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「課税自主権に関する検討」の報告書について
「課税自主権に関する検討」の報告書について
愛知県地方税制に関する研究会(座長:立教大学経済学部教授 池上岳彦)では、地方自治確立のために地方税財源を充実させるという観点から検討を行ってきました。
研究会では、これまでに、外形標準課税や税源移譲について検討した結果を報告書として公表してきましたが、その後、課税自主権について検討を行い、平成15年11月、「課税自主権に関する検討-環境関連税制を中心として-」と題する報告書を取りまとめました。
この報告書は、各種の施策が必要とされる場合、それに適応可能な課税の仕組みを検討した結果を示したものです。
なお、この報告書では、愛知県における課税自主権の活用のあり方について考える場合、「自然の叡智」をテーマとした愛知万博の開催を控えていることや自動車NOx・PM法の対策地域に指定されたことなど環境への配慮が注目されていることから、環境関連税制について検討することが考えられるとしています。
その上で、県政世論調査の結果から県民の関心の高かった次の4つの環境対策に関する税制について研究会で具体的に検討したものです。
「課税自主権に関する検討」の報告書の要旨
課税自主権に対する基本的な考え方
1 課税自主権の活用の種類
(1)法定外税
法定外税には、(ア)主に特定の政策を推進するために設けられるものと、(イ)主に一般的な財源確保を目的とするために設けられるものがある。主に特定の政策を推進するために設けられるものには、規制・抑制の効果を目指すものと、特定の政策のための財源を確保するものとがある。規制・抑制の効果を目指すものは必ずしも税収の使途を特定する必要はない。
(2)超過課税、不均一課税
超過課税を導入すれば一般的な財源確保を目的とするタイプの法定外税と同様の効果が得られ、不均一課税の導入又は超過課税と不均一課税を組み合わせて導入すれば特定の政策を推進するタイプの法定外税と同様の効果が得られる。
2 課税自主権の活用の課題
愛知県における課税自主権の活用の視点
1 愛知県における課税自主権の活用の状況
地域産業の活力の維持・活性化と雇用機会の拡大を図るため、産業立地促進税制として不均一課税を行い、不動産取得税の軽減を図っている。
2 愛知県における課税自主権の活用の考え方
「自然の叡智」をテーマとした愛知万博の開催を控えていることや自動車NOx・PM法の対策地域に指定されたことなど環境への配慮が注目されていることから、環境関連税制についての検討が考えられる。
東海地震に関連する防災事業の財源に充てるため、住民の暮らしと安全を守るという観点から、法人、個人に広く負担してもらうという考え方に基づいて、法人県民税若しくは個人県民税の超過課税の導入も考えられる。
さらに、一般的な財源確保を目的とするタイプの法定外税を今後検討していくことも必要である。
環境関連税制に対する考え方
1 基本的な考え方
環境保全対策としての税制措置の内容としては、(ア)それぞれの地域における生活環境や自然環境に対する負荷を抑制する手法、(イ)それぞれの地域の状況に応じた環境施策を講ずるために必要となる財源を確保するという捉え方、(ウ)更にその2つの組合せがある。
その一方で、環境に対してプラスになるものに対しては、税を軽減するという誘導的な税制も幅広く検討する必要がある。
2 県民の意識
環境関連税制の具体的検討
1 地球温暖化対策
森林の持つ二酸化炭素吸収・酸素供給といった地球温暖化防止にも資する機能に着目して、森林整備、里山の保全、都市の緑化といった緑の保全のために課税自主権を活用することも考えられる。