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悪質商法の被害に遭わないために!
~最近の相談・被害事例と対応方法~
悪質商法は、時代とともに次々と新しい手口が使われており、警察では多種多様な被害相談を受けています。
その中で、最近目立つ被害相談をご紹介するとともに、クーリング・オフや被害防止のための心構えなどについてご紹介します。
オーディション商法 ~被害相談多発中!ご注意を!~
オーディション商法の相談事例
アルバイト情報サイトで、「エキストラ・仮歌 1日2~3万円」などと書かれたアルバイト募集を見つけ応募したところ、面接の為に事務所に呼び出されました。
事務所に行くと、「出演者24人限定の、自主製作映画を製作する。今そのオーディションをやっているが受けてみないか。」とオーディションに誘われました。
オーディションを受けると、簡単な演技や歌を歌わされ、即日、合格を告げられました。
そして「映画に素人は出せないので、演技レッスンを受けてもらわなければいけない」などと言われ、高額な演技レッスンの受講契約をしてしまいました。
受講料金は高額で支払えないと言ったのですが、クレジットカードを契約させられ、クレジットカード決済で支払いをさせられました。
半年間の演技レッスンを終え、映画の撮影を心待ちにしていたのですが、1年経っても未だに映画の撮影がありません。
オーディション商法とは
オーディションに合格したと見せかけ、応募者に対して、高額なレッスン費用などの金銭を要求する商法です。
事例では、芸能関連アルバイトを名目に、顧客を集めていますが、必ずしもアルバイトを名目として顧客を集めているとは限りません。
無料のオーディションと称して顧客を集め、オーディション後、高額なレッスン受講契約を迫るケースも多く見受けられます。
対応方法について
勧誘目的を隠して営業所に誘引し、公衆の出入りしない営業所等で勧誘する行為は、特定商取引に関する法律で禁止されています。
その様な違法業者からの勧誘に対しては
- はっきりと断る。
- 家族や友人に相談すると言ってその場から立ち去る。
- 確認書などの書類に署名を求められても断る。
- 執拗に勧誘され、営業所等から出してもらえない場合は110番で助けを求める。
本件の事例に当てはまらない場合でも、よく分からないときは、自分一人で判断せず、その場で契約しないようにしましょう。
事例のように、一定の要件を満たす「訪問販売」の場合には、契約書などの書類を受け取ってから8日間はクーリングオフが可能です。
成年年齢の引き下げ
民法改正により、令和4年4月1日から、成年年齢が18歳へと引き下げられました。
民法では、未成年者が保護者等の後見人の同意なく契約を結んだ場合、原則として契約を取り消すことができると規定されており、未成年者を保護しています。
成年年齢の引き下げに伴い、これまで未成年として扱われた、18歳・19歳の方は成人として扱われることになり、自身の判断でクレジットカードや携帯電話等の契約を結ぶ事が出来るようになった反面、契約について自身で責任を負う必要が生じました。
これまでは、保護者等の後見人が後から気づいた契約トラブルの場合、原則として契約を取り消すことができたのに、現在は、有効な契約とみなされ取り消すことができません。
悪質業者は、社会経験の少ない18歳・19歳を騙しやすいターゲットとみており、言葉巧みに契約を迫ってきます。高額な契約や、良く分からない契約については、一人で判断することなく、家族や知人などに相談しましょう。
点検商法 ~被害相談多発中!ご注意を!~
点検商法の相談事例
自宅に、「近所で工事をするのであいさつに来た。」などと言って訪問してきた業者が、「瓦がずれている。」、「今日は特別に無料で見てあげる。」などと言って屋根にのぼり、「瓦が割れている。」、「漆喰が傷んでいる。」、「早く工事をしなければ雨漏りがする。」などと言われ、工事をするようにしつこく勧められたことから契約をしてしまいました。
ところが、後日別の工事業者にこの話をしたところ、「その話はおかしい。」と言われ、屋根にのぼって見てもらったところ、「傷んでいる箇所もなく、工事は必要ない。」と言われたため、キャンセルをしようとしたところ、「担当者が不在。」「後で折り返し電話する。」などと言われ、キャンセルできないうちに工事の作業員が家に来て工事をされてしまいました。
点検商法とは?
主として高齢者宅を、「瓦がずれているようだから見てあげる。」、「水道水を点検している。」、「布団にダニがいるかもしれない。」など点検を口実に訪れ、「早く工事をしないと雨漏りがして柱が腐ってしまう。」、「このような水を飲んでいては体に悪い。」、「病気になるかもしれない。」などと不安をあおり、不要な工事や商品を高額で契約させる商法です。
事例では「あいさつに来た。」と言って訪問しているように、必ずしも点検を名目として訪れるとは限りません。
対象商品(役務)は、住宅リフォーム(屋根瓦、床下乾燥機等)関連のほか、水道管の高圧洗浄、布団の打ち直しなどといった事例が多く見受けられます。
対応方法について
不要なものは、はっきりと断ることが大切ですが、よく分からないときは、自分一人で判断せず、その場で契約しないようにしましょう。
「家族と相談してから決める」、「知り合いの業者と相談する」などと答えることが被害防止になります。
契約書などの書類を受け取ってから8日間はクーリングオフが可能です。
訪問買取り(訪問購入)について ~クーリング・オフが可能に!~
訪問買取り(訪問購入)の相談事例
自宅にいたら、「ご近所で貴金属の買取り依頼がありましたので、ついでに、この地区を訪問しています。」、「ご不要なものありませんか。」と若い男性2人が訪れました。
私は、「うちには、買い取ってもらえるものなんかありませんよ。」と応えたのですが、男性らは、「何でも、いいんですよ。」「私たちが見てあげますよ。」と、ずかずかと勝手に家に入り込んできました。
そして、居間に座り込み、「古い指輪やネックレスがあるでしょ。」とすごむので怖くなって、早く帰ってもらいたい一心で、使っていない指輪を出そうとタンスの引き出しを開けると、男の一人が私の後ろから、勝手にタンスを開け始め、ネックレス2本と指輪1個を見つけると、「あるじゃない。」「これ、買い取るよ。」と一方的に契約書と2万円を置いて帰っていきました。
持っていかれたのは、昔、十数万円で購入し、大切にしていたものです。取り返すことはできませんか。
訪問購入とは?
物品の購入を業として営むものが、営業所以外の場所において、売買契約の申込みを受け、又は売買契約を締結して行う物品の購入を行うことを言います。
特定商取引に関する法律が改正され、平成25年2月より訪問購入についてもクーリング・オフが可能となりました。
クーリング・オフの期間(8日間)は、物品の引渡しを拒むことができます。
対応方法について
事例のような買取業者に対しては、
- 曖昧な返事はしない
- どこの業者の誰なのか、はっきり聞く
- 不用意に貴金属類を見せない
- 自宅に上がらせないよう注意する
クーリング・オフの期間(8日間)は、物品を渡さないことが被害防止に有効です。
また、クーリング・オフの期間内であれば、業者が持っていってしまった物品でも返還を求めることができます。
断ったにもかかわらず居座る場合には、110番通報してください。
クーリング・オフについて
クーリング・オフとは?
訪問販売などの不意打ち的な取引にかかる契約や複雑でリスクが高い取引にかかる契約では、定められた一定期間であれば無条件で、一方的に契約を解除できる制度です。
特定商取引法におけるクーリング・オフの取引内容と解除できる期間
取引の種別 |
期間 |
---|---|
訪問販売(キャッチセールス、アポイントセールス等を含む) |
8日間 |
電話勧誘販売 |
8日間 |
特定継続的役務提供 (エステ、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン、結婚相手紹介サービス、美容医療) |
8日間 |
連鎖販売取引(マルチ商法) |
20日間 |
業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法等) |
20日間 |
訪問購入(業者が各戸訪問により、商品の買取りを行うもの) |
8日間 |
注意事項!
訪問購入の場合、クーリング・オフ期間は、消費者(売主)は買取業者に対して売却商品の引渡しを拒むことができます。
この期間は、申込・契約書面のいずれかを受け取った日から起算します。(書面等に不備があったり、交付されていないときは、いつでもクーリング・オフできます。)
クーリング・オフの詳細が不明な場合は、お近くの消費生活センター等へご相談ください。
悪質商法撃退10か条
悪質商法の手口は、年々巧妙になってきており、こうした被害にかからないようにするには、皆さん一人ひとりがしっかりした心構えをもつことが最も大切です。
業者からの勧誘を受けたり、契約するときは、次の「悪質商法撃退10か条」を参考にしてください。
- 何の用? しっかり聞こう 身分と用件
- おかしいと 思ったときは ドア閉めて
- もうかります そんな言葉に ご用心
- あやしいぞ 人のフトコロ聞く 業者
- 勇気出し はっきり言おう いりません
- しつこいな そんな相手は 110番
- 迷ったら 一人で悩まず まず相談
- サインして あとでしまった もう遅い
- 契約は してもお金は 後払い
- あなたです! 自分の財産 守るのは
過去の相談事例
相談1
自宅に、身に覚えのないインターネット(アダルトサイト)利用料金の督促ハガキが来ました。どう対処したらいい?
身に覚えのない、利用料金の請求であれば、無視していただいて結構です。
実在しない債権回収業者、弁護士事務所、公的機関などを記載したものが送られ、支払わなければ裁判所に申し立てる旨が記載されたものが散見されます。
また、ハガキに記載された電話番号への連絡も慎重に判断してください。
悪質な業者は、あなたが電話をかけることにより、「あの時のことかもしれない。」等、あなたが不安に思っていることにつけ込み、個人情報を聞きだした上、高額な料金を請求してくるのです。
相談2
自宅に、「ご注文いただいた『健康食品』を送りました。」、「代金は〇〇〇〇円になります。」などと電話が入り、家族が頼んだものだと思って、代金引換でお金を払って受け取ってしまいましたが、家族に聞いても誰も注文していないことが分かったので、業者に電話をかけて返金してもらおうと思ったが、「担当が不在。」、「確認後連絡する。」と答えるばかりで返金に応じてもらえない。
身に覚えのない商品は受け取らないことが肝心です。通信販売で商品を購入した場合には、必ずご家族に話をしておくなど、ご家庭での決まり事を作っておくことが被害防止に有効です。
注文していない場合には、代金を支払う必要も自ら商品を送り返す必要もなく、直ちに処分することができます。
対象商品は健康食品のほか、生鮮魚介類などが目立ち、泣き寝入りしやすい数千円から3万円くらいの商品が送られてくる事例が見受けられます。
相談3
会社の工場に消火器点検保守の取引業者を装った業者が訪れ、居合わせた従業員に契約書面であることを伏せてサインさせ、責任者が了解していないのに消火器の薬剤の詰め替え作業を行って、高額な料金を請求された。
一般消費者と違い、事業者は特定商取引に関する法律で定められているクーリング・オフ制度の適用がないため、悪質な消火器点検業者は、会社、工場、学校、幼稚園、病院、スーパー、会社の寮などを専門に狙っています。
被害に遭わないためには、
- 従業員への周知徹底(特に、守衛、窓口)
- 防火管理者などの責任者が対応する
- 勝手に作業させない
- 納得いくまでサイン(押印)しない
- 消防設備士の資格の確認をする
などに心掛けてください。
相談4
学生時代の友人から連絡があり、久しぶりに会いました。すると、友人は「化粧品を友人に紹介するだけでマージンが貰え儲かる。」「いいお小遣いになる。」と話し、しつこく誘うので、根負けして、会員登録した後に20万円の化粧品セットをクレジットカード払いで買いました。その友人は、「20万円なんてすぐ稼げる。」と話しましたが、なかなか買ってくれる人を見付けられず、今後のクレジット返済が心配です。
これは、商品やサービスを契約して、次は自分がお客を探し、契約が取れるとマージンが入るマルチ商法と称される連鎖販売取引で、商売の素人である購入者が次の購入者を探して契約するため、トラブルが多いことが特徴です。
この商法も、特定商取引に関する法律でクーリング・オフが規定されており、契約書面を受領した日、又は商品を受け取った日から20日間は、無償で解約ができます。
友人などの身近な人からの誘いを断るのは難しいかもしれませんが、いらないものはいらないとはっきり断ることが大切です。
また、商品の販売経験がない者が行う契約ですので、トラブルが多く、人間関係を壊したり、ご自身が加害者となるケースもあるため、細心の注意が必要です。