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一般会計・特別会計決算特別委員会審査状況(令和6年10月17日)

ページID:0601340 掲載日:2025年9月16日更新 印刷ページ表示

一般会計・特別会計決算特別委員会

委員会

日時 令和6年10月17日(木曜日)午後0時58分~
会場 第8委員会室
出席者
 石井芳樹、天野正基 正副委員長
 横井五六、神野博史、高桑敏直、政木りか、林 文夫、宮島謙治、
 高木ひろし、松本まもる、山口 健、古林千恵、末永けい 各委員
 県民文化局長、県民生活部長、学事振興監、人権推進監、
 女性の活躍促進監、文化部長、
 環境局長、同技監、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
 会計局次長、
 監査委員事務局長、同次長、関係各課長等

一般会計・特別会計決算特別委員会の審査風景画像の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

決算

決算第1号 令和5年度愛知県一般会計歳入歳出決算
 歳出第3款県民環境費及びこれに関する歳入

会議の概要

  1. 開会
  2. 決算概要の説明
  3. 質疑
  4. 休憩(午後2時56分)
  5. 再開(午後3時5分)
  6. 質疑
  7. 閉会
主な質疑
県民文化局・環境局関係

【委員】
 私からは大きく二点質問する。
 令和5年度決算に関する報告書の51ページのあいち環境イノベーションプロジェクト推進調査費について伺う。
 今月31日にいよいよ日本最大のスタートアップ支援拠点のSTATION Aiがグランドオープンを迎え、私自身も常にこれからの時代、スタートアップと連携し、イノベーションを創出することで、新たな課題に対応していくことが重要だと感じている。
 愛知県では、STATION Ai開業前から、イノベーションの創出に向けて各分野において、具体的には2021年度にスタートした農業をはじめ、健康長寿、モビリティー、スポーツといった分野において、様々な取組を進めているが、環境分野においては、カーボンニュートラルなどの昨今の解決課題に向け、昨年度あいち環境イノベーションプロジェクトを立ち上げ、決算に関する報告書の52ページに、全国の環境関連スタートアップ等の状況や環境技術のシーズの動向の調査を実施したとある。
 最初の調査内容やテーマ選定に、間違いがあると、今後の事業の進捗に影響を及ぼすことが懸念される。
 まず、本調査の目的や内容について伺う。
【理事者】
 カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブなどの環境課題に対応するためには、従来の延長線上にない革新的な技術やアイデアが必要なことから、スタートアップ等との連携による環境イノベーションの創出・実装が必要であるので、これに向けて本調査を実施した。
 具体的には、環境課題の解決に向けて、実際に活用可能な技術・アイデアはどのようなものがあるかというシーズ調査、それを活用するために現在どのような取組が行われているか先進事例調査などを実施した。これらの結果を踏まえ、今年度実施している技術・アイデアを持つスタートアップ等の公募をする際のテーマを検討した。
【委員】
 次に、本調査によりどのような成果があったのか伺う。
【理事者】
 調査の結果として、脱炭素や資源循環、自然共生の幅広い環境分野にわたって、革新的な技術・アイデアを有する環境関連のスタートアップが、少なくとも全国に100社以上存在していることを把握した。こうしたスタートアップが有する技術・アイデアは、地元の企業や行政等の環境ニーズに応えられる可能性があることも確認した。
 以上を踏まえ、スタートアップの技術・アイデアをエネルギーの利用・創出、温室効果ガスの吸収・利用等によるカーボンリサイクル、県民とともに進める持続可能な社会の実現、それから域内資源の有効利用を通じたサーキュラーエコノミー型ビジネス、自然が持つ価値の見える化といった五つのテーマに整理した。
 それから、スタートアップ単独では連携する大企業との接点がない、実証フィールドがない、事業資金が不足しているといった課題を抱えているということも把握し、これに対する行政としての効果的な支援メニューを整理した。
【委員】
 次に、昨年度の調査結果は、今年度の事業において、どのように活用されているのか伺う。
【理事者】
 昨年度の結果を踏まえ、今年度5月から7月にかけて、全国のスタートアップ等から革新的な技術・アイデアを募集して、9月に8件のプロジェクトを採択した。
 この募集においては、昨年度の調査で整理した県が取り組む五つのテーマをベースとして、公募テーマを設定している。また、公募に当たって、ヒアリングを通じて構築したスタートアップ等とのネットワークを活用して、応募の掘り起こしを行った。その結果、96件という多くの提案をもらった。
 また、昨年度整理したスタートアップの課題を踏まえ、県内企業とのマッチング、事業経費支援、実証フィールドの提供・紹介、知財整理や市場ニーズの把握といった専門家による助言などメニューをそろえて伴走支援を実施し、効果的な支援につなげていきたい。
【委員】
 一点目の最後の質問だが、予算要求の段階では、環境に関する課題・問題点の整理も調査内容に含まれていたと思う。その調査結果と、それをどのように今回テーマに反映しているのか伺う。
【理事者】
 企業等が抱えるカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー等に関する課題・問題点を把握し、これらも踏まえた上で、県が取り組む五つのテーマを整理した。
 例えば、本県は日本一のモノづくり県であり、製造業などエネルギーを多量に消費している工場が多いが、実際に発生した熱のうち、特に300度以下の低温排熱が捨てられており、有効に利用されていないことを踏まえ、エネルギー創出・利用というテーマを設定している。
 それから、サーキュラーエコノミーに関して、例えば、本県は航空機産業の集積地であるが、航空機産業において、航空機の母材、胴体や主翼などに利用されている炭素繊維強化プラスチックの再生利用が進んでいないという現状を踏まえ、リサイクルの低コスト化や体制構築が必要という課題を把握した上で、域内資源の有効利用を通じたサーキュラーエコノミー型ビジネスというテーマを設定している。
 また、最後に、自然系でいうと、本県には多種多様な生態系があるが、その保全活動には、生態系の把握、例えば、希少な動植物や外来種生物の調査が必要となっているが、現状、人の目で見て確認するアナログな手法を用いており、時間とコストがかかっているという現状を踏まえ、これをドローンで撮影した画像を解析することを想定し、自然が持つ価値の見える化というテーマを設定している。
【委員】
 次に、決算に関する報告書の65ページ、低炭素水素サプライチェーン事業化推進費について、中部圏低炭素水素認証制度について、認証制度の仕組みがどのようなものか。それから、昨年度本県のみの認証制度から中部圏への認証制度への枠組みが広がったと聞いているが、その経緯について伺う。
【理事者】
 中部圏低炭素水素認証制度は、再生可能エネルギーにより製造された水素など、CO2排出量の少ない水素を低炭素水素として認証し、情報発信することで、低炭素水素サプライチェーンの構築に取り組む事業者を支援する制度である。
 この認証の仕組みは、事業者による低炭素水素の製造に関する事業計画について、認定基準への適合を審査した上で認定するとともに、実際に事業者が低炭素水素を製造した翌年度に、その製造量について認証するものである。
 この制度は、2018年に本県が全国に先駆けて創設した制度である。さらに、昨年度低炭素水素サプライチェーンの広域化を見据え、岐阜県及び三重県に呼びかけを行い、両県もメンバーとして参画する中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議の取組として、認証制度の対象地域を拡大したものである。
【委員】
 次に、該当認証制度について、現在までに何件認定されているのか、それから、将来の目標件数は何件なのか伺う。
【理事者】
 この認証制度の実績は、昨年度2件、また、本年度に入り新たに1件を認定しており、現在までに9件の認定となっている。目標件数は、あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)の取組指標として、2030年度の認定事業数が20件となっている。
【委員】
 先ほど20件という目標の答弁があったが、その達成のため、昨年度、県としてどのような支援を行ったのか。また、今年度低炭素水素の普及のため、新たに実施している事業があるのか伺う。
【理事者】
 低炭素水素サプライチェーンの構築に取り組む事業者を支援するため、昨年度は、事業者等が本認証制度をPRしやすくするように、新たに認証制度のロゴマークを作成するとともに、そのロゴマークをステッカーにして配布している。
 また、パンフレットについて、本制度の概要をより詳しく記載するとともに、各認定計画を分かりやすく掲載したシートも作成し、イベント等で周知啓発を実施している。さらに、新聞における広告記事を作成、掲載して、広く周知も行っている。
 本年度、新たな取組として、本県及び13の企業等と連携して提案した知多市における低炭素水素モデルタウンの事業化可能性調査について、環境省の委託事業に採択された。知多市内の水素ステーションを拠点として、低炭素水素の街中利用等に関する調査検討を実施している。
【委員】
 環境省の委託事業の採択・実施を含めて、低炭素水素の普及に努めていることは十分理解した。今後、カーボンニュートラルの実現のためには、低炭素水素の取組は大切であるため、県として低炭素水素の普及のために引き続き予算の確保を進めてもらうことを要望する。
【委員】
 決算に関する報告書の48ページ、6の外国人県民日本語教育推進事業費について伺う。
 外国人県民日本語教育推進事業費のうち、地域における初期日本語教室実施事業に充てられた経費が幾らか。また、学習者として参加した外国人県民は何人で、実施するに当たって工夫した点や課題として感じていることなどを伺う。
【理事者】
 地域における初期日本語教室実施事業は、指導者養成講座と初期日本語教室のモデル事業を実施しており、総括コーディネーターの人件費を除く事業費は、1,214万4,000円となっている。このうち、初期日本語教室には、延べ85人の外国人県民が参加した。
 開催に当たっては、毎週継続して参加してもらうよう外国人県民が通いやすい場所に会場を確保するとともに、教室でのきめ細かいサポートや連絡調整を行う外国人コーディネーターを配置するなどの工夫を行った。
 課題としては、教室の開催情報をより多くの外国人県民に届けられるよう、SNSなどで地域のコミュニティー向けに情報を発信している外国人キーパーソンを活用するなどの工夫をしていく必要がある。
【委員】
 人件費を除いて事業費1,214万4,000円で、延べ85人とのことだが、愛知県に住んでいる外国人県民の人数を踏まえたときに、果たしてこの金額と人数が十分といえるのか。私の地元、岡崎市でも、市の日本語教育充実に向けて、予算不足が大きな課題であるとの声を耳にする。
 県として市町村との連携強化も含めて、事業費の水準に対しての課題意識や、予算の制約で本来取り組むべき事業が満足に実施できていないことがないか、他県の取組事例なども念頭に、予算制約を気にせず率直な問題意識を伺う。
【理事者】
 本県の外国人県民数は2023年末現在、全国で2番目に多い31万845人であるが、26万7,523人と全国で4番目に外国人県民が多い神奈川県では、地域日本語教室の事業費のうち人件費が本県と比較して多く、市町村への助言等を行う専門家として配置している総括コーディネーター等の人数が、本県が2人であるのに対して、神奈川県では5人配置している。
 また、限られた人員や予算の範囲内で毎年優先順位をつけて取り組んでいるが、教室の運営に必要な指導者を養成するためのカリキュラムや、日本語能力を判定するツールの作成が思うように進んでいないのが現状であり、課題と考えている。
【委員】
 本県より約4万3,000人外国人県民が少ない神奈川県のほうが、コーディネーターが倍以上配置されている。モノづくり県あいちを支えてもらう外国人県民に向けた取組は、人手不足が深刻さを増す中で、よりニーズが高まる。
 県として、市町村のサポートニーズに十分応える体制構築はもちろん、課題として触れられた指導者の養成カリキュラムや日本語能力判定ツールの作成、こういったものは各県が独自に取り組むより、むしろ国が責任を持って進めるべき課題であると思うので、担当局として、国への働きかけを行うよう要望する。
【委員】
 決算に関する報告書44ページの(3)女性の活躍企業取組支援事業費について伺う。
 女性活躍促進に向け、職場環境づくりなど取組を行っている企業等を認証し、働く場における女性の職業定着と活躍の拡大を目指して、この事業は行われていると承知している。認証を受けた企業では、あいち女性輝きカンパニーとして、ホームページに女性も活躍できる旨の内容が大きく記載されて、就職を考えている女性に対して、その企業への興味を高め、実際に雇用の拡大につながっていることが確認でき、大いに期待が持てると感じた。
 このうち、(ア)の女性の活躍プロモーション事業費について、あいち女性輝きカンパニー認証企業のうち、女性活躍を県内企業に働きかけを行う企業等を女性の活躍プロモーションリーダーに委嘱しているが、委嘱式や研修会、情報交換会、計3回の実施で543万円の経費がかかっている。
 女性の活躍プロモーション事業費の具体的な取組内容について伺う。
【理事者】
 女性の活躍プロモーション事業費は、取組内容として三つあり、まず一つ目として、昨年6月に、新たにプロモーションリーダーになった企業・団体を対象とした委嘱式と事前研修会を行った。二つ目として、本年2月に、これまで委嘱した全てのプロモーションリーダーを対象として、フォローアップを目的とした研修会と情報交換会を開催した。費用としては、委嘱式と研修会等を合わせて約240万円であった。
 最後に、三つ目の取組として、プロモーションリーダーに活用してもらう啓発資料を作成、配布しており、費用は約300万円となっている。
【委員】
 プロモーションリーダーに活用してもらうために、費用300万円を使って啓発資料を作成しているが、プロモーションリーダーに活用してもらう啓発資料とは、どのような内容で、どのように活用してもらうのか。
【理事者】
 啓発資料の内容としては、女性の活躍を取り巻く社会情勢や県制度の申請手続の手順等を記載した女性の活躍促進マニュアルや経営者や人事担当者向けに女性管理職の登用についてのポイントやロールモデルを紹介した小冊子自分らしい管理職へ!などである。これらの小冊子の内容を更新した上で、各5,200冊を作成し、配布した。
 また、活用方法は、例えば、プロモーションリーダー企業の担当社員に社内説明用として使ってもらうなど、企業等を訪問して働きかけを行う際に携行し、本事業の説明用資料として活用してもらっている。
【委員】
 プロモーションリーダーに啓発資材を活用してもらい、県内企業に女性の活躍に関する取組を広めてもらうことは大切であるが、プロモーションリーダーの活動実績を把握した上で、今後の取組に生かしていく必要がある。
 そこで、女性の活躍プロモーションリーダーの活動内容をどのように把握して、次年度以降の取組にどう生かしているのか伺う。
【理事者】
 プロモーションリーダーに委嘱した全ての企業等に対して、年度末までに活動報告書の提出を義務づけている。報告書では、女性の活躍や県施策活用の働きかけ、県が実施する女性の活躍促進事業への協力、企業等へのメリット付与などの項目について、取組状況を回答してもらっている。
 県としては、毎年度活動報告書を取りまとめ、その結果をもとに、啓発資料の更新部分の洗い出しや必要部数の精査を行うとともに、プロモーションリーダー活動の傾向を把握することで、次年度の取組に生かしている。
【委員】
 二点伺う。一点目、決算に関する報告書の60ページの浄化槽関係の補助金について伺う。
 まず、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換促進に向けた県の取組と浄化槽設置費補助金について、市町村から補助率を3分の1に上げてほしいという要望が出ているが、市町村の要望額どおり補助できているのか、その状況について伺う。
【理事者】
 本県では、合併処理浄化槽の設置に係る住民費用負担を軽減するため、国の補助制度を活用し、市町村と協調して浄化槽設置費補助事業を実施している。市町村からの年度当初の要望額は、予算額を超えていたが、執行状況の管理により、最終的には市町村の希望額どおりに交付できた。
 一方で、県予算の執行率が80パーセントであり、国の補助も翌年度に繰り越した市町村があったことから、市町村に対しては、適正な要望額の申請及び執行率の向上を働きかけている。
【委員】
 3分の1に上げてほしいという要望が出ており、もともと3分の1で、今は5分の1になっていることが問題になっている。3分の1に戻すことはできないのか。
【理事者】
 本県としては、予算が限られているので、補助金のみならず、県民に対する合併処理浄化槽による生活排水の重要性を啓発することなどにより、引き続き生活排水処理の推進に努めていく。
【委員】
 こちらについては、自治体としてもいろいろ事情があり、市街化区域内で下水道区域内、面整備の予定がない地域はどうしても出てきて、私の住んでるところもそうであるが、都市計画税を取っているが、下水道が整備されない不公平感が住民にはある。そこを合併処理浄化槽を重点的に整備する区域として定めて、春日井市では補助金を増額している。このため、3分の1に戻せないのは、何が障壁になってるのか疑問である。何が障壁になっているのか。
【理事者】
 本県も平成10年度までは補助率3分の1であったが、当時の財政状況から、順次補助率を下げおり、現在の5分の1になっている。
【委員】
 人口減少といわれ始め、コンパクトシティで市街化していく地域を縮小して行政効率を高めていこうとする中で、合併処理浄化槽がいいということで、春日井市も下水道普及率を最初KPIとしていたが、汚水処理普及率に切り替わって、合併処理浄化槽もちゃんとやっていこうという市町村もあると思う。財政当局に要望を理解してもらうよう局としてやってもらいたい。
 別の話題で、人口減少でコンパクトシティをいうのであれば、行政効率を高めていかないといけないので、事業の趣旨、政策の趣旨を財政当局とよく議論してほしい。
 次に、民間開発の団地の集中浄化槽の老朽化が進行していて、空き家も増えており、自治会運営上、集中浄化槽の管理、負担金の負担が課題になっている。人が抜けていくと一戸当たりの負担が増える、あるいは積立金の問題も出てくる。
 その中で、例えば、自治体の下水道につなげてほしいという話もあり、実際、管渠の老朽化が進んでいるので、更新も多額の費用が必要になるが、補助対象となるのか。県の取組を伺う。
【理事者】
 集中浄化槽の本体の更新については、国の事業によって省エネ型に限るが、設置費用の2分の1が補助される。しかし、委員指摘の管渠の更新については補助対象となっていない。そのため、本県としては、集中浄化槽の管渠の更新等に関する補助制度の創設と補助の充実について国に要請している。
【委員】
 続いて、決算に関する報告書の78ページ、東海自然歩道について伺う。
 今年、完成50周年を迎えたと聞いているが、そもそも東海自然歩道が整備された経緯、目的、どの地域にまたがってるのか、また、昨年度県が行った既存施設の再整備の内容、近年の東海自然歩道の利用状況について伺う。
【理事者】
 初めに、東海自然歩道が整備された経緯は、1969年に当時の厚生省が東京都と大阪府をつなぐ東海自然歩道の構想を発表した後、1971年発足の環境庁に引き継がれ、1974年に東京都八王子市から大阪府箕面市までを結ぶ総延長1,748キロメートルに及ぶ歩道が完成した。
 東海自然歩道が整備された目的・背景は、高度経済成長期の国土の急激な都市化、モータリゼーションの進行があり、東海自然歩道の周辺に国立公園または国定公園を配置することで、自然保護の防波堤としての役割を担っている。
 愛知県内の区間は、新城市鳳来地区の鳶ノ巣山から犬山市のライン大橋に至る総延長211キロメートルであり、県では国の補助制度を利用して、歩道橋や休憩所などの施設整備を行った。
 次に、昨年度行った既存施設の再整備の内容は、橋梁点検の結果、早期の措置が必要な段階にあると判定された豊田市の奥矢作歩道橋について塗装塗替修繕を行ったほか、豊田市内2か所、設楽町内1か所、犬山市内1か所の計4か所で歩道改修工事を実施した。
 最後に、近年の東海自然歩道の利用状況は、各季節計8日間の調査を基に算出した推定利用者数は、コロナ禍前の2019年が約18万2,000人、コロナ禍の2020年は約32万人であった。2023年の利用者数は22万5,000人程度となっており、コロナ禍前と比較しても多くの人に利用されている。
【委員】
 コロナ禍の4年間全ての年度でコロナ前を上回っている利用者数で、私の地元の春日井市でも、弥勒山、大谷山、道樹山の春日井三山があり、東海自然歩道がかなり人気だと聞いている。自然と親しむ県民ニーズが高まっていると思っており、トレイルなどスポーツアクティビティも盛り上がっている。地元の市町村や民間団体との連携など考えつつ、地域の活性化や、インバウンドなど日本の自然を知ってもらうことで観光資源にも活用できないかと思う。そうした取組について、利用者数の増加や社会情勢を受けて、今後の東海自然歩道の活用について県の今後の考えを伺う。
【理事者】
 県では、東海自然歩道の利用者の増加を図るための取組として、歩道を安全で快適に利用するための施設の再整備や、県内の東海自然歩道のコースを掲載したパンフレットの提供を行っている。また、沿線市町へ委託することで、清掃・点検・パトロールを実施している。
 地域を活性化させる取組について、毎年、愛知県ウォーキング協会が東海自然歩道を含むコースで歩く会を開催しており、本県は後援するとともに職員が運営に協力している。
 委員から提案があった民間団体等との連携については、今後も沿線市町や民間団体から東海自然歩道の利用促進につながる取組・イベントの開催について、提案や相談があれば、県として協力していきたい。
【委員】
 私からは、決算に関する報告書の42ページ、青少年育成推進事業の(3)の子ども・若者育成支援ネットワーク形成促進事業費について伺う。
 子供や若者は様々な可能性を秘めている。また、少子化が進む中、全ての子供が地域で活躍する社会というのは大変重要だと思っている。報告書では、困難を抱える子ども・若者への支援を行う子ども・若者支援地域協議会等の市町村の設置を促進する取組を実施したとあるが、県内の市町村におけるこの取組の目標及び設置状況はどのようになっているのか。
【理事者】
 不登校、ニート、ひきこもりなど、社会生活を円滑に営む上で困難を抱える子ども・若者やその家族が身近な地域で必要な相談支援が受けられるよう、本県では子ども・若者育成支援推進法に基づき、市町村における子ども・若者支援地域協議会及び子ども・若者総合相談センターの設置促進を図っている。
 2024年9月末現在、県内54市町村のうち、18市町に子ども・若者支援地域協議会及び子ども・若者総合相談センターが設置されている。法律で支援の対象となる30歳代までの県内人口の73.6パーセントをカバーできる状況となっている。なお、本県のあいち子ども・若者育成計画2027において、2027年度までに30歳代までの県内人口のカバー率を80パーセントにすることを目標に掲げている。
【委員】
 未設置の市町村が、子ども・若者支援地域協議会及び子ども・若者総合相談センターを設置する上で、どういった課題があるのか。
【理事者】
 未設置の市町村によって事情は異なるが、要保護児童対策地域協議会やひきこもり地域関係機関ネットワーク会議など、既存の体制で、子ども・若者の相談に対応している場合もある。子ども・若者支援地域協議会等の設置は、予算や職員の確保が課題となり、検討が行われていない場合もあると理解している。
 協議会等設置済の県内の市町に対し、これまで実施してきたアンケートでは、ほとんどの市町が、関係機関等のネットワーク形成によりメリットがあったと回答しているが、こうした協議会等設置のメリットなどが、いまだよく知られていないことも課題であると認識している。
 県としては、引き続き、子ども・若者支援地域協議会及び子ども・若者総合相談センターの設置意義やメリットとともに、地域資源やネットワークの活用に向けた具体的な取組方法を周知するなど、市町村の理解促進に努めていく。
【委員】
 市町村における子ども・若者支援地域協議会及び子ども・若者総合相談センターの設置を進めていくことが重要だと思うが、県はどのような取組を行っているのか。
【理事者】
 子ども・若者地域協議会等の設置に向けて検討している市町村に対して、個別訪問や専門家派遣による指導・助言を実施し、関係機関・団体等による合意形成を促すほか、市町村職員等を対象とした研修会を開催し、協議会等設置の必要性についての理解促進を図るなど、きめ細かな取組を実施している。
 また、協議会等の設置、未設置にかかわらず、子ども・若者支援に携わる市町村等の関係機関の職員を対象とした講演会を開催し、子ども・若者の現状やネットワークによる支援の必要性について理解促進を図るとともに、参加者同士の交流を促すことにより、ネットワーク形成を促進している。
 今後も引き続き、一人でも多くの子ども・若者が、重層的なネットワークのもとで、継続的な支援を受けられるよう、未設置市町村での新たな子ども・若者支援地域協議会及び子ども・若者総合相談センターの設置に向け、積極的に働きかけていく。
【委員】
 先ほどの答弁で、メリットがあること、目標が30歳代で県内80パーセントで、やはり全ての子ども・若者が支援を受けられる環境づくりというのが大変重要であると思う。しっかりとメリットなども伝えてもらいつつ、それぞれ条件は異なると思うが、全ての市町村において、子ども・若者を支援できる体制をつくってもらいたい。
 次に、同じページの(4)のインターネット適正利用促進事業費1,676万6,680円について伺う。
 毎日のようにインターネットが入り口となる犯罪が報道されている。そうしたことから子どもたち、若者を守っていく取組も重要である。インターネットを介した犯罪やトラブルから青少年を守るため、青少年が巻き込まれやすいトラブルや危険性について啓発するとともに、SNSを利用する際の基本的な注意点や家庭でのルールづくりについて学ぶ出張及びオンラインの講座を開設したとあるが、その実施状況はどのようであったのか。
【理事者】
 本県では、インターネットを介した犯罪やトラブルから青少年を守るため、保護者、児童・生徒等を対象にした講座である青少年のネット安全・安心講座~みんなのネットモラル塾~を開催した。この講座では、テキストやパワーポイントを使用した講義のほか、グループディスカッションやロールプレーイングによるワークショップなどを実施し、青少年が巻き込まれやすいインターネットのトラブルや、フィルタリングの必要性を周知するとともに、家庭でのルールづくりの重要性を啓発した。
 2023年6月から2024年3月までに221講座を開催し、延べ2万3,556人に受講してもらった。そのうち、オンライン講座の実績は14講座、2,220人である。
 講座を受講した保護者を対象に実施したアンケートでは、講座を通してフィルタリングに関する理解が深まったか、講座で学んだ内容を家庭のルールづくりに生かせると思うかという問いに対して、はい、または、どちらかといえばはいと答えた人が90パーセントを超えていることから、受講された多くの人が、子どものインターネット適正利用について、具体的な行動に踏み込もうとする一助になったと考えている。
【委員】
 SNSを利用した犯罪の増加など社会の変化に対応するため、講座の内容や実施方法について工夫していくことが重要である。テキストやリーフレットを使っているということであるが、こうした変化する犯罪等に対して、どういった工夫をしているのか。
【理事者】
 近年、スマートフォン等の急速な普及に伴い、SNSに起因する被害児童数が高止まりしていることから、2023年度においては、自画撮り被害や闇バイトといった社会的に深刻な問題となっている事例を講座のスライドに追加して、被害防止のための啓発を行った。そのほかにも、講座の申込みのあった学校において、ネット上のいじめや課金トラブルなど、特に啓発したいポイントがあれば聞き取りを行い、講座内容に反映するなど、主催者の希望に応じて内容をカスタマイズしながら実施している。
 また、講座を受講した児童・生徒や保護者が、自宅において講座で学んだ内容を復習するとともに家庭でのルールについて話し合うことができるよう、講座のテキストにルールの具体例やチェックリスト欄を設けるなどの工夫をしている。
 今後とも青少年をインターネットの犯罪やトラブルから守るため、毎年度アップデートしながら効果的な取組を行っていく。
【委員】
 変化が早い犯罪などの手口に対応するため、出前講座、またオンラインでの講座というのも重要だと思うが、迅速な情報発信も必要である。SNSでの発信についてどのような取組を行っているのか。
【理事者】
 青少年がSNSの利用を発端とした犯罪やトラブルに巻き込まれないよう2020年度からX(旧ツイッター)を活用しており、2023年度は家庭でのルールづくりやフィルタリングの活用などを呼びかけた。また、昨年度は闇バイトの防止に向けた啓発動画をXで紹介するなど、社会的に深刻な問題となっている事例に関して、様々な注意喚起を行った。
 今後もSNS等を活用し、効果的な情報発信に努めていく。
【委員】
 続いて、決算に関する報告書の57ページの13、あいち森と緑づくり環境活動・学習推進事業費について伺う。
 県民の皆様からの税金を使っての事業と認識している。そうした事業であるがゆえに、県民の皆様の理解も重要である。
 あいち森と緑づくり環境活動・学習推進事業費の概要、どのくらいの応募があったのか。また、事業開始から15年間でどのくらいの団体等へ支援したのか。そして、参加した人数はどのくらいか。また、令和5年度の1団体当たりの交付金の上限額は幾らか。また、交付実績の平均はどのくらいか。それぞれ成果とあわせて伺う。
【理事者】
 本事業は、NPO、ボランティア団体、市町村など多様な主体が行う自発的な森と緑に関する保全活動や環境学習の取組に対して、あいち森と緑づくり税を活用して交付金による支援を行っている。森と緑の保全活動や環境学習は、令和5年度は、応募件数が112件あり、103件の事業に対して交付金を交付した。
 事業開始から令和5年までの15年間で1,400件を超える取組を支援してきた。参加人数は、延べ103万人の県民に参加してもらった。
 令和5年度の交付金の上限について、新規団体は、1団体当たり110万円、2年目から5年目の継続している団体は80万円、6年以上継続している団体は70万円を上限として交付金を交付している。令和5年度の交付実績の平均額は約42万5,000円である。
 成果として、この交付金を利用した環境保全活動については、湿地の動植物の生息状況調査、環境学習ができる場としての里山環境整備、ホタルが生息できる環境づくりの実施、環境学習については、森林生態系の重要性、生物多様性の保全に関する講演会の開催、植物・昆虫などの自然観察会や学習会の実施を各団体が行った。このような事業に参加した県民に対して団体が行ったアンケートの結果では、森と緑の重要性について理解が深まったという回答が9割以上、また参加したいという回答も9割以上といった結果であり、多くの参加者にも喜ばれ、森と緑の保全につながる県民意識を高める効果が得られている。
【委員】
 この事業を推進していく上で、県はどのような取組を行ったのか。
【理事者】
 まず、交付利用団体の団体同士のネットワークづくりのために、団体の取組の発表や、参加者同士で情報交換などを行う活動発表・交流会を平成22年度から毎年1回開催している。同じく平成22年度から、より多くの県民参加を促すために、交付金の利用団体が実施した取組を紹介する事例集を作成して、県のウェブサイトに掲載するとともに、県民事務所や市町村などの広報コーナーで配布している。
 交付金利用団体やそういった森と緑の保全活動・学習会に興味がある人を対象に、活動に必要な安全対策やノウハウを身につけてもらうことを目的として、環境活動ステップアップ研修を平成26年度から毎年開催している。
 交付金利用団体の利便性を高めるために、平成24年度から、対象事業を早期に着手できるよう対応している。もう一つ、平成25年度から、交付金の概算払制度を設けている。
【委員】
 この事業について、県としてどのように評価しているのか。そして、その評価を踏まえて、どのように今後につなげていくのか。
【理事者】
 この事業は平成21年度から10年計画で実施され、今は令和元年度から始まっている第二期事業を実施している。この第二期事業の中間年に当たる令和5年度に、令和元年から令和3年までの3年間の事業実績、県民からの意見等を取りまとめた事業評価報告書を作成し、公表している。
 事業評価報告書にある、交付金利用団体に対するアンケートの結果として、活動に参加することで当事者意識が生まれた、子どもの将来のために重要な取組であると感じるなどの好意的な意見が多数あった。
 一方、今後の課題や意見として、より多くの県民参加を促すため、新しい取組も含め様々な団体に広く事業を行ってもらうこと、交付金利用団体にとって、より利便性が高い制度にすることなどが課題や意見として挙げられている。
 そういった評価を踏まえ、今後の取組として、より多くの県民に参加してもらうために、環境局の様々なイベント等で、森と緑の環境保全活動等に興味・関心がある人に限らず、広く様々な年齢層の県民に対して、積極的に事業を周知していく。利便性が高い制度にするために、利用している団体から意見を聞きながら制度を改善しつつ、引き続き、森と緑の環境活動や環境学習の取組を支援していく。
【委員】
 私の地元、境川の源流で、NPO団体が本当に様々な努力をしながら事業に取り組んでいる中、地域の小学4年生が、この場に来て環境学習と併せながら保全活動に参加している。県民の理解を進めていく上では、子供の頃からこうしたところに関わる、携わることは重要だと思う。
 また、大学生にも来てもらい、無農薬で米を作っており、収穫のときにはそれをみんなで食べることで、子供たちは環境について学んでいる。
 そうした幅広い県民を巻き込むような事業を推進するに当たり、より使いやすい支援制度にしてもらいたい。
 報告書の63ページの地球温暖化対策事業費のうち、中小企業の脱炭素経営支援について伺う。
 事業者の脱炭素化を進めるためには、脱炭素化の視点を事業者の経営戦略の中に織り込んだ脱炭素経営の推進が重要である。県内の多数を占める中小企業は、資金やノウハウ、また人材不足などにより、大企業に比べて取組が進んでいかないのが現状だと思う。そのため、県として、中小企業の脱炭素経営を支援することは、本当に意義深いことである。
 そこで、中小企業の脱炭素経営支援について、この事業の内容と決算額、また、その成果はどのようか伺う。
【理事者】
 本事業は中小企業における脱炭素経営の取組を促進するため、中小企業にアドバイザーを派遣して、温室効果ガス排出量の算定や、パリ協定が求める水準と整合した温室効果ガスの排出削減目標、いわゆるSBTの設定、さらに排出削減計画の策定を支援する事業である。
 昨年度は、公募により選定した従業員70人から160人、資本金1,000万円から8,000万円の中小企業5社について支援を行い、5社全てが自社の温室効果ガス排出量の算定から排出削減計画の策定まで実施し、現在目標達成に向け、その取組を推進している。
 また、支援した5社のうち3社は、国際機関から既にSBTの認定を受けている。また、1社は、SBTの認定申請中となっている。
 決算額は、499万7,300円で民間業者への委託料である。
【委員】
 支援を行った中小企業の成果について、まだ取組が進んでいない他の中小企業に対して周知を行っていくことも必要だと思うが、中小企業の取組を進める上で、本事業の成果をどのように周知しているのか。
【理事者】
 昨年度の事業の成果を広く周知し、中小企業の脱炭素経営を推進するため、来月11月20日にカーボンニュートラルの実現に向けたSBTセミナーを名古屋商工会議所と共催で開催する。本セミナーでは、本事業によりSBTの認定を取得した3社の成果報告をはじめとして、専門家による講演や中小企業向け支援策の紹介等を実施する予定である。セミナー終了後は、成果報告資料について、県のウェブページに掲載するとともに、幅広い層の中小企業が加入する商工会議所等にメールマガジンでの配信を依頼する予定である。
 こうした取組を通じて、本事業の成果を広く周知し、中小企業の脱炭素経営を推進していく。
【委員】
 中小企業は、脱炭素経営の取組をしなければいけないという思いはあるが、時間がない、取組方法が分からない、加えて日常業務に追われてそこまで手が回らない企業も多い。セミナーやホームページを見に来てという気持ちは分かるが、なかなかそこまでの余裕がない企業が多い現状において、先ほどメールマガジンの配信等と答弁があったが、プッシュ型で情報発信等を行っていくことが必要と考えている。
 業界や業種別の成功事例を分かりやすく、ぱっと見て分かるようなパンフレットなどを作成して、商工会、商工会議所等を通じて発信していきながら、中小企業、また、小規模事業者も巻き込んで、カーボンニュートラルの取組を推進してもらうよう要望する。
【委員】
 決算に関する報告書の43ページ、男女共同参画推進事業費のうち、(1)推進事業費について伺う。
 事業内容のうち、男女共同参画に関する理解を促進するパンフレットの作成などの啓発事業を実施したとあるが、具体的にどのような内容であったのか。
【理事者】
 この事業では、男女共同参画についての関心や理解を深めるため、女性団体の会員や広く一般県民を対象とした、あいち男女共同参画のつどいの開催や、県内の小中高校生を中心に、男女共同参画社会への思いをはがきに描いた作品募集及び県条例に基づき男女共同参画に関する施策の実施状況を取りまとめた年次報告書の作成・配布など、様々な啓発事業を実施した。
 また、啓発資料の作成は、あいち男女共同参画プラン2025の重点目標に、安心して暮らせる社会づくりを掲げ、その中で、DV理解のための広報・啓発の推進に取り組むこととしていることから、DV防止啓発カードを8,000部作成、配布した。
【委員】
 作成したDV防止啓発カードは、どのような内容のものか。また、配布先はどこだったのか。
【理事者】
 このカードは、DVやストーカー被害、性犯罪、性暴力などで悩んでいる人に活用してもらえるよう県内の相談窓口の開設時間や連絡先をまとめて、二つ折りの名刺サイズで作成したものである。手に取ってもらいやすいデザインとなるよう工夫し、表面には一人で悩んでいませんかというメッセージを表記するとともに、県のウェブサイトを案内するQRコードも掲載している。
 配布先は、県内市町村、男女共同参画施設、保健所、児童相談センター、福祉相談センター、県図書館、母子生活支援施設等であり、各施設の窓口や女性トイレなどに設置してもらった。1か所当たり50部程度配布したが、設置しているカードがなくなったため追加で欲しいと要望する施設もあった。また、カードを成人式等での配布を希望する市町村もあり、配布先において有効に活用してもらっている。
【委員】
 1か所に50部配布し、追加で欲しいとの要望があったとのことであるが、このカードの内容を見ると、確かに一人で悩んでいませんかと赤い字で書いてある。その下に、暴力は犯罪につながる重大な人権侵害ですと書いてある。これは、人権侵害の内容なのかと考えると局が異なると思う。今後、男女共同参画に関する啓発について、県民文化局としてはどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
 DV防止啓発カードは、あいち男女共同参画プラン2025において、DV理解のための広報・啓発に取り組むことと明記してあることから、当課において作成、配布している。委員の指摘のとおり、来年度、あいち男女共同参画プラン2025の最終年度であるため、新プランの策定作業の中で関係局とも調整しながら、DV理解のための広報・啓発を行うに当たり、適切な事業の中で行われるよう検討していく。
【委員】
 あいち男女共同参画プラン2025では、コロナ禍で女性に関する諸問題が顕在化したことを踏まえて、DV理解のための広報・啓発の推進が挙げられていることから、この取組を県民文化局が担当していると思う。
 ただ、私としては、より男女共同参画や、女性の活躍に特化した啓発を行うべきと考えており、DV防止啓発カードを県民文化局が作成して啓発していることは、違和感がある。
 来年度新たな男女共同参画プランの策定作業が行われることに合わせて、DV理解のための啓発は、人権の問題として適切な事業の中で行われるよう見直しを要望する。
 続いて、48ページから49ページの7、愛知県災害多言語支援センター設置事業費について伺う。
 愛知県の災害多言語支援センター設置のための訓練等を実施したとあるが、具体的にはどのような取組を行ったのか、また、こうした訓練には外国人県民の参加が不可欠だと思うが、外国人県民はどれくらい参加したのか。
【理事者】
 主な訓練として、市町村職員等を対象とした災害時外国人支援活動講座をNPOに委託して実施している。具体的には、昨年度は西尾市と連携して実施しており、西尾市役所の会議室に段ボールベッドなどを設置して避難所を再現し、県内市町村職員等の参加者35人が多言語翻訳機や翻訳アプリを活用して、外国人避難者から状況やニーズを聞き取る実践的な訓練を行った。
 この訓練には、西尾市在住のブラジル人とベトナム人の2人に避難者役として、ブラジル人の消防団員1人に受講者として参加してもらった。
【委員】
 訓練実施後、参加した外国人や職員はどのような感想、意見があったのか。また、訓練の成果をどのように受け止め、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
 実施後に行ったアンケートでは、有意義だったとの回答が100パーセントだった。その中で、コメントをもらった中では、外国人住民から、市役所職員と一緒に訓練できたことが安心したというコメントや、参加した県内市町村職員からは、外国人から困っていることを聞き出すことの難しさを理解できた、外国語の知識以上にコミュニケーションスキルを知ることが重要だと感じたなど多数のコメントをもらった。
 こうした地域の外国人住民が参加する訓練は、外国人支援の難しさや必要性を認識する上で非常に効果が高いと実感しており、今後も継続して実施していきたい。
【委員】
 災害多言語支援センターを設置するに当たり、県や市町村が行う防災訓練は、外国人と一緒にできていなかった。地域に住んでいる外国人がこうやって参加し、行政とつながりを持つことの重要性を感じてもらったので、今後、防災安全局と協力し、続けてもらいたい。
 次に、67ページ、先進環境対応公用車導入費について伺う。
 この事業は、環境に配慮した自動車を県が率先して導入するため、環境局で予算を取りまとめて推進する事業であると承知しているが、例えば、電気自動車は航続距離が短いなど、導入する所属の場所や業務内容によっては支障が出ないか心配な面もある。
 令和5年度は、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車等を31台導入したとあるが、ほとんどがハイブリッド自動車である。具体的にどのような考えに基づき導入車両を決めているのか。
【理事者】
 環境局では、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)等の環境に配慮した自動車の率先導入を推進しており、令和5年度は、公共部局を除く知事部局の本庁や地方機関25所属に対して、合計31台を導入した。
 導入に際し、EV、PHV、FCV等の車両のタイプの決定に当たっては、環境局が各所属へヒアリングを行い、管轄区域が山間部を含むか、長距離走行が多いか、その他充電設備を設置できる駐車場があるか、水素ステーションが近くにあるかなど、総合的に検討を行い、業務に支障が出ることのないよう導入車両を選定している。
【委員】
 FCVは充塡箇所がなく、PHVも充電に時間がかかる、急速充電ができるところがない、電気自動車全般的に走行距離と加速力の点で、中山間地域の人は懸念すると思う。
 今後、導入予定の所属の意見を踏まえて、どのように導入していくのか考え方を伺う。
【理事者】
 本県としては、今後もあいち自動車ゼロエミッション化加速プランに基づき、公用車へのEV、PHV、FCV等環境に配慮した自動車の率先導入を推進していく。しかしながら、現状では、所属によって管轄区域の状況、車両の使用方法、駐車場の状況等により導入が困難な場合があることは認識している。
 そのため、環境局では、各所属への導入が進むよう、保有車両の一部をEV、PHV、FCV等とする計画的な導入の検討や、庁舎の長寿命化工事等にあわせた充電設備の設置等について、あらかじめ各所属に働きかけることで、公用車への率先導入を推進していく。
【委員】
 環境に配慮して、EV・PHV・FCVを公用車として導入することは、理解できるし、今後も進めてもらいたいが、状況によっては、思いがあっても進められないこともあると思うので、十分配慮して進めてもらいたい。
 最後に、71ページの3、災害廃棄物処理計画推進費について伺う。
 市町村等の担当者を対象とする研修会及び図上演習の内容について伺う。
【理事者】
 災害発生時に適正かつ迅速に廃棄物の処理に当たれるよう、市町村・一部事務組合の職員を対象に、研修会及び図上演習を実施している。研修会は、基礎的な内容で7月に開催し、76人が参加している。災害廃棄物処理における自治体の役割や、2018年に豪雨災害を経験した倉敷市からの説明に加え、仮置場設置に係るグループ討議などを実施している。
 研修はもう一つあり、スペシャリストを養成するための研修を開催し、国立環境研究所の災害廃棄物対策マネジメントツールを活用し、自らの自治体の災害対応力を把握することで、今後の改善点を整理する内容で実施した。
 図上演習については、11月に同じ内容で2回開催し、合わせて92人が参加している。豪雨水害の発災後3日目からを想定し、時間経過に応じて生じる住民からの要望などに対して、短時間での判断が求められるという切迫感を感じる模擬的な体験をする演習である。
【委員】
 職員の配置状況がそれぞれ違い、職員も3年ぐらいで部署が変わるため、いつ発災してもいいように、自分たちが支援を受ける受援も、また支援に行くときも、その要となるリエゾンになる人がどうしても必要であり、そのような職員がいると心強い。こういった図上演習も含めて研修について、これまで経験を積んできた職員、OBに講師に来てもらうなど、次の職員の世代の人たちに引き継ぎ、学習してもらいたい。引き続き、演習の範囲を広げてもらい、すぐにでも即戦力として動けるような人材、災害廃棄物処理は、この人に任せれば大丈夫だというスペシャリストを養成してもらうよう要望する。
【委員】
 決算に関する報告書の35ページ、国際芸術祭事業費について伺う。
 国際芸術祭は、2005年愛・地球博のレガシーとして始まったと記憶している。これまで回を重ねているが、国際芸術祭の準備費用が決算書に載っている。国際芸術祭をレガシーにした目的は、2005年に万博をやることで、国際的に愛知県の知名度が上がった。それを維持していくことが主な趣旨だったと推測している。
 ただし、県民のお金を使う芸術祭であるので、当然県民のためであってしかるべきと考える。インバウンド効果等もあるが、県民の現代芸術への理解度が深まったのか、文化・芸術に対する理解度が上がったのか調査が必要である。これだけ継続してきて、昔と変わらないのではいけない。そういった費用が、開催準備費の広報・PRの実施等4,288万4,000円の中に含まれているのか。
【理事者】
 現代芸術に関する県民の認知度、浸透がどの程度進んでいるのか調査するための費用が、2023年度の予算の中に入っていない。ただ、2016年12月に実施した県政世論調査では、あいちトリエンナーレを御存じですかという質問に対し、約7割の人から、知っている又は聞いたことはあると回答があった。その後、国際芸術祭を2回開催し、2019年度は約68万人、2022年度は約49万人が来場したことを踏まえると、県民に国内最大規模の国際芸術祭を愛知県で開催していることは、一定程度浸透してきている。
 ただ、あいち2022の来場者アンケートにおいて、国際芸術祭にこれまで訪れたことがなかったと回答した人の割合が25.2パーセントあったことを踏まえると、いまだ芸術祭に足を運んでいない県民も、相当数いると考えている。
 そのため、国際芸術祭「あいち」について、引き続き幅広く周知を図るとともに、芸術祭を開催しない中間年にも、県内各地で地域展開事業を開催するなど、県民が現代アートに触れられるよう、理解度を深めていけるよう様々な機会を継続して提供していく必要がある。
【委員】
 今、答弁のあった9番目、西尾市の地域展開事業の負担額は1,629万9,316円であるが、これは県負担分だと思うが、市は同じ額なのか。比率はどうなっているのか。
【理事者】
 西尾市の負担分は、100万円である。
【委員】
 事業総額は1,629万9,316円に100万円を加えた額か。他の団体等からも出ているのか。
【理事者】
 これらの負担金に加え、協賛金等含め、およそ2,000万円程度の総事業費となっている。
【委員】
 地域展開事業費で、市町村の負担金が昔、大きかった。それが今、縮小傾向にあると思う。やはり2分の1を市町村の負担とすると、財政的に豊かな市町村とそうでない市町村との差が明確に出てきて、やれるところとやれないところが出てくる。2分の1、簡単にいうと公平と聞こえるが、その2分の1すら出せない市町村、人口5万人以下の小さな市町村、年間予算200万円に満たない市町村は大変厳しいので、配慮してもらいたい。
 地域展開事業を、開催年以前からやることは大変いいことだと思う。続けてもらいたい。入場者数やイベント参加者数が増えることはいいことであるが、県民が3年後を楽しみにする仕組みを考えてほしい。またやるのか、ほかにやることがあるという意見も、私の周りである。そういう人が減ってくような、県民の芸術文化への理解が高まる仕組みを考えてほしい。
 例えば、作家が2か月、3か月滞在して、一緒に作品を作り上げていくような県の担当者の職員も楽しめる事業展開を要望する。
【委員】
 私からは、県民文化局関係で一点、環境局関係で三点質問する。
 まず、報告書の49ページ、10の愛知県国際交流協会運営費補助金について伺う。
 愛知県国際交流協会運営費に対する補助金のうち、外国人の生活相談を担う一元的な相談窓口の運営に充てられている経費はどのぐらいになるのか。また、経費の内訳はどのようか。
【理事者】
 愛知県国際交流協会運営費補助金1億6,222万4,658円のうち、一元的相談窓口の運営費は、4,236万3,000円で、このうち約86パーセントに当たる3,628万3,000円が相談員の人件費となっている。残りの14パーセントは、窓口で対応していない言語による相談等に対応するための民間通訳会社への委託料が295万2,000円、弁護士相談事業の委託料が70万2,000円、市町村窓口等に配布する相談員向けの手引の印刷製本費36万3,000円などである。
【委員】
 私が外国人に対する一元的相談窓口の事業について質問する経緯として、先日、10月7日に、外国人相談に関わる自治体が一元的な窓口を設置する事業に対する国の補助金の予算が不足しており、自治体に満額の補助金が交付されなかったと中日新聞の報道があった。
 本県のように県内の外国人が非常に多い県にとっては、特に重要な取組だと思っており、本県における影響が心配される。
 この新聞報道によると、令和5年から2年連続で法務省の事業予算を自治体の申請が上回り、今年度は257自治体において、申請どおりの額が交付されなかったようである。
 本県の令和5年度の交付額について、影響はあったのか。影響があった場合には、財源不足に対しては、どのように対応したのか。また、国に対してはどのような要望を行っているのか伺う。
【理事者】
 まず、本県への影響であるが、交付金の補助率は2分の1で、交付限度額が1,000万円となっており、昨年度は限度額となる1,000万円が交付されたが、今年度申請分は、1,000万円から13パーセントカットされた870万円とする内示が国からあった。
 このため、今年度の財源不足130万円については、アルバイトの勤務日数を減らすなどにより対応している。
 また、国に対しては、今年7月に行った愛知県の知事要請や、8月の全国知事会による国への要望において、十分な予算を確保するよう求めている。
【委員】
 報告書67ページ、先進環境対応自動車導入促進費補助金について伺う。
 この補助金は、事業者等が先進環境対応自動車、いわゆるEV、PHV、FCV等を導入することを促進するための補助として、環境局が以前から実施している事業と承知しているが、改めて本県の制度の概要と令和5年度における具体的な実績について伺う。
【理事者】
 先進環境対応自動車導入促進費補助金は、自動車からの温室効果ガス排出量の削減と大気環境の改善に寄与することを目的とし、EV・PHV・FCV等の乗用車やトラック、バスを導入する事業者等に対して、その導入経費の一部を補助する制度である。
 令和5年度の補助金の額は、例えば、申請件数の多い乗用車の例では、EVは上限40万円、PHVは定額20万円、FCVは定額60万円の補助を実施している。
 また、補助事業の全体の実績について、補助台数はEV591台、PHV696台、FCV30台など合計1,474台、前年度比114.2パーセント。また、補助額は、約4億3,700万円、前年度比122.3パーセントといずれも前年度を上回る実績となっている。
【委員】
 同様の補助は国も実施しており、この上に自治体が上乗せする補助で、環境によい自動車が普及し、地球温暖化防止に貢献するという趣旨であるが、自治体によって、例えば、EVには幾ら、FCVには幾らという金額等にばらつきがある。
 本県においては、答弁の中でFCVに一つポイントを置いて、令和6年度からFCVには100万円とかなり大きい額となっているが、これが台数の普及に対して、効果があったのか。
 限られた財源であり、環境対応自動車が1台でも多く普及するよう、金額の差を設けていることが効果を発揮しているのか、どのような見解を持っているのか。
【理事者】
 国が実施しているクリーンエネルギー自動車導入促進補助金、いわゆるCEV補助金は、法人・個人を問わず、EV、PHV、FCVを導入する者に対して補助を行っており、補助上限額は、EVは85万円、PHVは55万円、FCVは255万円となっている。
 このCEV補助金に、本県の補助金を上乗せして活用すると、例えば、EVではトヨタのbZ4Xの車両本体価格約500万円に対して、補助額は125万円。また、FCVでは、ホンダのCR-Vの車両本体価格約730万円に対して、315万円の補助を受けることができる。
 こういった補助を受けることで、比較される車両との価格差を一定程度補填できることから、EV、PHV、FCVの選択を促すことができた。
 この補助金の評価としては、令和4年度の末の統計では、EV・PHV・FCV全体の普及台数について、東京都に次ぐ全国第2位となっており、効果的な補助制度と認識している。
【委員】
 今、答弁のあった1位が東京都であり、これは財政力の差が大きいため、東京と同じようにとは、なかなか言いにくい面もあるが、やはり本県は、地球温暖化防止戦略で非常に高い目標数値を設定している。2030年度までに保有台数に関して先進環境自動車が2割になるという非常に高い目標である。
 2030年の目標を、この補助制度だけで達成しようとしているわけではないと思うが、やはり個々の購入に対する補助金の効果は、非常に大きい。1位の東京都のレベルに近づくように、私は事業者向けに限定した補助ではなく、個人の所有に対しても補助すべきではないかと思うが、今後の方向性について、補助制度の拡充、運用の考え方を持っているのか伺う。
【理事者】
 先ほど、本県のEV・PHV・FCVの普及台数は全国第2位と答弁したが、ただいま委員から指摘のあったとおり、あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)の取組指標である2030年度におけるEV・PHV・FCVの保有割合は20パーセントに対して、2022年度末の実績は0.8パーセントにとどまっており、今後さらなる普及加速が必要である。
 2020年3月に実施した県民意識調査では、EV等を購入しない理由として、関心がない、車両価格が高い、インフラの環境が整っていないことが挙げられている。
 そのため、先進環境対応自動車の普及状況等を踏まえた補助制度の見直しとともに、今年度新たに創設した充電インフラの整備促進のための補助制度の活用をはじめ、法人・個人問わず適用される本県独自の自動車税種別割の課税免除や、県民へのEV等への普及啓発に引き続き取り組むことで、先進環境対応自動車の普及加速に努めていく。
【委員】
 次に、報告書の79ページ、狩猟行政費、狩猟免許について伺う。
 ニュース・報道等で全国的に狩猟者、狩猟免許を保持して狩りを行うことができる資格を持っている人がどんどん減っている、また高齢化しているという話を聞いている。
 最近だと、例えばシカ、イノシシといった有害鳥獣の駆除作業の担い手がいないという話題もあった。
 そこで、愛知県においては、狩猟者の数、狩猟免許保持者の状況、この年齢構成や推移がどのような傾向になってるのか。
【理事者】
 本県のこの30年間の狩猟免許保持者数の状況について、網、わな及び銃の各猟法を合わせた狩猟免許所持者の延べ人数は、1995年度の約6,000人が2012年度は約4,100人まで減少したが、この10年間は増加傾向にあり、2022年度では1995年度と同程度の約6,300人となっている。
 また、狩猟免許所持者の年齢構成は、2022年度では60代以上が39.6パーセント、50代が19.7パーセント、40代が19.1パーセント、30代が14.7パーセント、10代~20代が7.0パーセントとなっている。
 推移として、60代以上の割合は、2011年度の67.7パーセントが、2022年度には39.6パーセントとなるなど、近年その割合は減少傾向にある。
【委員】
 今の答弁によると、私の心配は杞憂になったかもしれない。狩猟者は増えており、しかも若い世代が狩猟に関して前向きになっていることは、非常によいことだと思う。こうした若い世代の狩猟者を確保するために、県としてはどのようなことを取り組んでいるのか。
【理事者】
 県では、仕事をしている現役世代が狩猟免許試験を受験しやすくするための取組として、免許試験を土曜日に1回、日曜日に1回の年2回実施している。
 また、狩猟免許の取得を促すとともに、鳥獣捕獲の担い手としての定着を図るため、熟練の狩猟者などを講師として、狩猟の魅力を伝える狩猟普及セミナーを2020年度から開催している。
 特に若い世代の狩猟者を増やすための取組としては、県立の農林業関係の高校や農業大学校に職員が出向いて、狩猟制度の社会的役割・魅力を伝える出前講座を2015年度から実施している。
 さらに、狩猟免許を取得した人への支援策として、経験の浅い狩猟者を対象に、狩猟を始める際に必要な知識や、わな捕獲の技術について学ぶ、わな捕獲技術向上セミナーを2019年度から開催している。
【委員】
 最近クマによる人身被害などがあり、駆除の必要性が叫ばれているが、基本的には、クマと人間は過去からすみ分けというか、共存してきた関係にある。
 人間の安全優先だという考え方で無暗に殺処分するのではなく、狩猟者はクマも含めて生態系について十分な知識を持って狩猟していることが前提であるため、駆除する場合でも、わなで捕まえて、安全な本来の生息場所へ移して放獣するなど、専門家による対応が必要である。クマの被害を過剰に恐れ、駆除しろとかいう話ばかりになる傾向について懸念している。
 狩猟者を養成して、同時に狩猟者がクマやシカの生態系について十分な理解を持って、行政の施策等に協力してもらえるような関係を築いてもらうよう要望する。
 最後に、産業廃棄物に関連したもので、審査意見書の18ページに税目別収入済額の前年度比較において、産業廃棄物税が前年度6億2,000万余円から4億2,000万余円、約67パーセントに落ち込んでいるが、どのような事情によって生じたのか。
【理事者】
 産業廃棄物税は、県内の最終処分場に搬入された産業廃棄物の重量に対して課税されており、原則1トン当たり1,000円、自ら排出した廃棄物を処分する自社処分場では1トン当たり500円で計算する。
 県内産業廃棄物の最終処分量の約3割を受け入れている公益財団法人愛知臨海環境整備センター(ASEC)の埋立処分量は、近年20万トン台で推移している。ASECの納税額に対応する埋立処分量を見ると、令和4年度は約39万トンと大幅に増加しているが、令和5年度は例年と同程度の約24万トンとなっている。その差約15万トン、納税額で約1億5,000万円の減少となっており、このことが令和5年度に税収が減少した大きな要因と考えている。
【委員】
 ASECは県の重要な施設であり、これがいっぱいになると、処理する場所をどこかに求めなくてはいけなくなる。
 運び込まれる量を計画的にコントロールしながら、行き場所のなくなるような事態が生じないようにすることが必要になる。
 キャップ制度を導入したとのことであり、円滑に県内の産廃が処理されていくような形で上手にASECを運用するようお願いする。
【委員】
 私からは、決算に関する報告書35ページの国際芸術祭事業費について伺う。
 国際芸術祭は、2010年度以降、3年ごとに、当初はトリエンナーレという名称で、途中から国際芸術祭と名称を変え、次回は来年2025年に開催される。
 国際芸術祭について、どのように評価しているのか伺う。また、評価するためには、まず指標が必要である。そして、指標の前に目標が必要である。先ほど委員から質問があったが、国際芸術祭の目標は、現代アートに対する県民の理解度を深めるためでよいか。
【理事者】
 国際芸術祭を開催することの目的として、大きく三つある。一つは、地域から新しい芸術文化を創造し、世界に向けて発信していくこと。二つ目は、文化・芸術を発信する際に、あわせて地域の魅力も踏まえ、愛知県の地域の魅力を発信すること。三つ目は、県民に、この地域で住むことの喜びを感じてもらうこと。以上のような目標を掲げ、芸術祭を開催している。
【委員】
 今の三つの目標に対して評価するため、何を指標、尺度としているのか。
【理事者】
 県の行政評価制度に基づき作成している管理事業評価調書では、国際芸術祭事業の評価項目として、事業対象者当たりコスト、県民当たりコスト及び来場者アンケートにおける満足度の3項目を評価指標として設定しており、開催にかかったコストと来場者の満足度が明らかになるようにしている。
 このうち、来場者アンケートにおける満足度は目標値を設定しており、満足度が70パーセント以上となることを目標としている。
 この満足度とは、芸術祭の来場者に対して行うアンケートの中で、芸術祭の感想が大変よかった、よかったと回答してもらった人の比率である。前回の「あいち2022」では、満足度が81.9パーセントとなり、目標値を上回る結果となっている。
 また、国際芸術祭については、毎回来場者アンケートだけではなく、終了後に外部有識者に対するヒアリングなども行っており、その評価や意見も次回の芸術祭の取組に反映している。
【委員】
 満足度が2022年81.9パーセントで、目標値が70パーセントに対して、相当よいがどのように評価しているか。
【理事者】
 目標値を上回ることについては、一定のサービスの提供ができたと考えているが、ただ、有識者ヒアリングや来場者アンケートでは、毎回改善の要望も出ている。こういった要望を一つ一つ踏まえながら、より満足度を高めていけるサービス、芸術祭を開催していきたい。
【委員】
 より満足度を高めるために、何か課題はあるか。
【理事者】
 来場者の満足度を高めるためには、展示内容だけではなく、作品理解の手助けになるような取組など、来場者の声を踏まえた様々な工夫や改善をしていく必要がある。
 例えば、前回の国際芸術祭「あいち2022」では、各展示室の作品解説パネルを従来よりも文字を大きく、読みやすくデザインし、来場者が目にしやすい位置に配置するなど工夫を行った。
 また、来年度開催する「あいち2025」に向けては、前回の来場者アンケートや外部有識者ヒアリングにおいて、まちなかでの展示を鑑賞しやすいよう、猛暑の夏の時期は避けてもらいたいとの意見を多くもらったので、会期を見直し、開幕日を従来よりも1か月ほど遅い9月13日とした。
 さらに、作品が分かりにくいという部分について、キュレーターによる作品解説ツアーの開催や、あるいは音声ガイドの導入などについても検討を行っている。
 来場者の皆様に、より快適で楽しんでもらえる取組を積み重ね、より多くの人に来場してもらい、満足してもらえる芸術祭にしていきたい。
【委員】
 「あいち2022」では音声ガイドがなかった。字は確かに多かったが、音声ガイドがあると現代アートがより理解できるので、それを取り付けてもらいたい。
 また、愛知県の若手の芸術家の育成にも力を入れてもらうよう要望する。
 次は、決算に関する報告書の70ページ、廃棄物処理計画推進費のうち、食品ロス削減について伺う。
 まず、家庭からの食品ロスの削減するために、どのような取組を行っているのか。
【理事者】
 食品ロス削減の啓発のため、県民を対象とした食品ロス削減イベントを10月21日にアスナル金山で開催した。ステージでは、お笑い芸人のキンタロー。氏による料理をするときの工夫などの話や、食品ロス削減アドバイザーによる食品保存のコツなどについて講演してもらった。会場では、食品ロスについてゲームや動画で学べるブースや、企業の取組を紹介するブースなどを出展し、約400人が参加した。
 また、このイベントとは別に、家庭で食品ロスの量を記録し、食品ロスの削減にチャレンジする企画を10月から12月の約3か月間実施した。食品ロス削減の取組を学びながら、1週間の削減量を記録できる冊子を作成、配布し、その結果を県に報告してもらうもので、539世帯の約1,500人が参加した。実施後のアンケートでは、少し意識を変えるだけで食品ロスの量が減った、今後も続けるといった声など、参加者の約9割で意識に変化があった回答を得ている。
【委員】
 食品製造業者や外食産業などの事業者に対しては、どのような事業を展開したのか。
【理事者】
 県内の食品関連事業者に対して、食品ロス削減に関するアンケートを行ったところ、取り組むための情報が不足している、どのように取り組んでよいかわからないといった回答が多かったことから、県内企業・団体の優れた取組をまとめた事例集を作成した。作成に当たっては、若者世代にも興味・関心を持ってもらうため、大学生記者が現場や当事者を取材して執筆した。
 具体的な事例として、製麺工場において、麺の賞味期限を延長するため、原料の配合を変えて食品の傷みを防ぐ取組や、規格外野菜、大きさや形が基準に合わない野菜をペースト状にした食品を製造して介護現場で提供する取組など、8事業者の取組を紹介した冊子である。5,000部作成して、県内の市町村・食品関連事業者等に送付するとともに、各イベント等でも配布し、周知した。
【委員】
 これらの事業は、愛知県食品ロス削減推進計画に基づき、実行しているが、事務事業の評価をするために、目標があると思う。目標に対する進捗状況を伺う。
【理事者】
 愛知県食品ロス削減推進計画では、2019年度に48万トンだった食品ロス発生量を2026年度までに43万3,000トンにするという目標で、7年間で4万7,000トン削減する目標を立てている。2021年度の食品ロス発生量は3年間で2万5,000トン削減できており、おおむね順調に推移している。
【委員】
 目標に対する進捗は順調だと思う。今後の課題等を含めて今後の取組について伺う。
【理事者】
 引き続き、啓発等に努めるとともに、今日新聞に掲載されたが、厚生労働省が食品の食べ残しを持ち帰るためのガイドラインの案を出した。食品ロスに関しては、環境局だけではなく、国では消費者庁、農林水産省、環境省などいろいろな部署が関わっているので、県内でも庁内連絡会議等を通して、いろいろ情報を共有しながら啓発等を進めていく。
【委員】
 SDGsの観点からも食品ロスの削減は、重要な課題であるので、継続的に取り組むよう要望する。
【委員】
 決算に関する説明書の66ページ、あいち自動車ゼロエミッション化加速プラン推進費について、いつまで続けるのか。どのような状態になれば終了するのか伺う。
【理事者】
 あいちゼロエミッション化加速プランについては、あいち地球温暖化防止戦略におけるEV・PHV・FCVの普及目標の達成に向けて、新車販売割合の30パーセントを目指すこととしており、30パーセントを達成するため様々な取組を実施している。
 あいち地球温暖化防止戦略では、2030年度までにEV・PHV・FCVの保有割合の20パーセントを目指すこととしているが、先ほど委員からも質問があったが、2022年度現在で0.8パーセントにとどまっている。
 そのため、2030年度までは戦略やプランに基づく各施策、補助金や課税免除、充電インフラ・水素充填インフラ等の整備促進などにしっかりと取り組んでいく必要がある。
 その上で、今後の在り方については、戦略の見直しをする中で検討していきたい。
【委員】
 他部局の所管になるが、水素やアンモニアについては含まれているのか。
【理事者】
 水素やアンモニア等については、燃料電池自動車の導入促進につながるような部分は含まれる。
【委員】
 世界の潮流が変わってきている。西側諸国でさえ、EVは日本のように翼賛的にやってない。SDGsやカーボンニュートラルについても日本のように翼賛的にやってない。
 先ほどの答弁でもあったが、県民ニーズとしてEVに関心がない、インフラ整備も難しい。このまま突き進んで本当によいのか。水素やアンモニアのように将来強みになるもの、成長産業により投資すべきである。
 プラン推進に当たり、県内の自動車産業の企業と定期的に議論しているのか。
【理事者】
 プランの推進に当たり、EV・PHV普及ネットワークという組織体で、自動車メーカーや市町村等と情報共有している。
【委員】
 繰り返しになるが、将来強みになるような成長産業や、愛知県の強みに目を向けてもらいたい。愛知県としては、内燃エンジンや部品のサプライヤーを守らなければならない。国の政策と同じことをやっていると、県内企業、サプライヤーが疲弊してしまう。
 トヨタ自動車株式会社の豊田章男会長は全方位戦略を最初から打ち出して、結果的には正しい選択だったと思う。世界の潮流を見定めた上で、県の政策を決めてほしい。

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