主な展示作品
主な展示作品

秀(シュウ):ひいでる・うるわしい・優美である
灰釉蕨手文手付水注 (県指定文化財)
瀬戸窯 鎌倉時代(14世紀前葉)
北大路魯山人旧蔵
《令和2年度市橋保氏寄贈》
古瀬戸水注、至極の名品
中世前期の瀬戸水注は、中国陶磁の青白磁をモデルとして制作されましたが、文様構成には日本独自の意匠も採用されています。 胴央に窓絵状の丸文と花文を中心として蕨手文を配し、口頸の基部には 剣先文 を巡らせています。灰釉はよく溶けて黄緑色に発色し、淡い褐色の器肌に映えています。

捜(シュウ):さがしもとめる
モダンセット
三郷陶器
1955(昭和30)年頃
《令和3年度購入》
昭和のモダンなお茶の時間を演出
デザイン案を元に手描き装飾を担当したのは、愛知県瀬戸市出身の画家・
太田 龍一 (1915-1994)。
三郷陶器は愛知を代表する高級陶磁器メーカーであるにもかかわらず、当館では1991年作を1件収蔵しているのみでした。昭和30~40年代の三郷陶器による限定商品として捜し求めていたものです。

祝(シュウ):いわう
色絵四君子文煎茶器揃
犬山焼 1923(大正12)年頃
《令和元年度小島玲子氏寄贈》
地元・愛知の華やかなうつわ
共箱の蓋裏に「鳴海杻神社 々務所竣成記念」の墨書があり、本器も上絵付けで四君子(梅・竹・蘭・菊)が画かれ、金彩も施された祝いの煎茶器です。
当館は犬山焼を多数所蔵していますが、大正時代の制作が明らかなものは本作品のみです。

修(シュウ):なおす・手入れをする
壺
珠洲窯
鎌倉時代~室町時代(14世紀)
《令和5年度松浦繁蔵氏寄贈》
中世にリユースがあった!
本器は、粘土紐輪積みタタキ成形をした後、器面を磨き上げた精製品の壺です。
南北朝時代の珠洲窯で本器が焼成され当初の用途で使用された後、中世の内に当時有していた中国の青白磁の破片をあてがい、布と漆を用いて修復し通常の壺の用途で用いたと推測されます。

習(シュウ):ならう・まねる
青磁耳付花瓶
京都市陶磁器試験場
1915(大正4)年
《令和3年度植田寛氏寄贈》
国宝に迫る技術の再現
本体を轆轤 成形で作り、鳳凰耳を石膏型で作成しています。国宝の〈青磁鳳凰耳花生 銘「万声」〉(和泉市久保惣 記念美術館所蔵)を模したとされています。
大正天皇の即位に際し、同形の花瓶が献上されていることから、本器は献上にあたっての予備品の一つと考えられます。

拾(シュウ):ひろう・あつめる
萱刈窯跡出土品
瀬戸窯
鎌倉時代末期(14世紀)
《令和6年度加藤清之氏・加藤惇氏寄贈》
古瀬戸のやきもの作りを伝える遺品
器面を多彩な文様で飾った瓶子や四耳壺片等があり、古瀬戸最盛期の様子を示しています。写真左下の瓶子片は魚波文で表面が埋め尽くされ、重要文化財の灰釉魚波文瓶子(名古屋市博物館蔵)と同種のものです。