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愛知県では、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状※に悩む県民の実態及び医療機関での外来対応の実態を把握することため、新型コロナウイルス感染症に係る罹患後症状(いわゆる後遺症)実態把握調査を実施しました。
この度、調査結果を取りまとめましたので、公表いたします。
※世界保健機関(WHO)では、「症状が少なくとも2か月以上続き、ほかの疾患による症状として説明がつかないもので、通常は新型コロナウイルス感染症の発症から3か月経った時点にもみられる」症状を罹患後症状(いわゆる後遺症)と定義しています。
(1)調査期間
2024年6月26日(水曜日)~7月26日(金曜日)
(2)調査方法
あいち電子申請・届出システムを用いたアンケート
(3)調査回答数
県民向け調査:3,037人
医療機関向け調査:509医療機関
【県民向け調査】
(1)後遺症の経験者
調査において、新型コロナウイルスに1回でも感染した経験があると回答された方のうち、約60%が後遺症を経験していると回答がありましたが、これは、後遺症実態調査として行ったため、後遺症がある方が回答する傾向が生じたものと推察されます。
また、男性より女性の方が後遺症を発症する割合が高い結果となりました。(図1)
(2)後遺症の症状の傾向
後遺症の症状は、「倦怠感」、「せき」、「のどの痛み・不快感・声がれ」、「味覚障害」の順番で多い状況でした。(図2)
既往歴・基礎疾患のうち、肥満(BMI30以上)は、後遺症を発症する割合が男女ともに高い結果となりました。(図3)
(3)後遺症の継続期間
後遺症の継続期間は、約半数の方が「2か月以上6か月未満」でしたが、1年以上継続する場合も約3割みられました。(図4)
(4)後遺症に対する不安や悩み
後遺症の経験者のうち、「体調の回復や健康面」との回答が約75%と最も多い結果となりました。(図5)
【医療機関向け調査】
(1)後遺症の対応状況
回答のあった509の医療機関のうち、後遺症対応医療機関として県Webページに掲載している医療機関は95機関、非掲載医療機関は414機関でした。非掲載医療機関のうち、175機関は後遺症患者に対する対応を行っていました。(図6)
(2)患者への対応内容
患者が来院した際の医療機関の対応は、「自院で対応する」医療機関が約58%で、その診療内容は、「症状に応じた薬物療法」(約48%)が最も多い状況でした。(図7)
(3)自院で対応できず、他の医療機関を紹介した理由
医療機関が自院で対応できず、他の医療機関を紹介した理由として、「対応できない症状であった」(約54%)と「他疾患との鑑別が必要であった」(約29%)が多い状況でした。(図8)
(4)後遺症の診療の課題
「診察や治療方法が確立されていない」(約87%)が最も多く、次いで、「社会での後遺症の理解が進んでいない」(約39%)が多い状況でした。(図9)
(1)後遺症に関する知見
後遺症の症状は、様々であり、病態については不明な点が多い状況です。
現在、後遺症の治療方法や研究が国内外で進められ、厚生労働省からも後遺症に関する診療の手引きが公開されていることから、県としては、これらの積極的な情報収集に努め、医療機関に十分な情報提供を行うことで、幅広く対応できる体制を整えていきます。
(2)後遺症の社会生活への影響
後遺症に対する不安や悩みとして最も多かったのが、「体調の回復や健康面」についてでした。
現在の後遺症相談窓口においても、症状や治療等に関する相談が多く見受けられることから、県としては、後遺症相談窓口における医療相談体制の強化を図っていきます。
※なお、調査結果については、「愛知県新型コロナウイルス感染症対策サイト」に掲載しています。
愛知県保健医療局感染症対策課 感染症・体制整備グループ
TEL:052-954-7490