く見られるのが特徴です。
参道入口前にあるクスノキの巨木は、通称「八幡さんの大クス」と呼ばれ、市の天然記念物に指定されています。
(左から)ルリミノキの実、花
ルリミノキ(アカネ科)
秋には、美しいルリ色(青色)の果実が実ります。(県のレッドリストで準絶滅危惧と評価)
参道入口前にあるクスノキの巨木
通称「八幡さんの大クス」
オオフユイチゴ(バラ科)
常緑のつる性小低木。葉はフユイチゴに似ているが、それより大きくて厚い。
所在地(岡崎市舞木町字宮下)
愛知県山中八幡宮自然環境保全地域の保全計画(抜粋)
平成16年2月27日指定
指定理由
常緑広葉樹林の社叢としては、県内では規模が大きく、その構成種の中にはミミズバイが生育し、林床には愛知県の準絶滅危惧種であるルリミノキ、オオフユイチゴの群落が生育していることが本社叢の特徴の一つであります。昆虫では、愛知県の準絶滅危惧種であるオオゴキブリが生息しており、また「ヒメハルゼミの生息地」として本社叢は市の天然記念物に指定されています。
したがって、これらの自然環境を保全するため、自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例20条第1項第4号の植物の自生地、野生動物の生息地として愛知県自然環境保全地域に指定するものです。
したがって、これらの自然環境を保全するため、自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例20条第1項第4号の植物の自生地、野生動物の生息地として愛知県自然環境保全地域に指定するものです。
保全計画
1 保全すべき自然環境の特質
(1)野生動物
本社叢には、昆虫では暖地系の種で自然林などに生息し、県内では少なくなったとされるオオゴキブリが生息しており、また暖地系の種であるヒメハルゼミが生息しています。
(2)植生
本社叢の植生は、丘の東側斜面は常緑広葉樹である主としてツブラジイの天然生林で、西側斜面はヒノキ植林地となっています。この常緑広葉樹林の本社叢は、郷土景観を代表する植物群落と言え、愛知県西三河南半に残された天然生林の中でも大きなものです。
また、注目される種として、県下では生育数が少ないルリミノキ、オオフユイチゴといった分布の北限に近い植物が生育しています。
(1)野生動物
本社叢には、昆虫では暖地系の種で自然林などに生息し、県内では少なくなったとされるオオゴキブリが生息しており、また暖地系の種であるヒメハルゼミが生息しています。
(2)植生
本社叢の植生は、丘の東側斜面は常緑広葉樹である主としてツブラジイの天然生林で、西側斜面はヒノキ植林地となっています。この常緑広葉樹林の本社叢は、郷土景観を代表する植物群落と言え、愛知県西三河南半に残された天然生林の中でも大きなものです。
また、注目される種として、県下では生育数が少ないルリミノキ、オオフユイチゴといった分布の北限に近い植物が生育しています。
2 面積
特別地区 (全域野生動植物保護地区) |
普通地区 | 合計 |
---|---|---|
1.55 ha |
3.95 ha | 5.50 ha |
地理院地図(国土地理院)(https://maps.gsi.go.jp/)を元に加工して作成