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「女子大学生と『あいち女性輝きカンパニー』の交流会」現地レポート 〜vol.2 愛知県立大学編〜
社会で活躍する先輩女性のリアルな声を聴いて、学生の皆さんが自身の将来に思いを馳せる「交流会」の第2弾が愛知県立大学で開催されました。
業界や企業による社風の違いなど、大手企業やIT企業にぼんやりと抱いていた先入観が良い意味で裏切られた方もいるかもしれません。
さっそくリポート開始です。
「あいち女性輝きカンパニー」って?
愛知県では、女性の活躍促進に積極的に取り組む企業等を「あいち女性輝きカンパニー」として認証し、その取組を支援しています。(認証企業数は1,367社/2023年11月1日時点)
登壇者
●総合司会:愛知県県民文化局 男女共同参画推進課 課長補佐 太田 美代子
●コーディネーター:オフィスアイム 代表 市川 麻波 氏(愛知県女性の活躍促進コーディネーター)
<「あいち女性輝きカンパニー」認証企業>
株式会社カノークス
日本特殊陶業株式会社
株式会社ピコ・ナレッジ
(五十音順)
交流会スケジュール
- 女性社員による自己紹介及び人事担当者による会社の魅力のPR
- パネルディスカッション
- 交流タイム
- 登壇者(女性社員及び人事担当者)からコメント
- まとめ
交流会
開会にあたり、本企画にご協力いただいた愛知県立大学の久冨木原 玲 学長より「私は性別に関係なく、誰もが何歳になっても社会で活躍し続けて欲しいと願っています。自分に向いている職業や職種について迷っている学生も多いと思いますが、今日の交流会があなた方ご自身の扉を開けて踏み出す第一歩になりますように。ぜひ本音で語り合ってください。」とエールをいただきました。
本日の登壇者の方々のご紹介です。
<株式会社カノークス>
・伊藤 菜浪さん(人事部)
・柴田 風菜さん(入社4年目、経営企画部)
(株)カノークスは、1897年創業、126年の歴史がある鉄鋼専門商社です。自動車部品向けの鋼材を中心に、仕入れから納品までオールインワンで行い、高い専門性でモノづくりの根幹を支えています。女性活躍推進のため、社内制度の整備や女性のステップアップ人事制度などさまざまな取組を行っています。
<日本特殊陶業株式会社>
・ 西本 奈美子さん(HRコミュニケーションカンパニー 人財開発部)
・牧山 奈沙さん(入社2年目、HRコミュニケーションカンパニー 人財開発部)
日本特殊陶業(株)は1936年に創業し、セラミックスのコア技術を基に、自動車部品やセラミック関連製品の製造販売を手がける会社です。グループを合わせると社員1万7千人規模、グローバルに展開している会社です。2013年より女性が働きやすい環境づくりをスタートしており、来年度の新卒採用のうち、半数近くが女性になる予定です。
<株式会社ピコ・ナレッジ>
・小野 真里紗さん(人材開発部)
・唐澤 咲江さん(入社1年目、情報システム事業部)
(株)ピコ・ナレッジは1990年創業で34年目、システム開発はもちろん、ネットワークやサーバといったインフラの設計・構築、運用保守まで一貫して提供する独立系総合IT企業です。WEBコンテンツ制作のための取材業務など、人と関わる仕事もあり、文系出身者も多く活躍しています。
第1部 <パネルディスカッション>
ここからはコーディネーター市川さん(以下「Co」)の司会で、「あいち女性輝きカンパニー」で活躍されている先輩方の話を伺っていきます。市川さんから「今日は業界について知り、‘働く自分’へのイメージを膨らませる会だと思ってください。」とメッセージをいただき、和やかに始まりました。
パネリストは以下の3名です。
○柴田 風菜さん(カノークス)
○牧山 奈沙さん(日本特殊陶業)
○唐澤 咲江さん(ピコ・ナレッジ)
Q1. 数ある中からなぜこの業種・業界を選んだのでしょうか?
柴田さん:「仕入れから販売まで一貫して対応できるところ」に魅力を感じました。自動車、建物、ガス機器など身近に存在している‘鉄’専門の商社ということにも興味を持ちました。
Co: ‘鉄’には、いつごろから興味を持ったのですか?
柴田さん:就活を本格的に始めた4年生の頃です。先輩の記録などを見ていて惹かれたのが(株)カノークスでした。「鉄鋼商社ってなんだろう」がスタートです。
Co:学生の皆さんに身近な鉄って、例えばどんなものがありますか?
柴田さん:いま私たちが座っている教室の机や椅子のパイプ、校舎の鉄骨、PC、スマホなど、ありとあらゆるところに鉄は使われています。
Co:ありがとうございます。では続いて牧山さんお願いします。
牧山さん:私が就職先としてメーカーに注目した理由は2つあります。1つは「製品を通して多くの人々に貢献できるところ」。学生時代にカフェでアルバイトをしていたのですが、「目の前のお客さんを笑顔にできる」ことが嬉しくて。‘有形の商材’で人を笑顔にしていきたいなと思い、日本特殊陶業(株)を選びました。グローバル企業なら世界中の人々に貢献できるのではないか、と。2つめの理由は、「チームで働きたい!」です。「学生よさこいサークル」での活動を通して得た「ひとつのもの(演舞)を作り上げる」という経験が原点です。「さまざまな人と協力して製品をつくりあげる」というメーカーの姿勢に共感を覚えました。
Co:皆さん、牧山さんのお話に出てきた‘有形商材’と聞いてイメージ湧きますか?「カタチのあるもの、手に触れることができる商品」のことですよね。牧山さん、自社製品についてのエピソードなどは何かありますか?
牧山さん:以前、就活生向けに話をする機会で、弊社の社名は知られていないけれど「自動車のスパーククラブ(ガソリンを着火させるライターの役割を担うパーツ)を作っている」と話したら、一気に話が通じたことがあります!
Co:ありがとうございます。では続いて唐澤さんお願いします。
唐澤さん:私は大学で「プログラミング」の講義がある学部だったのですが、プログラミングをしていると没頭でき、「時間が経つのはあっという間だな」と感じていました。プログラマという職種に就けば、毎日8時間ある就業時間もきっと「あっという間だろう」と思い、この業界を選びました。IT業界の技術進化についていくためには、日々学び続ける姿勢が必要ですが、私にとってはとてもやりがいのある仕事だと思っています。
Co:唐澤さんは「没頭できる」ことをお仕事に選んだ、ということですね。ご自身のどんな「興味」が生かされていると思いますか?
唐澤さん:ゲームが好きなのですが、プログラミングもゲームと同様に、「順序立てて進めていくと完成に辿り着く。」というところでしょうか。
Co:なるほど。「達成感を得られる」ということですね。唐澤さんは粘り強く物事に取り組むことができる方なんだな、と思いました。
Q2. 入社前のイメージと入社後のギャップはありましたか?
柴田さん:悪い方のギャップを先に(笑)。すべてのことがデータ化されPCだけなのかと思ったら、FAXなどデータを紙に印刷する人が意外と多くてギャップを感じました。いいギャップとしては、‘鉄’という素材のイメージから、‘男社会’のようなイメージがあったのですが、面接や入社前の懇談会では全くそんな印象はありませんでした。入社後も、先輩後輩や男女の別なく意見を言える社風で、良好な関係を築けています。
Co:‘男社会’だとどんなことが起きそうだと思っていましたか?
柴田さん:「女性だからこの仕事は任せられない」とか、「意見を言いにくい雰囲気なのかな」と想像していましたが、実際には意見を聞いてくれる風通しのいい職場環境でした。
Co: 「業界に対する先入観」ですね。常に「それって真実なのかな」と多角的に見るといいかもしれませんね。では牧山さんお願いします。
牧山さん:従業員数が多く、かつメーカーということもあり男性比率が高い会社なので、若い女性がどこまで活躍できるのかな、と少し不安に思っていた私にとってのギャップは2つありました。1つは女性がすごく働きやすい社風だということ。職場の先輩女性の多くはライフステージが変わっても働き続けていて、それは特別なことではなく当たり前の風景となっているので大丈夫だと思いました。2つめは、1年目から主担当で業務を任せてもらえたり、やりたい!と手を挙げれば任せてもらえたり、といういい意味でのギャップがありました。
Co:環境が良い、というお話ですが、牧山さんご自身も努力をされたんだと思います。具体例などを挙げていただけますか?
牧山さん:入社1年目で、内定者教育のメイン担当を任せてもらいました。自分が経験したことや考えたことを企画にのせて内定者に発信するなど、自分の強みを発揮できたと思います。
Co:牧山さんは、ご自身の中に積み上げてきた経験などを人に伝えていく力があるのだな、と感じました。続いて唐澤さんお願いします。
唐澤さん:システム業界は残業が多いイメージがありましたが、リリース前など特別な時を除き、普段残業はありません。残業が少ない会社だと聞いていましたが、入社してそれが本当だったのでびっくりしました。またIT系はインドアなイメージがあったのですが、仕事帰りにサウナへ行くなどアクティブな人も多いな、という発見もありました。
Co: 唐澤さんは現在1年目、去年はまだ学生さんでしたよね。入社前にはどれくらいの残業があるとイメージされていたんですか?
唐澤さん:入社前は月に40時間くらい残業があるのでは、と想像していましたが、実際は月に数時間あるかないか、でした。
Q3. 仕事のやりがいと今後のキャリアビジョンについてお聞かせください。
柴田さん:現在は社内のシステム業務を担当していますので、さまざまな部署の方から依頼を受けます。例えば通常1ヶ月かかるところを納期が短縮できると感謝されたり、社内で直接お礼を言われたりするので、やりがいにつながっています。今後は、勉強してどんどん専門知識を増やして実践に活かしていくことと、FAXなど紙の文化をなくしてペーパーレスを目指していきます。
牧山さん:私の顧客は新入社員や内定者の方々です。イベントを開催した時に参加者からの感想やアンケート等で「楽しかった」という声や意見をいただくと、次の企画に反映してより良くするためのモチベーションになります。今後は、人事業務に必要な知識をもっともっと増やしていきたいですし、人前で話す講師としての経験を重ねていき、人事のスペシャリストを目指したいです。
唐澤さん:現在はプログラミング業務でわからない箇所は先輩に聞くなどして進めています。自分が作ったプログラムが完成して画面上で動いている様子が目の前で確認できるので、「出来上がった!」という達成感があります。今後は設計書に基づきイチから作り上げる案件に取り組んでいきたいです。
第2部 <交流タイム>
ここからは交流タイムです。3つのテーマについて学生同士で話し合い、パネリストの方々と意見交換をしました。
【テーマ1】どのような企業に魅力を感じますか?
Co:「社会貢献度が高い企業」という意見が出ました。SDGsへの取り組みをしている企業やESG経営、健康経営、など自分が大切にしたいキーワードを意識して企業選びをする、というのもいい考えですね。
【テーマ2】 製造業界・システム業界・卸売業界のイメージと、今日の話を聞いて感じたことや考えが変わったことはありましたか?
Co:「システム業界は縁がないと思っていたけれど、唐澤さんの話で、専門知識ゼロでも入社後に頑張れば結果がついてくるのかな、可能性はゼロじゃないんだなと思いました。」という意見が出ました。「パネリスト3名の話に共通していたのが‘勉強’というキーワードです。社会人になってもずっと勉強は続いていくんだな、と思いました。」など、具体的な気づきが寄せられました。
【テーマ3】 皆さんはどこで働きたいですか?その理由は?
Co:「地元、愛知県外、まだわからない、の3択でそれぞれ心の中でお答えください」と参加者の学生さんに声がけをしたところ、最初の「地元」を考えている様子が伝わり、地元志向であることが伺えます。エリア限定もいいけれど、私はキャリアの専門家として、学生の皆さんには「自分らしさを大事にしてくださいね」とエールを送りたいと思います。
Co:パネリストの皆さん3名とも、たまたま愛知出身で愛知県の企業に就職されていますので、ここでお一人ずつその理由を伺ってみましょう。
柴田さん:何より家族や友人との距離が近いことで、親孝行できたり、友達とも遊びに行けたりするということ。また愛知県に生まれたからには愛知県、ものづくりの本場で働きたい、社会貢献したい、愛知県に恩返しできると思ったからです。
牧山さん:ワークライフバランスを大切にしたいと思ったからです。実家が近いと将来家庭を持ったり子供が生まれたりしても、育児も仕事も全力で打ち込めるのでは、と考えています。
唐澤さん:私は仕事を覚えながらの一人暮らしは大変だと思ったので、実家から通えるところで仕事を探しました。
Co:なるほど、主に「気持ちよく社会人1年目を過ごすために」ということですね。皆さんありがとうございました。以上でパネルディスカッションと交流タイムを終了します。
最後に皆様から「就職活動を行う学生へのエール」というテーマでメッセージをいただきました。
<(株)カノークス>
柴田さん:今日参加されている学生の皆さんとともに、これからの女性活躍を後押ししていきたいな、と改めて思いました。
伊藤さん:カノークスは、主体的に考えて動ける方を求めています。私自身、高校生の子供がいますので、学生の皆さんの親の気持ちでアドバイスを送りたいと思います。さまざまな業界を先入観なく見渡してみて、ご自身の軸で企業選びをしていだけたらと思います。
<日本特殊陶業(株)>
牧山さん:就職活動に正解はありません。自分と向き合い、自分の気持ちを大切にしてください。
西本さん:日本特殊陶業は、自律的で創造的な方を求めています。ぜひ学生の皆さんは「自律」をキーワードとして、就活に活用いただくことをおすすめします。私の子供は大学生なので、皆さんと同世代です。どうか幸せな人生選択をしてください。
<(株)ピコ・ナレッジ>
唐澤さん:就活をしていると、さまざまな企業に目移りすると思います。そうならないためには、まず自分で準備をして、自分なりの軸や譲れないポイントをもって就活に臨んでみてください。
小野さん:ピコ・ナレッジでは、入社後もナレッジ教育を推進しているので専門知識がない方も安心して挑戦していただけます。弊社では「趣味」などプライベートの部分も大切にしています。プライベートの充実が仕事へのモチベーションに繋がることもあると考えているからです。
皆様から貴重なアドバイスをいただきました。学生の皆さんには感じたことを大切に持ち帰り、ぜひご自身の将来選択に生かしていただければと思います。
閉会に先立ち、愛知県立大学の古川 真也 理事長からもお言葉をいただきました。
「10年後20年後、管理職に就く女性は今よりもっと増えてますます活躍していくと思います。次の舞台はあなたたちです。『日本は女性が…』という言葉に惑わされるのではなく、自分の枠を縮めず目線を上げて、チャレンジしていただきたいと思います。ぜひ頑張ってください」。
〜ご参加ありがとうございました〜