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2020年度 第2回食と緑の基本計画推進会議 結果概要
日時
2020年11月24日(火曜日)午後1時30分から午後2時50分まで
場所
愛知県庁 本庁舎6階 正庁
出席者数
構成員10名
会議の様子
座長 名古屋大学大学院生命農学研究科 徳田教授
協議事項
「食と緑の基本計画2025」の策定について
構成員からの主な発言
愛知県農業協同組合中央会 営農・くらし支援部 村上部長
- まず始めに、生産者団体の意見を汲み上げた基本計画を作成いただいたことに感謝申し上げる。
- 2点申し上げたい。1点目としては、数値目標の農業産出額3,150億円についてである。豚熱や新型コロナウイルスのダメージから回復し、3,150億円レベルまで生産を回復するという目標を掲げていただいた。目標達成には必要な農家数や農地面積を整理することや、品目別、地域別にも整理することが大事だと思っている。ブレークダウンした計画を作っていただいて、その計画単位でいろいろなPDCAを回していっていただいて、目標の実現に向けて取り組んでいただきたい。また、地域別の取組を進めるため市町村行政や農業関係者と目標を共有した推進体制を構築し、取組を進めていただきたい。
- 2点目は、前回でも申し上げた食農教育、農業体験学習についてである。資料1にも記載されているが、県においては、小学校向けに「食育のための農林水産業体験学習実践マニュアル」を策定され、それを配布されており、県下でそれぞれ取組が進められているが、実際にはうまく活用されている地域もあれば、そうでない地域もあり温度差を感じている。より学校側に活用してもらって、農業体験学習や食農教育が進むように、県教育委員会、市町村教育委員会との連携を強化しつつ、学校側のニーズをうまく受けとめられるような体制を作っていくことが大切と考えている。
愛知県農業経営士協会 加藤副会長
- 私からは3点お願いをしたい。花の王国あいちのPRについては、引き続き取り組んで欲しいと思っている。この運動のシンボルマークについては、愛知が日本一の花の産地であることを皆さんに知っていただくために作成したものと聞いている。我々生産者は県に届け出ることでシンボルマークを自由に使うことができると聞いているが、実際には、そのことを知らない生産者がほとんどと思っている。このことを県内の生産者に呼び掛けていただき、シンボルマークをラベルやポップなどにして生産物に付けて出荷する運動を進めていただいてはどうかと思っている。私の地元である蟹江町には、「かに丸くん」というキャラクターがあり、町の許諾を得てラベルに使用している。地元の町長が東京に出張した折に、東京の花屋でブーゲンビレアを見つけ、そこに「かに丸くん」のラベルがついているということで、町長が私の所に「加藤さんの花が売られている」と電話をかけてくれたことがある。このように、蟹江町の商品が東京で売られていることをラベルを通じて知ることができる。愛知県の花きは日本全国に流通していると思うが、花の王国あいちのシンボルマークがついていれば、これは愛知県の花だと分かるわけなので、ぜひ取組を進めて欲しい。
- 2点目は担い手についてだが、農業大学校の学生を私も研修で受け入れている。その学生は非農家出身であったが、将来的には農業関係の仕事、あるいは就農も考えたいと言っていた。しかし、非農家ということで基盤を持たない新規参入者であるので、就農には土地の確保や生産施設の整備など、大変ハードルが高いと思う。県や市町村、JAなどが連携し、農業をやりたい人がスムーズに就農できるよう、そして、高齢になり、後継者もいない農業者の施設が空き始めているので、農業をやりたい人と農業を辞めて空き施設を貸したい人のマッチングを含めて、しっかりと支援をして欲しい。
- 3点目だが、温暖化が農業生産に及ぼす影響が年々深刻になってきている。今年も、8月に暑い期間が続き、高温障害等で農作物の品質が落ちるといった事態が発生している。米などでは既に研究がかなり進んでいると聞いているが、様々な品目で影響が出始めているので、しっかりと県として対策をお願いしたい。
公益財団法人愛知県農業振興基金 鈴木理事長
- 先回の会議でも関連の発言をしたが、農業関係の主要な目標を、現行計画における付加価値の全国シェアという、他県と比べての相対的な目標ではなく、頑張れば手の届く感のある農業産出額としたことは、本県でも始まる人口減少と、終息時期が不透明なコロナ禍、さらに、農業分野においても豚熱からの回復、コロナのダメージという、これまで経験したことのない逆境の中で策定される基本計画としては妥当であって、率直に評価できると考えている。また、各プロジェクトや主な取組についても、具体的な内容が簡潔に記してあり、より分かりやすくなったと考えている。
- その中で、今回の基本計画の核ともいえるコロナ禍克服のための緊急プロジェクトには、経営転換とかリスク分散、あるいは業務用需要、労働力不足や新しい生活様式への対応など、いずれも極めて重要な取組が掲げられている。これらの取組については、コロナによるニーズの変化をしっかりと見極めながらすぐにでも着手し、生産者を始めとする本県の農業関係者が希望を見出すことのできる具体な成果を、早急に出していただきたい。
- ただし、こうしたプロジェクトや取組が成果を出すためには、相応の予算が必要になる。コロナ禍により県の税収が減る一方で、県行政として広い分野のコロナ対策に多額の予算を割かなくてはならない状況であることは承知しているが、食を支え地域を守る農業も衰退させてはならない極めて重要な産業である。まずはしっかりと必要な予算を確保するように努めていただきたい。その上で、このような時こそ、県の主導の下で、推進会議を構成する関係機関・団体等が協働・連携し、基本計画がめざす姿の実現に向けて取り組んでいくことが重要である。当基金としても、助成事業や農地中間管理事業の推進を通じて、微力ではあるが努力したいと考えている。
愛知県土地改良事業団体連合会 竹下事務局長
- 7月28日開催の第1回基本計画推進会議以降、限られた時間のなかで、前回には無かったコロナ禍の対応も含め、とりまとめいただき感謝申し上げる。また、私どもが関連する農業生産基盤の整備等に関する事項については、地域の農業とともに地域住民の生活環境を守る防災減災に関すること、安定的な農業を推進していくための農業基盤の整備に関することなどが、10ページからの「第3章 施策体系と主な取組」、あるいは36ページ以降の「第4章 プロジェクト」内の取組事項にしっかりと折り込められたことにまずもって、御礼申し上げる。そのなかで、1点指標の設定に関するところで要望したい。
- 54ページの柱2農林水産の恵みを共有する社会の実現の(2)災害に強く安全で快適な環境の確保の㉒、㉓のところで、農業用ため池や農業用排水機場の耐震整備に関する指標が挙げられているが、農業用ため池、これは、防災重点農業用ため池を言っているのかと思うが、ため池や排水機場はひとつひとつの施設とみることができる。そのため、進捗管理をする際には、防災減災の面積に加えて個数、施設数でも整理した方が、より分かりやすいと考える。愛知県内には、防災重点農業用ため池は1,144あり、そのうち未整備や診断未了のものが合わせて632あると聞いている。また、排水機場に関しては、基幹的排水機場230箇所のうち、建設後30年以上経過しているものが62もあると聞いている。これらを対象に、毎年何箇所ずつ取り組んでいくかということも含めて整理した方がより分かりやすいと思う。
- また、基本計画のページ番号の書体が違っているところがあるので、最終的には揃えるようにしていただきたい。
トヨタ自動車株式会社アグリバイオ事業部農業支援室 灘波主査
- 前回申し上げた意見を計画に反映していただき感謝する。これにより計画が分かりやすくなったかなと思っている。
- 計画はここまでまとまってきて、次はこれを実行していかなくてはならない。実行するためのデータについては“今を知る”ということが大事で、当社の活動でも同じだが、直近の現状をつかむためには新しいデータが必要で、最新のデータを生かしていく体制を整えることが大事である。私どもも業務上で農林水産省等のデータを使うことがあるが、古いデータもあり困ることがある。そういった場合でも国が出しているから当たり前だ、とは思わずに、例えば今回の計画でも農業産出額、この根拠の3,115億円は2014年から2018年の平均とあるが、2年前では遅いのではないかと思ってしまう。やはり直近がどうか、今だとコロナがどんな影響を及ぼしているかということも含めて考えることが大切かと思うので、極力新しいデータを用いることを意識していただきながら、今後の進捗管理等を行っていただき、PDCAを上手く回して欲しい。
愛知県森林組合連合会 前田代表理事専務
- 前回、7月に開催された会議では、林業における現状と課題、それに基づく要望について述べさせていただいた。今回示された基本計画案には、その際に述べた、「都市部での木材利用推進」、「林業労働力対策と林業現場での労働災害対策」、「林業の競争力強化や作業の効率化に資するスマート林業」について、施策体系の柱や重点プロジェクトに位置づけていただき、ありがたく感じている。森林組合系統も、これらについて、県と一緒になって取り組んでいきたいと考えているので、よろしく願いしたい。
- 加えて一点申し上げたいのは、林道を始めとする道の整備の重要性についてである。スマート林業などICTの最新のツールを生かすにしても、最終的には林業の採算性が課題となり、それには道からの距離が大きな要因となる。従来からの地道な方法ではあるが、採算性を高めるには、新しい林道や作業道を開設、整備して林内路網密度を上げる事が不可欠と考えている。従って林道を始めとする林内路網整備のスピードアップと、より使いやすい道としての質的向上のために、林道に携わる人の確保と予算の拡充に取り組んでいいただけたらと思う。
愛知県農村生活アドバイザー協会 山内会長
- 私たちは、コロナ禍により農業経営に大きな打撃を受けた。私たち農村生活アドバイザーで組織する愛知県農村生活アドバイザー田原支部では、ポストコロナにおいて農業者が解決すべき農業経営上の課題を取りまとめた。
1 家族や雇用者が新型コロナウイルスに感染した場合でも、営農活動への影響を最小限に抑えることができる人的、資金的支援を受けられるセーフティネットを築く。
2 新たな生活様式に対応した農畜産物の生産・販売体制を構築する。
3 スマート農業や農業支援サービス等を活用した、人と人との接触が少ない農作業体系の実現。
いずれの課題も自助努力だけでは解決できないものであり、本計画案の緊急プロジェクトにあるコロナ禍克服プロジェクトに合致するものなので、是非とも重点的に取り組んでいただきたいと思う。 - もう1点、農業経営の発展のためには、女性の役割はとても重要である。活力があり、魅力的な地域社会を実現するためには、女性の声が施策や方針に反映される必要がある。このため、女性の早期経営参画や経営の発展に向けた活躍の促進、ワーク・ライフ・バランスの取れた役割分担、地域で活躍できる人材の育成などの施策の推進を引き続きお願いしたい。
愛知消費者協会 吉田会長
- いいともあいち運動の更なる推進を期待したい。まず、運動に参加する量販店や飲食店などの事業者が、そのことを発信していないようでは意味がないので、積極的にPRするよう促していただきたい。また、県は、県民に対するいいともあいち運動の意義の説明や賛同の呼びかけに力を入れて欲しい。それが地産地消につながる。いいともあいち運動に参加し、愛知県産農産物等の消費拡大に努力をしている民間事業者が、その努力に見合った見返り、運動に登録してよかったなと思えるようなものがあれば、運動はもっと盛り上がるのではないかと思っているので、県の取組を期待したい。
- もう1点、新型コロナウイルスの影響で、大規模なイベントが行えない状況にある。我々消費者協会も事業の中止や小規模開催等で対応をしている。消費者への情報発信の方法について工夫を凝らしているところである。インターネットを活用した情報発信が、現在一つの手段となっているが、高齢者はネット環境が無いことも多いし、若い方でも手元にそういった環境が無い方もいる。県民に情報を行き届かせるため、例えば小規模なイベントを数多く開催することが考えられるが、県だけで回数をこなすのは難しいかもしれないと思うので、市町村や我々のような団体などと上手く連携していただき、コロナ禍にあっても円滑に情報が行きわたる体制を整えることが必要だと思う。
オーガニックファーマーズ名古屋 吉野代表
- 農林水産業の生産振興に向けた“柱1”の一番最初に「意欲ある人材の確保・育成」を位置づけ、新規就農者等の確保に取り組んでいく姿勢を示したことはありがたく思っている。ここに、きっかけづくりとして「農作業の紹介」とあるが、非農家からの新規就農希望者に非常に大切なのが、「就農前の農業体験」。本格的な研修に入る前に、入り口として農業を連続的に体験し、体力面も含め農業への適性を確認する場を研修受入れ先に準備することで、研修途中にやめることを防止し、確実に農家として育つ可能性が高まるので、御支援をお願いできたらと思う。
- 2点目として、研修に入る前の新規就農希望者の相談体制の充実をお願いしたいと思う。既に県内各地の農起業支援センターなどで就農希望者の相談を受ける体制が整えられていることは承知しているが、私どもが取り組んでいる、増えつつある非農家の子弟や有機での就農を望む人たちの支援がしっかりできるよう、県と連携しながら相談機能を強化できたらと希望している。
- もう1点、研修に関して、今後研修生を受け入れる農家が減っていくのではないかと懸念している。「研修生は労働力ではない」というのが研修の基本である。その一方で、受入れ先は無償のボランティアである。「就農したい人を育てたい」という強い思いがあっても、自らが農家として生産の主体になりつつ、並行して農業を教えることは、時間や気持ちに余裕がない農家には取り組むことができない。高齢化で今後、研修受入れ先が減る見通しがあるなか、このままでは新たな研修受入れ先の確保が困難になると感じている。研修受け入れ先を支援する仕組みや公的な研修体制を、次期計画を策定する5年後を見据えて、検討いただければと思う。
欠席した構成員の意見について事務局から紹介
名古屋大学大学院環境学研究科 杉山特任教授
- 林業活動を通じた間伐、再造林などの適切な森林整備を進めることが地球温暖化対策にもつながるということを広く県民の皆様に知っていただくために、計画の中にそうした記述を加えてはいかがか。そうしたことで、森林整備の重要性に対する理解が深まり、適切な森林整備への機運が更に高まっていくと思う
- また、基本計画の「めざす姿」である「持続的に発展する農林水産業」を実現するためには、教育も重要であり、力を入れていかなければならない。食べて応援するというマインドを持ってもらうことが大切であり、柱2(1)に位置付けられている理解促進に向けた取組を積極的に推進していただきたい。
一宮市立木曽川東小学校 平岩校長
- 先日、2年生を対象に芋掘り体験を行ったが、児童はとても喜んでいた。農業体験や食育の取組は大変重要だと考えていて、一宮市では、各校が6年間を通して段階的に農業や食育を学べるよう、計画を立てて教育を行っている。ただ、当校では引退した農家の方がボランティアで畑の管理をしてくれているのだが、高齢でいつまで続けられるか分からないと言われている。農業体験や食育を進めるには地域の協力が必要。行政や農業団体の応援があると心強いので、よろしくお願いしたい。
- 新型コロナウイルス対策の事業を活用し、給食に名古屋コーチンを取り入れたところ、児童は大変喜んで食べていた。子供にとって食べるという行為は大きな意味を持ち、給食が食に関心を持つきっかけになる。地場の農産物を給食に用いるのを通じて、地域のことを子どもに学ばせることができる。これからも学校給食における県産農林水産物の活用を積極的に推進して欲しい。
愛知県漁業協同組合連合会 和出代表理事常務
- 水産業の担い手の確保・育成についてだが、担い手である生産者が減るのはどういうことか考える必要がある。環境の変化の他、2次産業に人が流れる社会構造など複合的な要因があるが、結局は漁業が儲からないからで、漁業者だけで全ての課題を解決することは困難である。漁業生産量は減っているので、漁業者が所得を上げるためには、付加価値による魚価向上などを図らなければならないが、人材や資金など不足している現状では難しい。そのため、漁業経営の支出の削減など経営を強化する取組を進めることが重要である。
- 今計画の目標は、5年間で生産額の1割増を目指すということだが、漁業が縮小する中、達成は簡単ではない。5年間は短いが、目標達成に向けてスピード感を持って取組を進めてほしい。
- 新しい漁業法により、TAC管理など資源管理が拡充され、これからは漁業者の水揚げ量の上限が決まる時代が来る。その中で、漁業者が安定的に経営できる体制づくりを進めてほしい。また、漁業者も今までの認識を変えていかないといけないので、漁連としても計画の目標達成ができるよう漁業者や漁協を指導していく。
県側の発言
農政課担当課長
- JA愛知中央会の村上様、愛知県農業振興基金の鈴木様、トヨタ自動車の灘波様から、進捗管理や計画の推進に関して複数、御意見をいただいた。いずれの御意見も、基本計画のめざす姿や目標を達成していくために、大変重要な観点であると認識している。進捗管理は、この推進会議で毎年度、皆様とともに行うこととしている。進捗管理にあたっては本日の御意見を踏まえ、品目別など詳細な要因分析や最新データの活用に可能な限り努めるとともに、県主導の下、関係団体等が役割分担し、めざす姿の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えている。
- 次に、愛知県農業振興基金の鈴木様、愛知県農村生活アドバイザー協会の山内様から新型コロナウイルス対策に関する御意見もいただいた。県としても、新型コロナウイルス対策は、喫緊の課題と認識している。営農活動への影響を最小限に抑えるとともに、新たな生活様式に対応した農林水産物の生産・販売体制といったことを計画に位置づけ、緊急プロジェクトとして速やかに着手し、関係機関と連携してスピード感をもって成果を出してまいりたいと考えているので、御理解・御協力をよろしくお願いしたい。
食育消費流通課長
- まず、JA中央会の村上様、杉山委員、平岩委員からいただいている、学校での「食育」や農林水産業への理解促進の取組に関する御意見についてお答えする。学校地域での農林漁業体験や「食育」の取組において、指導や協力をしていただける人材の紹介、あるいはマッチングについては、現在県で登録している「愛知県食育推進ボランティア」や学校等で農林漁業体験学習をしていただける地域の協力者を県の「食育ネットあいち」のHPや一覧表の資料として学校等に配布し、情報提供を行うとともに、県下7か所の農林水産事務所農政課や私ども食育消費流通課でも、御相談をいただければボランティア等と依頼者のマッチング、あるいは実践マニュアルの活用支援を行ってまいりたいと考えている。
- さらに、学校給食での県産農林水産物の活用促進について、学校給食は、食育や農林水産業への理解促進の場として、非常に重要かつ貴重な機会と考えている。また、学校給食での県産農林水産物の活用は、地産地消を通じたエコ消費の啓発や地場産物の需要創出といった側面もあるので積極的に推進してまいりたいと考えているが、その具体的な方法については、食材の調達方法や給食の運営方法が各自治体により異なるという現状があることから、その地域、現場に即した方法により対応したいと考えている。
- 次に吉田委員から御意見のあった「いいともあいち運動」の更なる推進は、運動の趣旨に賛同し、県産農林水産物を販売する販売店や飲食店を、「いいともあいち推進店」として登録させていただいており、現在、1,132の店舗がある。こうした店舗には、県が作成したのぼりやステッカーなどの啓発資材を提供しているところである。引き続き、これらの資材の活用をそれぞれの店舗にお願いするなど、「いいともあいち運動」のPR促進を働きかけていく。
- また、県からの県民の皆様への運動の周知や呼びかけについては、「あいちの農林水産フェア」等の開催、いいともあいちネットワーク会員と連携した大手スーパー等でのイベント、あるいは若い人向けにはSNSなどインターネットでのPRなどにより、積極的に運動の意義などを呼びかけてまいりたいと考えている。
- また、コロナ過におけるイベントについては、いろいろな制約や注意すべき点も多々あるが、いいともあいち会員の皆様や関係機関と一緒になって考え、工夫しながら今後も取組を継続的に実施していくことにより、いいともあいち運動がより一層、盛り上がるよう努めてまいりたい。
農業経営課長
- 加藤委員から御意見をいただいた、基盤を持たない方がスムーズに就農できるよう支援をして欲しいということについて、県では、1992年度から、県内8か所の普及指導センターに「農起業支援センター」を設置し、就農のワンストップ窓口として就農相談を受け付けている。基盤を持たない新規参入者の方でも農地や資金の確保や各種助成制度の活用がスムーズにできるように市町村やJAとサポートチームを組んで、しっかり連携して支援を行っていく。
- 次に、温暖化の影響が様々な品目で出ているので対策を進めて欲しいという御意見をいただいた。地球規模での温暖化の進展で作物への影響は今後増々大きくなってくると予想をしている。そのため、農業総合試験場では、米をはじめとし、野菜・花き・果樹などそれぞれの品目について、品種改良で対応ができるものについては新品種を作り、品種で対応できないものについては栽培技術で対応ができるように、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えている。
- 次に山内委員からの御意見である、女性の早期経営参画や経営発展に向けた取組の推進について、県では1993年度に「あいち農山漁村女性プラン」を策定し、女性農業者の経営参画や社会参画を推進してきた。現在、食と緑の基本計画と時期を合わせ、2025年度を目標とする新しい農山漁村男女共同参画プランの策定を進めているところであり、今後とも、農村女性の立場から地域農業の活性化に活躍されている農村生活アドバイザーの皆様ともしっかり連携を図りながら、施策の推進に努めてまいりたいと考えている。
- 続いて、吉野委員から、就農を希望する方への事前の短期研修について御意見をいただいた。言い換えるとインターンシップの取組支援ということかと思うが、各農業改良普及課において、インターンシップの受入れが可能な農家リストを作っており、やる気のある相談者にはそういったインターンシップ先を御紹介させていただき、農家での短期間の研修を行っていただいているので、個別に御相談をいただく中で、紹介をさせていただきたいと考えている。
- それから、就農希望者に対する相談機能の強化について、「農起業支援センター」において、毎年約400人の方々からの相談を受け付けている。有機農業などの技術については、なかなか普及指導員だけでは技術的に対応が難しい問題もあるので、吉野委員の団体の皆さんともこれまで以上に連携を図るなどし、多様な相談に対応できるよう機能の充実に努めてまいる。
- 研修受入れ先への支援については、日本農業法人協会が受入れ先へ費用助成を行う「農業インターンシップ事業」を実施しているので、その活用を働きかけ、受け入れる側もメリットがあるよう進めていく。また、公的な研修体制としては、県立農業大学校で新規就農を志す方を対象とした研修を実施している。今後は、これに加え、個別の御相談を受けた場合にも、内容の決まった研修以外に、個別に農業体験や実習などができるよう、体制を整えていきたいと考えている。
園芸農産課長
- 加藤委員からの御意見について、花の王国あいちのPRについてである。これについては、食と緑の基本計画2025にもしっかりと位置付けており、引き続き前向きに取り組んでいく。その上で、シンボルマークを生産物に付けて全国に出荷するよう、生産者の皆様に呼びかけてはという、大変良い御提案をいただいた。シンボルマークだが、2015年にマークを決定し、商標登録をしている。例えば、マークを入れたのぼり、ジャンパー、ピンバッジ、シールや鉢物ラベルを作り、市場や小売店、生産者の皆様に活用していただき、県の花の展示では必ずマークを表示するなどしてマークを活用してきた。このマークは、あいち県産の花の流通やPRを行う時には、申請していただければどなたでも使えることにしている。生産者団体を始め、県内の商業施設や企業でも一部活用していただいているが、早速、生産者の方々に広く呼びかけを行いたいと考えている。同時に、PR効果が高まる表示方法についても、皆様と相談のうえ、再度検討してまいりたい。今後も引き続き、県産花きの消費拡大を進めていくので、是非御協力をお願いする。
水産課担当課長
- 和出委員からいただいた水産業に関する御意見に対し回答する。近年は、環境の変化により水産資源の変動が大きくなっていることもあり、漁業経営が不安定になり、担い手の確保が困難になっている。また、2020年12月に改正漁業法が施行され、魚種毎に漁獲に上限を設けるTAC管理の拡大や、漁業権制度の変更など、これからの漁業のあり方が大きく変わることが想定される。このため、県としては、漁業者が安定した経営体制で漁業を営むことができるよう、漁場の造成を始め、栽培漁業の強化、資源管理型漁業の推進、新しい増養殖技術の導入、栄養塩量の確保などを内容とする重点プロジェクトに取り組むことで、漁業生産力の強化を進め、漁業が将来に向けて持続的に発展できるよう、しっかりと施策を進めてまいりたいと考えている。
農地計画課長
- 竹下委員から、資料4の54ページ、柱2の(2)「災害に強く安全で快適な環境の確保」の指標について意見いただいたことについて説明する。御意見のあった、㉒農業用ため池の耐震対策等による防災・減災対策面積5年間で1,100ヘクタールと、㉓農業用排水機場の耐震対策等による防災・減災対策面積5年間で3,400ヘクタールについては、計画期間内に施設の整備が完了し、それによって地震や豪雨等による被害から守られる面積を進捗管理することとしており、ため池や排水機場の施設毎に、守られる面積を積み上げていく。54ページの進捗管理指標は面積で表示しているが、この面積はひとつひとつの施設毎の積み上げであるので、積み上げの根拠として、施設の箇所数についても併せて管理していく。
林務課長
- 前田委員から、計画案の林務関係施策に関して、県と一緒になって取り組んでいきたいと御意見をいただいた。大変心強く思う。林業労働力対策と労働災害対策、スマート林業などのこれら施策を進めていくためには、現場の方々の理解がとても重要である。現場への普及に加えて、現場の声のフィードバックを積極的にお願いしたい。木材利用に関して、近年、CLTや耐火性能を有する木材製品が開発されている。また、SDGsを始めとして、木材利用への期待の高まりを感じている。こうした中で、木材の主要な需要である住宅分野はもちろんであるが、非住宅の民間施設においても木造、木質化を進めていきたいと考えている。ICT等の新しい技術を取り入れたスマート林業を始めとする施策、出口対策である木材利用を推進することで本県の林業の振興につなげてまいりたいので引き続き御協力をお願いしたい。
森林保全課長
- 前田委員から御意見をいただいた、林道を始めとする林内路網の整備についてお答えする。林道や作業道等の整備は、木材生産の採算性の向上を図るために欠くことのできない重要な基盤整備である。県では、昨年度、ICTを活用した「路網設計支援ソフト」を導入した。このソフトは、これまで現地調査を繰り返し行うことで設計をしてきた林道等について、パソコン上で効率的にシミュレーションしながら設計できるものとなっている。このソフトの活用を推進することで、林内路網整備のスピードアップと質的向上に取り組んでまいりたい。併せて、林道等の整備に係る予算確保や人材の育成・確保にも努めてまいりたい。
森と緑づくり室長
- 杉山委員から御意見いただいた「適切な森林整備が地球温暖化対策に貢献しているという観点を計画へ記載してはどうか」という件についてお答えする。委員からの御意見にあるように、間伐、再造林などの適切な森林整備を進めることは、炭素吸収源の一つとして地球温暖化対策に貢献する重要な取り組みであると認識している。このため本計画においても、柱1の(3)のウの「循環型林業の解説」において、森林整備の促進による森林の持つ公益的機能の発揮について記載するとともに、森林・林業に関するイベント等を通じて、森林整備の重要性や木材利用の意義について広く県民の皆様に御理解いただけるよう努めてまいりたい。
座長総括
徳田座長
- 今回、2回にわたり協議していただいた食と緑の基本計画2025について、まとめて感想を述べさせていただく。
- 今回、構成員の方々に様々な立場から御意見をいただいたけれども、特に計画そのものについて異論は無かったというように思う。そういう意味では今回の計画案に沿って更にブラッシュアップしていただきたい。ただ、具体的に異論がないというのは総論という意味もあったと思う。むしろ大事なのは計画を実施していく中での具体策である。特に今回はコロナの関係もあり、具体化というのはむしろ計画作り以上に大変なのかなと思う。まだウィズコロナの状況で現状もつかみきれない中、今後どこまでこの状況が続くのか、更にいわばアフターコロナになった段階でどのような状況なのかというのは、今の段階では見通せないであろう。そういう意味では、基本計画は基本理念を示しているのであり、具体化にはそれぞれの状況に応じた具体策が必要かと考える。今回の意見の中にあったように、常に適切に最新のデータ・情報を踏まえて具体化を進めていただきたい。
- また、進捗管理ということに関しては、1つには今も述べたとおり、具体的にそれぞれの状況に応じて適切に状況を評価した上で、具体化を進めていくというような適切なPDCAサイクルを回してくということと、併せてその様々なステークホルダーとの間の協議や連携を図りながら進めていくということが大切である。今後も毎年この推進会議で結果を踏まえてそれぞれの御意見を述べていただくようになるが、その中でも状況の変化を適切に評価していただき、構成員やそれ以外の方も含めてそれぞれが情報を出し合う中で、単に県だけでなく、様々なステークホルダーと協働しながら進めていただきたい。
- また、私個人の意見になるが、特に担い手問題というのが非常に重要になってきているのではないかと思う。今回の意見の中にもあったが、様々な形で農業に参入してくる方がいる。多様な条件に応じて多様な対策、これもやはりステークホルダーと協働して進めていくということが大事なのかと思う。実際に色々な現場をみていると、積極的に法人経営の方や地元の方が連携して受け入れているということもある。
- もう1つは、非常に長い視野で取組んでいただけたらと思う。現実ではなかなか全ての方が定着するということは難しい面がある。それぞれの人の条件もあるので、それは柔軟に対応していただきたい。
- もう1点、こういう計画、2025年までの5年の計画だが、農業の場合はなかなか5年で結果が出ないものも多々ある。比較的すぐに結果が出るものもあるが、担い手、特に新規参入者などに関しては、正直、定着するのに5年では評価が難しいので、長い目で、基本的な理念を大事にしながら具体的な評価をしていただきたい。これは担い手だけではなく、特に農業部門に関しては技術の導入に関してもなかなか5年では結果が出ないものが非常に多くあるので、そこはその計画に書かれている基本的な精神を踏まえながら、内容についてはその条件に応じて評価し管理していただければと思う。私からは以上でまとめとさせていただく。