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農業水産局農政部園芸農産課の事業内容
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(愛知産の農産物について詳しく紹介しています。)
1 野菜の振興対策について
本県の野菜生産は、恵まれた自然条件・社会条件により、秋冬期の露地野菜や施設野菜を中心として古くから主産地が形成され、2023年の産出額は1,083億円と全国5位の地位にある。
しかし、野菜生産は天候による作柄変動が大きい上、農業従事者の高齢化と後継者不足に伴う担い手の減少、生産資材の価格上昇等多くの課題を抱えている。
このため、野菜の生産振興に当たっては、野菜生産出荷安定法に基づく野菜指定産地(31産地)を中心に、生産出荷用機械・施設の整備・近代化を促進するとともに、産地の濃密指導を通じ、育成強化を図る。
また、優良種苗導入の推進を図る。
年産 区分 |
2010年 |
2015年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
---|---|---|---|---|---|---|
作付面積※ |
17,730 |
16,888 |
14,115 |
14,066 |
13,925 |
13,795 |
産出額 |
1,114 |
1,012 |
1,011 |
1,031 |
1,119 |
1,083 |
※2020年~2023年の作付面積は、野菜生産出荷統計で公表された41品目の数字。
(注)かんしょ、ばれいしょを除く。
(1) 野菜産地育成対策
野菜指定産地における安定的な生産出荷を推進するとともに、生産性の向上、流通の近代化を図るための産地の濃密指導を行う。
野菜指定産地数
- 本県 11品目、 31産地
- 全国 14品目、 867産地
品 目 |
産地数 |
品 目 |
産地数 |
品 目 |
産地数 |
---|---|---|---|---|---|
キャベツ きゅうり だいこん たまねぎ トマト |
7 1 2 2 4 |
なす にんじん ねぎ はくさい ほうれんそう |
4 2 1 5 1 |
レタス |
2 |
合 計 |
31 |
(2024年8月2日現在)
2 野菜の価格安定対策について
野菜の生産は天候の影響を受けやすいため需給の不均衡を生じやすく、価格変動も大きいことから、野菜作農家の経営あるいは国民の消費生活を安定させることが求められている。
野菜の価格安定を図るためには、野菜の生産・流通の合理化を推進するとともに、需要に見合った計画的・安定的な生産出荷を図ることが基本である。
このため、野菜の価格が著しく低落した場合、野菜生産出荷安定法に基づき、生産者に価格差補給金を交付し、次期作の再生産の確保と野菜作農家の経営安定を図る。
事業名 |
事業主体 |
対象野菜 (本県関係分) |
対象産地 |
対象数量 |
資金造成額 |
---|---|---|---|---|---|
野菜生産出荷安定事業 |
(公社)愛知県園芸振興基金協会 |
春キャベツ 始め14種別 |
野菜指定産地 |
トン 127,929 |
千円 5,851,390 |
特定野菜等価格差補給事業 |
(公社)愛知県園芸振興基金協会 |
春キャベツ 始め18種別 |
野菜指定産地に準じる集団産地 |
16,850.5 |
942,565 |
契約野菜安定供給事業 |
(公社)愛知県園芸振興基金協会 |
春キャベツ 始め4種別 |
野菜指定産地 |
383.7 |
57,259 |
(2024年4月1日現在)
3 あいち型産地パワーアップ事業
(1) 趣旨
本県農業の生産力の強化を図るため、国の補助制度を補完する県独自の補助制度である。
意欲があっても国の補助制度の活用が困難であった産地・農業者の施設等の整備を支援する。
(2) 事業の概要
ア 事業推進主体
地域農業再生協議会
イ 取組主体
農業者、農業者の組織する団体等
ウ 対象品目
「産地戦略」を策定した品目(飼料作物含む)
エ 主な補助対象(補助率1/3以内)
・栽培施設・共同利用施設の整備、機能向上を伴う改修
・複数年効果を発揮する生産資材(防風ネット等)の導入
・高性能な農業機械(トラクター、野菜収穫機等)の導入
・果樹の改植・新植
(3) 主な要件
- 産地の計画
産地戦略:産地の10年後を見通した上で、5年間の対策を定めた戦略 - 産地の要件
面積:露地3ha、施設1ha
農業従事者:3人以上 - 申請事業費
原則300万円以上
取組主体ごとに上限5,000万円 - 補助金額
事業実施計画ごとに上限3,000万円 - 目標
取組主体の事業単位で生産性10%以上向上
(4) スケジュール
時期 | 内容 |
---|---|
前年度4月から5月 | 要望調査 |
3月 | 採択・計画承認申請 |
当年度4月 | 計画承認・交付内示 |
5月から2月 | 事業開始・完了 |
(5) その他
事業要望があれば市町村農政部署にお問合せください。
4 施設園芸の振興について
本県では、温暖な気候と恵まれた立地条件により、古くから施設園芸産地が形成され、全国でも有数の施設園芸地帯となっている。しかし、施設の老朽化や担い手の減少から、園芸用施設の設置面積は2003年をピークに減少傾向にあり、2022年調査では2,533haとなっている。
このため、施設の再整備や環境制御技術の導入などにより生産性の向上を図り、施設園芸産地の競争力を強化する。
年産 区分 |
2010年 |
2012年 |
2014年 |
2016年 |
2018年 |
2020年 |
2022年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ガラス室 |
699 |
664 |
598 |
604 |
589 |
578 |
561 |
ハウス室 |
2,402 |
2,286 |
2,093 |
2,155 |
2,077 |
1,998 |
1,938 |
園芸用施設計 |
3,101 |
2,950 |
2,691 |
2,759 |
2,666 |
2,576 |
2,533 |
5 果樹の振興対策について
永年性作物である果樹は、短期間のうちに需給の均衡を図ることが困難であるため、その振興に当たっては計画的な推進が必要である。
このため、国の果樹農業振興基本方針及び愛知県果樹農業振興計画に基づき、需要動向に即した果樹生産の計画的かつ安定的拡大並びに産地体制の再編強化等を図ることとし、果樹産地整備やみかんの計画生産出荷促進等の果樹農業振興対策を総合的に講ずる。
年産 区分 |
2010年 |
2015年 |
2019年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
栽培面積 |
5,230 |
4,960 |
4,480 |
4,335 |
4,211 |
4,098 |
ー |
産出額 |
178 |
189 |
190 |
195 |
192 |
183 |
177 |
6 花きの振興対策について
本県の花き園芸は、わが国経済の著しい発展と生活文化の向上に伴う需要の伸びを背景として大きく発展してきた。
2023年には、施設花きを主体に栽培面積1,951ヘクタール、産出額563億円となり、全国産出額の16.0%を占め、1962年以来62年間連続して全国第1位の生産県となっている。
しかしながら、近年の花きを巡る情勢は、需要の低迷、輸入切花の増加などにより厳しい状況が続いている。一方、市場の大型化が進み、消費は多様化の傾向にあるなど、花きの流通及び販売情勢も変化してきている。
このため、多様なニーズや流通事情の変化に対応した生産出荷体制の整備・改善、生産者組織の強化、生産性・品質向上対策の推進、需要拡大対策の推進など、総合的な花き振興対策を講じ、花き生産農家の経営安定を図る。
年産 区分 |
2010年 |
2015年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
栽培面積 |
切花類 |
1,600 |
1,531 |
1,535 |
1,533 |
1,563 |
1,544 |
鉢物類 |
362 |
346 |
306 |
303 |
312 |
309 |
|
花壇用苗物 |
126 |
131 |
98 |
103 |
103 |
98 |
|
合計 |
2,088 |
2,008 |
1,939 |
1,939 |
1,978 |
1,951 |
|
産出額 |
533 |
576 |
497 |
542 |
573 |
563 |
(1) 花き総合振興対策の推進
愛知県花き振興計画に基づき、花きの生産から消費の各段階の強化対策を推進するとともに、生産出荷事情に関する調査研究を行い、本県花きの総合的な振興を図る。
(2) 花の展覧会等の開催
花きの生産改善と品質向上及び需要の拡大を図るため、「あいち花マルシェ」、「関東東海花の展覧会」等を開催し、花き園芸の振興に資する。
(3) 花のある暮らしづくりの推進
市町村、学校、関係団体、県民等と連携し、花の王国あいち需要拡大推進事業やフラワー・ブラボー・コンクール、花のまちづくりコンクール、本庁舎での花装飾などを通して、花を利用した美しく潤いのある暮らしや街づくり、新たな花贈り文化としてのフラワーバレンタイン、子どもを対象とした花育活動を推進し、花いっぱい県民運動につなげ、花きの需要拡大を図る。
7 米の生産調整と経営所得安定対策について
国民の主食である米は、1966年以降、生産量が需要量を上回るようになり生産過剰が恒常化してきた。この結果、政府米の 在庫が急増し財政負担が大きくなったため、農林水産省は1971年度から生産調整対策を開始したが、米の生産性の向上と消費減退により生産調整規模は年々拡大した。
2013年12月に「農林水産業・地域の活力創造プラン」が決定され、米政策については、生産数量目標の公的配分を廃止し、経営所得安定対策は産業政策として経営感覚あふれる農業経営体の育成と、農業経営体が自らの経営判断に基づき作物を選択できる環境の整備を図り、農業の構造改革を進め成長産業とする方向性が示された。
<米政策及び経営所得安定対策等の変更>
- 2018年産から行政による生産数量目標の配分を廃止し、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行えるよう生産数量目標(生産してもよい米の数量)の目安を提供。
- ゲタ対策(畑作物の直接支払交付金)、ナラシ対策(米・畑作物の収入減少影響緩和対策)については、2015年度から対象者を担い手(認定農業者、集落営農、認定新規就農者)に限定。
- 水田活用の直接支払交付金は、飼料用米、米粉用米に数量払いを導入。産地交付金は、2016年度から2回に分けて配分、2017年度から二毛作助成と耕畜連携助成を産地交付金化。
- 米の直接支払交付金は、2014年度から交付単価を減額し2018年度に廃止。
本県の2025年産米の生産数量目標の目安は、132,464トン(面積換算値26,532ヘクタール)とし、経営所得安定対策等の普及・定着と円滑な実施を図るため、市町村、愛知県農業再生協議会(愛知県、愛知県農業協同組合中央会、愛知県経済農業協同組合連合会、一般社団法人愛知県農業会議、公益財団法人愛知県農業振興基金で構成)及び各地域農業再生協議会に対して推進事務経費を助成する。
○ 水田農業経営所得安定対策推進費補助金
対 象
愛知県農業再生協議会、53市町村(地域再生協議会(38)へは市町村経由)
内 容
県協議会が行う経営所得安定対策等の推進に要する経費、市町村及び地域農業再生協議会が行う同制度の普及推進や運用に係る事務経費等に対する助成
負担割合
定 額
交付金名 |
対象者等 |
交付単価等 |
---|---|---|
水田活用の直接支払交付金 |
販売農家、集落営農 |
麦・大豆・飼料作物:3.5万円/10a 米粉用米・飼料用米(多収品種):8.0万円/10aを基準に数量払5.5~10.5万円/10a 加工用米:2.0万円/10a |
畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策) |
認定農業者、集落営農、認定新規就農者 |
数量払と面積払 【小麦(パン・中華麺用品種)】 【小麦(パン・中華麺用品種以外)】 【大豆】 |
米・畑作物の収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策) |
認定農業者、集落営農、認定新規就農者 |
米・麦・大豆の販売収入の合計が標準的収入額を下回った場合に、その差額の9割を国からの交付金と農業者の積立金(農業者1:国3)で補てん。 |
8 稲・麦・大豆の振興対策について
本県における水稲の作付けは、米の生産性の向上と消費減退に伴う生産調整の拡大、水田のかい廃等により減少し、2024年は26,200ヘクタールとなった。
近年、消費者の良質米志向が強くなるとともに、米の供給過剰(在庫の増加)傾向に加えコロナ禍による消費の減退により米価の低下が続いていたが、2023年度には高温による品質低下やイネカメムシなど斑点米カメムシ類の被害等により作況が低下して流通量が減少した。
また、コロナ禍が明け経済活動が活発になったことで米の消費量が回復したことに加え、インバウンドの増加が米の消費をさらに後押していたところに「南海トラフ地震臨時情報の発表」や「台風の接近」による一般家庭での備蓄需要が急増したことから需要が高まり在庫量が減少して米価の高騰が起こった。
これらに対応するため本県としては品質向上と需要に応じた米生産となるよう優良品種の育成と高品質米の生産、並びに需要に応じた作付面積の実現に向け、農業団体と一体となって「愛知県産米」の評価を高める取組を進めるとともに、本県稲作の生産性の向上と体質強化を積極的に推進する。
年産 区分 |
2010年 |
2015年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
作付面積(ha) |
31,000 |
28,100 |
27,400 |
26,400 |
25,900 |
25,800 |
26,200 |
生 産 量(t) |
154,100 |
141,300 |
134,300 |
130,900 |
130,800 |
123,800 |
130,200 |
小麦については、低収益性、田植えの早期化等により1977年には339ヘクタールまで作付けが減少したが、米の生産調整対策における転作作物として奨励されたことなどから増加傾向に転じ2003年には6,240ヘクタールとなった。
その後、小麦の不適作地の一部が新規需要米に置き換わったことなどから若干減少したが、2010年以降徐々に増加し、2024年は6,100ヘクタールとなっている。
本県で開発した日本麺用小麦品種「きぬあかり」は、2016年には4,500ヘクタールを超えて作付され、2023年では4,800ヘクタールに達し、需要に対して供給過剰になっている。
一方で、パン・中華麵用品種「ゆめあかり」は需要より生産量が少ない状況であることからこの2品種について実需者ニーズに即した高品質で安定的な生産を進めるとともに、引き続き担い手への農地の利用集積や農作業受委託の推進により集団化を進め、生産性の向上を図る。
年産 区分 |
2010年 |
2015年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
作付面積(ha) |
5,180 |
5,580 |
5,590 |
5,780 |
5,870 |
5,960 |
6,100 |
生 産 量(t) |
12,400 |
21,200 |
29,800 |
29,400 |
30,000 |
34,300 |
28,900 |
大豆については、生産性の低さや安価な輸入大豆の増加等により大幅な減少をたどり、2024年には1,540ヘクタールまで減少したが、稲-麦-大豆の2年3作体系の確立や県産大豆の需要増加により2020年には4,370ヘクタールとなり、以後横ばい状況で2023年では4,360ヘクタールとなっている。
今後の大豆の生産振興に当たっては、需要者ニーズに即した高品質大豆の生産拡大を図るとともに、引き続き担い手への農地の利用集積や農作業受委託の推進により集団化を進め、生産性の向上を図る。
年産 区分 |
2010年 |
2015年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
---|---|---|---|---|---|---|
作付面積(ha) |
4,220 |
4,470 |
4,370 |
4,470 |
4,490 |
4,360 |
生 産 量(t) |
6,790 |
5,950 |
4,810 |
6,170 |
6,060 |
5,140 |
〇 生産総合対策事業費補助金
需要の動向に即した米・麦・大豆の安定生産に不可欠な優良種子の安定供給を図る。
また、売れる米・麦・大豆の生産振興を図るための取組に対して助成を行う。
事業主体
愛知県米麦振興協会
事業内容
種子対策事業、生産対策事業
補助率
1/2以内
9 特用作物の振興対策について
(1) 茶・葉たばこの生産振興
本県における特用作物の中でも、茶・葉たばこの生産は、それぞれの地域で重要な農作物として農業経営に取り入れられ地域農業の中核となっているので、この栽培改善、品質向上及び生産出荷基盤の近代化・省力化を推進するとともに、組織の育成強化を図る。
年産 区分 |
2010年 |
2015年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
---|---|---|---|---|---|---|
作付面積(ha) |
518 |
363 |
330 |
318 |
298 |
253 |
生 産 量(t) |
780 |
776 |
577 |
597 |
559 |
517 |
年産 区分 |
2010年 |
2015年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
---|---|---|---|---|---|---|
作付面積(ha) |
144 |
90 |
54 |
50 |
18 |
18 |
生 産 量(t) |
259 |
197 |
112 |
104 |
39 |
41 |
(2) 関西茶業振興大会の開催
関西・東海地区の6府県で生産される茶の特徴を明らかにし、生産技術や品質向上を図るとともに、茶の国内外需要の増進、6府県の茶業振興、並びに日本茶業の発展に寄与することを目的とする。開催当番府県を6府県の持ち回りとしており、2024年度は愛知県において、県、関係市(西尾市、豊田市、新城市、豊橋市、田原市)等の共催により第76回関西茶業振興大会を下記のとおり開催した。
ア 品評会出品茶審査会
日程 2024年7月31日(水曜日)~8月2日(金曜日)(3日間)
会場 豊田市民文化会館
内容 普通煎茶、深蒸し煎茶、かぶせ茶、玉露、てん茶の5部門371点の出品茶審査及び擬賞会議
イ 入札販売会
日程 2024年9月5日(木曜日)(1日間)
会場 西三河農業協同組合本店
内容 品評会出品茶の入札販売
ウ 大会式典
日程 2024年11月16日(土曜日)(1日間)
会場 西三河農業協同組合事務センター
内容 品評会褒章授与式、茶業功労者表彰、茶業関連機資材展、出品茶展示
(3) 加工原料用農作物の生産振興
ア 漬物用原料野菜の生産振興
本県の漬物生産は原料野菜産地を背景に全国屈指の産地となっているので、原料産地の育成、契約栽培を推進するとともに、消費動向に即した加工技術の普及等を推進し、もって生産の安定を図る。
イ 加工用トマトの生産振興
契約栽培による安定的な取引の確保を図るため、加工業者のニーズに合わせた生産体制の整備に努める。