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愛知県と公益財団法人科学技術交流財団(豊田市)では、産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(※1)IV期」を2022年度から実施しています。この度、「プロジェクトCore Industry ※2」の「人工シデロフォア技術を用いた大腸菌群検出技術・装置の開発※3」の研究リーダーの名古屋工業大学の猪股智彦(いのまたともひこ)教授及び事業化リーダーの株式会社槌屋(つちや)大原鉱一(おおはらこういち)代表取締役社長等が、研究成果の報告のため知事を訪問しますので、お知らせします。
1 日時
2025年2月14日(金曜日)午後1時40分から午後1時55分まで
2 場所
愛知県公館
3 訪問者(敬称略)
団体名等 | 役 職 | 氏名 |
国立大学法人名古屋工業大学 | 教授 | 猪股 智彦(いのまた ともひこ) |
株式会社槌屋 | 代表取締役社長 | 大原 鉱一(おおはら こういち) |
株式会社槌屋 | 常務執行役員 | 林 宏明(はやし ひろあき) |
公益財団法人科学技術交流財団 | 専務理事兼事務局長 | 加藤 淳二(かとう じゅんじ) |
4 次第
(1)研究成果報告
大腸菌群検査技術・装置の位置付け、原理等を紹介するとともに、装置の使用法等に関して試作機を用いて説明します。
(2)知事からの感想
(3)意見交換
(4)記念撮影
5 研究成果
食品衛生法の改正に伴い、全ての食品製造事業者に国際基準の衛生管理であるHACCP(ハサップ)※4、またはその考えを取り入れた衛生管理が全ての食品等事業者に適用されることになりました。そのため大腸菌群の迅速・簡便・安価な検査技術に関する市場ニーズが高まっていますが、現状では菌の培養操作が必要なく、かつ異なる複数の大腸菌を含む大腸菌群をまとめて検出する技術は確立されていません。
本プロジェクトでは、シデロフォアと呼ばれる微生物が産出する小分子の機能(ほとんどの微生物にとって必須である鉄イオンの捕捉・取込)を模擬した人工シデロフォアを電極表面に修飾し、それを餌として大腸菌群を選択的に吸着させ(図1)、その吸着量を電極の抵抗変化によって測定する技術を確立するとともに、その技術をコンパクトに入れ込んだ大腸菌群検査装置の試作機を開発しました(図2)。本試作機をベースとした製品は今後、広く食品関連企業に導入され、食の安全に大きく貢献することが期待されます。
図1 人工シデロフォア修飾電極による選択的微生物固定化技術
図2 人工シデロフォア技術による大腸菌群検出装置(試作機)
6 用語説明等
※1 知の拠点あいち重点研究プロジェクト
付加価値の高いモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に大学等の研究シーズを活用したオープンイノベーションにより、県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新たなサービスの提供を目指す産学行政の共同研究開発プロジェクト。2011年度から2015年度まで「重点研究プロジェクト1期」、2016年度から2018年度まで「重点研究プロジェクト2期」、2019年度から2021年度まで「重点研究プロジェクト3期」を実施し、2022年8月から「重点研究プロジェクト4期」を実施。
「重点研究プロジェクトIV期」の概要
実施期間 |
2022年度から2024年度まで |
参画機関 |
16大学 7研究開発機関等 88社(うち中小企業59社)(2024 年12月時点) |
プロジェクト名 |
・プロジェクトCore Industry |
※2 プロジェクトCore Industry
研究テーマ |
【研究開発分野】自動車・航空宇宙等機械システム(ハード) C1 スマートファクトリーの完全ワイヤレス化に向けた非接触電力伝送 【研究開発分野】高効率加工・3Dプリンティング C3 金属3D造形技術CF-HMの進化による航空機部品製造用大型ジグの革新 【研究開発分野】次世代材料・分析評価 C5 塗膜/外用剤の次世代分子デザインに向けた3次元可視化法の確立 |
参画機関 |
7大学 3研究開発機関等 35社(うち中小企業22社)(2024年12月時点) |
※3 人工シデロフォア技術を用いた大腸菌群検出技術・装置の開発
研究リーダー |
名古屋工業大学 教授 猪股 智彦 氏 |
事業化リーダー |
株式会社槌屋 池田 幸治 (いけだ こうじ) 氏 |
内容
|
大腸菌群の餌となる天然のシデロフォア分子と同様の機能を有する人工シデロフォア分子の合成・修飾技術を利用し、選択的に大腸菌群の迅速検査が可能な技術および装置を開発した。 |
参加機関 |
〔企業〕 〔大学〕 〔公的研究機関〕 |
○印は今回訪問する企業等
※4 HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)
食品等事業者自らが、食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を把握した上で、それらを除去又は低減させるため、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法。
愛知県経済産業局産業部産業科学技術課
科学技術グループ
担当:加藤、山本、松崎
電話:052-954-6351
メール:san-kagi@pref.aichi.lg.jp