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愛知県自然環境保全地域 東谷山(とうごくさん)

ページID:0538314 掲載日:2025年1月23日更新 印刷ページ表示

東谷山の写真

東谷山の自然

 東谷山は名古屋市の北東部と瀬戸市との境界にあります。西側には名古屋市東谷山フルーツパークが隣接しており、フルーツパークに訪れた人が散策する姿も見られ多くの人に親しまれています。標高は198mと名古屋市内の最高所です。
 山頂に神社があることもあり、名古屋市内という大都市にありながらも開発されることなく、豊かで優れた自然が残されています。
 東谷山のうち、自然環境保全地域として指定されている西側一帯は、注目すべき動植物が多く生息生育しており、豊かな生態系が保たれています。
 谷部の地下水と貧栄養の土壌を基盤として、森林の中に、湿地や草地といった要素を含めた多様な自然環境が維持されています。谷部の湿地周辺には、注目すべき植物が生育する特異な環境が形成されています。
 県内ではこのような良好な自然環境を有する地域は少なくなっています。

東谷山の地質

 東谷山には名古屋市内で唯一、花崗岩(花崗閃緑岩)と中生層(中生代に堆積した地層)が分布しています。また、東谷山の中腹から山頂付近では、花崗岩の貫入による熱変成を受け、中生層がホルンフェルスという変成岩に変化しています。
 花崗岩(花崗閃緑岩)は主に東谷山の西麓に分布していますが、風化が進んでおり、すぐ上に重なるアルコーズ質砂礫層(石英、長石、雲母といった花崗岩を構成する鉱物からできている砂礫層)との境界部では両者の区別が難しくなっています。花崗岩(花崗閃緑岩)にはペグマタイト(巨晶花崗岩)の脈が見られ、花崗岩の上に重なるアルコーズ質砂礫層にはペグマタイト由来と考えられる水晶が礫として入ることがあります。
 中生層の上に重なる角礫層では、礫の間をシルトが埋めています。そのため、シルト質の部分が不透水層になることによって地下水が地表に流出し、東谷山の西麓や南東麓の谷部に湧水湿地を形成しています。

ペグマタイト脈の写真 東谷山の石英(水晶)

(左から)ペグマタイト脈(中央)、アルコーズ質砂礫層に含まれていた石英(水晶)

東谷山の植物

 東谷山自然環境保全地域を特徴づけているのは北斜面に分布するツブラジイ、アラカシが優占する常緑樹林です。大きなものは樹高25m、樹齢は300年以上と思われるものもあります。
 南西部には明るい湿地があり、この湿地はオオミズゴケで覆われ、シデコブシ、サクラバハンノキ、シラタマホシクサ、ヌマガヤ、サギソウ、ヘビノボラズ、アギナシ等が生育しています。また、名古屋では少なくなったサギソウも目立ちます。
 さらに、南東部の登山歩道に沿った帯状の部分にも湿地が存在しています。こちらは遷移が進んで樹木が多く茂って、やや暗くなっていますが、樹高7~8mのものから数10cmの幼苗までの各段階のシデコブシが生育しています。
 かつて東谷山周辺にはこのような湿地が点在していたものと思われますが、それらの多くは造成により姿を消しており、東谷山の湿地は、貴重な存在となっています。
 湿地の上部にはシマジタムラソウやヒメコヌカグサが見られます。
 その他、東谷山の頂上付近にはシダミコザサの群落が見られます。

シデコブシの花 ヘビノボラズ​​

(左から)シデコブシ、ヘビノボラズ

シラタマホシクサの群落 シマジタムラソウ

(左から)シラタマホシクサの群落、シマジタムラソウ

東谷山の動物

 自然環境保全地域の常緑樹林を中心に、哺乳類ではムササビ、二ホンテン、二ホンノウサギ、二ホンリス等が生息しており、国指定天然記念物であるニホンカモシカも確認されています。
 また、昆虫では湿地部にヒメタイコウチが生息しています。ヒメタイコウチは、愛知県を中心とした一部地域でのみ生息が確認されています。
 周辺では猛禽類であるフクロウが確認されているほか、オオタカ、ハチクマ、ハイタカ、サシバ等も確認されています。

山頂からの眺め ヒメタイコウチの写真 

(左から)山頂からの眺め、ヒメタイコウチ 

所在地(名古屋市守山区上志段味)

東谷山の広域位置図

地理院地図(国土地理院)(https://maps.gsi.go.jp/)を元に加工して作成

愛知県東谷山自然環境保全地域の保全計画(抜粋)

指定理由

平成22年4月2日指定
 名古屋市の東北部と瀬戸市との境界にある東谷山を中心とする本地域の北部には、スダジイ、アラカシ、ツブラジイなどの常緑広葉樹が比較的まとまった面積で残されています。また、本地域の南西部には湿地があり、ヌマガヤ、シラタマホシクサ、サギソウ等の湿地植物が生育しており、南東部の登山道沿いにはシデコブシの群落があります。
 大都市周辺のこのような自然度の高い植生の存在は、極めて貴重であるといえます。
 したがって、これらの自然環境を保全するため、自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例第20条第1項第4号の植物の自生地、野生動物の生育地として愛知県自然環境保全地域に指定するものです。

保全計画

1 保全すべき自然環境の特質
 北部の斜面には、愛知県の平地の自然植生であるシイ林の規模の大きな群落が見られます。また、2カ所ある湿地には東海地方の固有種であるシデコブシの群落のほか、シラタマホシクサ、サギソウ等も生育しており、大都市に近接した位置にありながら、極めて良好な自然が残されています。
 さらに、林内には二ホンリスやムササビ等が生息しており、本地域の周辺にはオオタカ、サシバ、ハチクマ等の猛禽類も生育しています。
2 面積
地区別面積

特別地区

(うち野生動植物保護地区)

普通地区 合計

12.40 ha

(12.40 ha)

15.27 ha 27.67 ha

 

区域図